お医者さんと患者さん。 「遥か彼方で働くひとよ」が変わりました。 |
手紙210 日本のHIV HIVの検査を受ける場所と9月25日のサイエンスカフェ こんにちは。 今年の4月から 日本で広がりつつあるHIV感染症のことについて ご紹介してきました。 わたしの外来を受診中の患者さんの話を 皮切りに始めたこのシリーズですが、 患者さんの体験を読んだ方々からいただくメールは、 今後どのようにHIVのことについて お伝えしていったらいいのかを考える、 とても貴重な経験になっています。 本当にありがとうございます。 その中で、わたしが一番気になっているのは 患者さんの体験を読んで、 「急に、ものすごく心配になってきた。 どうしていいかわからない。」 という不安に満ちたメールをくださった方が 少なからずいらした、ということです。 これまでもご紹介してきたように、 どなたかと過去に性的な接触があった方は HIV感染についてのリスクがゼロではない、と いうことができます。 そして、HIVに感染しているかどうか、ということは ご自分で『HIVの検査を受けよう』と思い、 そのための採血をしなければ、絶対にわかりません。 現在、日本の国内には ご自分がHIVに感染しているとは知らずに 普通の生活を送っていらっしゃる方が 数万人いるであろう、と推測されています。 できるだけ多くの方に 「たぶん感染してないとは思うけど、念のために」 という感じで検査を受けていただければ、と 思っています。 まだ症状が出ないうちに 早めに見つけることができれば、 これまでの生活をずっと続けていくことができます。 良い治療薬と、患者さんを支えるサポートのシステムは もう、日本には揃っています。 日本でHIVの検査を受ける方法はいくつかあります。 1)自治体などで。 各自治体の保健所や医師会が開設している検査所では 「無料」「匿名」で検査を受けることができます。 保健所によっては、当日に結果を知らせてくれる 「即日検査」を実施しているところもあります。 厚生労働省の研究班が作っているサイトや 財団法人エイズ予防財団のサイトなどで、 どうぞご自宅の近くの 検査・相談の窓口をお探しになってみてください。 当日結果がわかる検査を実施している保健所の数も とても増えてきています。 2)医療機関で受ける。 健康保険がきかず、自費診療になりますが 病院や診療所で検査を受けることもできます。 自分のパートナーが すでにHIVに感染していることがわかっている場合には 健康保険も使えます。 3)市販のキットで調べる。 インターネットなどを通じて販売されている 市販の検査キットを使って調べてみる、 という方法もあります。 どうしても人に会うのに抵抗がある、という方は 使ってみても良いかもしれませんが、 検査の結果を知るときに 一緒にいてくれる医療関係者がいないので その結果を自分ひとりで受け止めなければならず、 「陽性」だった場合にはとても心配だ、と 個人的には思っています。 検査の方法には このようなやり方があります。 もしよろしければ、 HIVの検査を受けてみることについて ぜひ一度、お考えになってみてください。 話は変わりますが、 最近、『サイエンスカフェ』という集まりがある ということを知りました。 サイエンスカフェとは、 科学を専門としない、普通の方々が 科学的なことを仕事にしている人を囲んで、 お茶を飲んだりしながら、リラックスした雰囲気で その人の専門分野の話を聞く、という 集まりなのだそうです。 この催しはもともと1990年代後半にイギリスで始まり、 それから世界中に広がって 日本でも各地で開かれている、とのことでした。 日本では、科学者の団体である日本学術会議が 『現代社会における 有効な科学コミュニケーションの一つ』と とても固い感じの言葉ですが、 ともかく、科学を身近に感じてもらおう、という主旨で 積極的に取り組んでいます。 で、このたび そのサイエンスカフェのひとつで HIVのことを紹介してもよい、という 機会をいただきました。 HIVに興味のある方は、どなたでもご参加いただけます。 9月25日月曜日の夜7時半から9時ごろまで 東京都世田谷区北沢1-45-36 の現代HEIGHTS というところで話をします。 参加費は無料ですが、 喫茶店の一角を借りて行うので お茶代が少々必要と思われます。 場所などの詳しい説明は以下のサイト http://www.cafescientifique.jp/ にありますので、どうぞご覧になってみてください。 地図はhttp://www.cafescientifique.jp/route.htmlにあります。 平日の夜ですが、 もしお近くでお時間のとれる方はぜひ、お越しください。 どんな方にお目にかかれるか、 楽しみにしています。 では、今日はこの辺で。 みなさま、どうぞお元気で。 本田美和子 |
2006-09-15-FRI
戻る |