PHILADELPHIA
お医者さんと患者さん。
「遥か彼方で働くひとよ」が変わりました。

手紙232 日本のHIV フジテレビのHIV特集(1)
佐々木恭子さんの企画書



こんにちは。
前回まで、文学の立場から
HIV感染症についてお考えになっている、
レベッカ・ブラウンさんのことについて
ご紹介してきましたが、
今日からは、異なる角度から
HIV感染症について考えていらっしゃる方を
ご紹介しようと思います。

4月の下旬に
HIV感染症についての話を聞きたい、と
フジテレビのディレクターをなさっている
東島由幸さんという方から連絡をいただきました。

病院に尋ねていらした東島さんは
ご自分が担当していらっしゃる朝の情報番組で
HIVの特集を組みたいと思っている、と
用件を切り出しました。

民放の朝の情報番組で
HIVのことについて取り上げてくれるなんて、
多くの方々にこの病気について知っていただく
またとない良い機会だと思ったのですが、
実際どのような角度から取り上げられるのか、
まず、具体的なお話を伺ってみなければ
協力できるかどうかわからないな、と
わたしは考えていました。

この番組の企画は、
番組のキャスターである
フジテレビのアナウンサー・佐々木恭子さんが
中心となって進めていることを説明した後で、
今日は所用があって同行できなかったけれど、
彼女の用意した企画書をまず読んでほしい、と
東島さんは一枚の書類を渡してくださいました。

わたしは「企画書」というものを
実際に目にすることはめったにありませんが、
その文章のもつ真摯な迫力に感銘を受けました。

全然知らなかったのですが、
フジテレビは昨年から5年間の予定で
国際連合児童基金・ユニセフと合同で
HIV感染症についての特集を組むことになり、
佐々木恭子さんはその担当として、
アフリカのマラウィへ
昨年取材にお出かけになり、
その内容は番組の中で特集として
放送されていたのだそうです。

そして昨年1年間は
取材のビデオテープを持って全国をまわり、
アフリカ・マラゥイにおける
HIV感染症の現状と問題点についての
講演活動をなさったそうです。

全国をまわった講演会の会場で
いろいろな方と直接話をする機会を重ねるなかで、
アフリカももちろん大変だけれど、
日本のHIVも大変だ、と考えるようになり、
まるで対岸の火事のように
この事実がやり過ごされていることへの違和感を
お感じになってきた経緯が
企画書の中には記されていました。

「日本で何気ない毎日を過ごす人たちにも、
 まずはこの病気のことを正しく知ってほしい。
 その上でHIV陽性者の方々にとって
 少しでも生きやすい社会になってほしいと
 切に願います。」

佐々木さんは企画書の中で
このようにお書きになっていらっしゃいました。

本当に申し訳ないことですが、
わたしはそれまで
テレビ局のアナウンサーが
これほどの強力なイニシアチブをとって
番組を作ることがあるとは知りませんでした。

また、ディレクターの東島さんは
学生時代に米国でHIV陽性の方々を対象とした
ボランティアの経験もお持ちで、
HIV感染症に関しても
いろいろなことを十分にご存知でした。

これだけしっかりとした
バックグラウンドをお持ちのおふたりが
情熱をもって作ろうとしている番組でしたら、
きっと良いものができるに違いないと思えたので、
できるだけお役に立つよう
番組作りのお手伝いをすることにしました。

では、今日はこの辺で。
次回は、佐々木さんが
病院に来てくださった時のことを
ご紹介しようと思います。

みなさまどうぞお元気で。

本田美和子

2007-07-13-FRI

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