PHILADELPHIA
お医者さんと患者さん。
「遥か彼方で働くひとよ」が変わりました。

手紙206 日本のHIV
検査を受ける、ということ・いただいたメール(後編)



こんにちは。

前回は
自分がもしかしたらHIVに感染しているかも、と
自宅で採血をして検査会社に郵送するキットを使って
検査の結果を待っている、という方から
いただいたメールをご紹介しました。

結果がわかったらぜひ教えてください、と
お願いしたメールをお送りしてすぐ、
お返事をいただきました。

お返事ありがとうございます。
検査を受けようと決めるまでも、とても恐くて、
待っている間も恐くて、気が変になりそうでした。
結果は、陰性でした。

わかった瞬間、思わず泣いてしまったほど、
嬉しかったです。

検査を受けたきっかけは、本田さんの連載です。
もともとHIVに関する知識は、ありました。
10年ほど前、高校生だった頃、
保健室や図書館で資料を漁ったりしていたので。
(知識の収集癖があります)

最新の情報は、本田さんの連載で知りましたけど、
病気については大体は知っている、と
最初は思っていました。
でも、ある瞬間、頭の中に落ちてくるみたいに、
気づいたんです。
私、私自身を対象として
HIVを考えたことがない、って。

それで、考えたんです。

そしたら「思い当たることだらけ」だったんです。

何だって私は
あんな危険な真似をしていたんだろう、と、
今ごろ怖気づいても仕方がないくらい、
馬鹿だった時期があったんですよね。4〜5年前。
セックスに関して。

そしてその間、つい最近まで、
セックスを知らなかった頃に
調べた知識が入ってた場所は、
まるっきり空っぽになっていたんです。

その空白にもびっくりしたし、
自分が危険を犯していると
自覚していなかったことにもびっくりして、
ショックでした。

そのことに気づいてからは、本当に苦しかったです。
いろんなサイトを調べまわって、
自分が感染している可能性を
否定してくれる文章を探したり、
当てはまる症状がなかったか記憶をひっくり返したり。
(何しろ人生で一番馬鹿な時期だったので、
 あんまり覚えてないんです)

検査を受けて、もし陽性だったら、
今だってこんなに寂しくて不幸なのに、
もう一生幸せになんてなれないんじゃないか、
だったら少しでも幸せを味わってから
検査したほうがいいんじゃないか、
なんてこととか、ぐるぐるぐるぐる考えました。

でも結局、
パニックの勢いで検査キットを注文しました。
結果を待っている間のことは、
先日のメールの通りです。

友人たちは、「大丈夫だよ」と
励ましてくれていました。
結果はその通りだったけれど、
私は、これはスペシャルにラッキーだっただけだ、と
思っています。

陽性であっても
「そんな馬鹿な」と言える生活では
なかったのですから。
これからは、ラッキーに頼っちゃいけないな、と
思います。

検査を受けてみて、良かったです。

今回はたまたま陰性だったけど、
これが陽性でも、
ただ悩んでいるよりは前進できるのではないかな、と。

(検査結果を待つ間、友人に弱音を漏らしたら、
 「もし万が一のことがあっても、
 私にできることは全部するから!」と
 言ってくれました。
 意外なところで友情の確認までできてしまいました)

ネットでよく見た意見のような、
「健康診断でもHIV検査を義務付ければいいのに!」
なんて乱暴なことは、私にはとても言えませんが、
もっとみんな、真面目に、落ち着いて、
検査を受けられればいいな、と思います。

私みたいなへっぴり腰のメールでよろしければ、
使ってください。
お役に立てたら嬉しいです。

次の更新をいつも楽しみにしています。
それでは。

この方のメールに
付け加えることは何もありません。

みなさま、どうぞお元気で。

本田美和子

2006-07-28-FRI

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