お医者さんと患者さん。 「遥か彼方で働くひとよ」が変わりました。 |
手紙208 日本のHIV ビル・ゲイツとビル・クリントン こんにちは。 8月の半ばに、カナダのトロントで HIVに関する大きな会議が開かれました。 第16回国際エイズ会議、というのがその名前です。 この会議の特徴のひとつは HIVに興味のある、あらゆる人が 集まってるんじゃないかと思えるくらい 様々なバックグラウンドを持った人々が やってくることです。 HIVに感染している人、 医師や看護師などの医療従事者、 ウィルスのことや治療薬について研究している研究者、 社会的なことを研究している人、 感染者をサポートしているグループ、 そのほか、立場がいまひとつよくわからない人々など 約1週間の会期に2万4000人もの人々が集いました。 1週間の会議の期間中で おそらく最も注目を集めたのは、 マイクロソフトのビル・ゲイツ氏と 米国のビル・クリントン元大統領とが HIVについて2時間あまり話をしたセッションでした。 ビル・ゲイツさんは、 「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」の代表として、 クリントン元大統領は 「ビル・クリントン財団」の代表として の参加です。 この二つの財団はいずれも 現在、世界で最も積極的に HIVについて援助を行っている団体のひとつです。 世界のHIV/AIDS研究・治療・疫学分野に 多大な資金と影響を与えている財団の代表として このお二人はものすごく注目されていて、 二人が語るセッションは、 地元のテレビ局で完全生中継されたほどです。 6000人が収容できる会場も 人があふれて入場制限が行われました。 「なぜ、HIVやエイズについて 興味をお持ちになったのですか?」と 司会者から問われたときの クリントン元大統領の答えはとても印象的でした。 「感染する必要のなかった人が、 この病気に感染して死んでいくのが嫌だからです」 このクリントン元大統領の言葉に続き、 「私たちの住む世界をもっと良くしていくために 健康はとっても大切だし、 HIVやエイズに関する誤った先入観をなくして 確実な予防や治療が行えるようにすることが 世界の人々の健康を保つためには とても大切だと思うからです」 とゲイツ氏は語りました。 文字にすると ちょっとかっこよすぎる言葉ではないか、とも思えますが 壇上の二人はリラックスした様子でソファに座り、 メモを見たりすることもなく、 ともかく、考えてることを話す、という感じで とても面白かったです。 こうあったらいいな、と自分が思うことを 率直に語り、熱心に聞いてくれる人がいて、 何より、自分がやってみたいことを実現できる 資力と人材をもつこのお二人の話は とても迫力がありましたし、 ちょっとうらやましかったです。 そして、世界中の国から人々が集まるこの会議で 最も多くの人を集めたセッションが 国や国際機関の代表ではなく、 個人財団の代表によるもので、 その言葉が、会場にいる人々にとどまらず メディアを通じて広く伝えられていったことは 印象的な出来事でした。 では、今日はこの辺で。 みなさま、どうぞお元気で。 本田美和子 |
2006-08-25-FRI
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