PHILADELPHIA
お医者さんと患者さん。
「遥か彼方で働くひとよ」が変わりました。

手紙233 日本のHIV フジテレビのHIV特集(2)
佐々木恭子さんとユニセフ



こんにちは。

前回は、
フジテレビの朝の情報番組「とくダネ!」の
キャスター・佐々木恭子さんが
「日本でのHIV感染症は、大変なことになってる」
ことを番組の中で紹介したい、
というご希望をもっていらしていて、
その番組作りのお手伝いをすることになった経緯を
お話しいたしました。

今日は、その続きです。

佐々木さんの企画書を読んでから数日後、
ご本人が病院を訪ねてくださいました。

昨年、フジテレビと
国際連合児童基金・ユニセフが
HIV感染についての
共同事業を始めることになって、
ご自身がその担当に決まるまでは、
佐々木さんはHIV感染について
あまりご存じではなかったのだそうです。

昨年は共同事業の第一回として
アフリカのマラウィに取材に行き、
その現状を初めて目の当たりにして
何とかしたい、と思ったので、
番組の特集でその実情を訴えるのみならず、
番組のビデオを持って全国講演にもでかけた、と
佐々木さんは話してくださいました。

「でも、その当初は、“アフリカ”では、
こんなに大変なことがおきているのですと
いうような話しぶりに
なってしまっていたかもしれません」と
佐々木さんはおっしゃいました。

講演を聞きに来てくださった方々とは
直接話をすることもできて、
そのなかで、
「アフリカも、もちろん大変なんですが、
日本の国内も、
さまざまなHIVについての問題に
直面しているのです」と
佐々木さんに訴える方々が
出てきたのだそうです。

日本の実情を知るにつれて、
ぜひ2年目の特集では
海外の例に加えて、
日本の現状を伝える機会をもちたい、と
佐々木さんは強く思うようになり、
2年目の今年は
海外の事例として
パプアニューギニアに取材に行き、
現地の事情を報告する一方で、
日本のHIVについても
ぜひ特集に加えたい、と制作会議で提案して、
実現の運びとなったそうでした。

佐々木さんの実行力に
しみじみ感じ入るとともに、
彼女に「日本も大変なんですよ」と
じっくり話してくださった
講演会の参加者の方々にも
お礼を申し上げたい気持ちになりました。

日本のHIVの現実を
テレビで具体的にお伝えするには、
やはり実際にHIVとともに過ごしている
患者さんのお話を聞かせていただけるのが
いいのではないだろうか、ということになり、
まずは、カメラのない場所で
患者さんにじっくりとお話を
聞かせていただくことにしました。

数名の患者さんに
これまでの経緯を説明し、
佐々木さんの企画書をお渡しして、
お話を聞かせてください、とお願いをしたところ
5名の方が「いいですよ」と
引き受けてくださいました。

お忙しい仕事の合間を縫って、
5名の方々はじっくりと
いろんな話を聞かせてくださいました。

家族のこと。仕事のこと。
生まれてくる子供のこと。
将来のこと。もちろん健康のことも。

日ごろ、あわただしい診察室では
じっくり伺うことのできないお話を
お聞きすることができて、
同席したわたしも、とても参考になりました。

「ごく普通の暮らしをしている
ごく普通のひとが、
感染してしまっている病気」としての
HIV感染症が紹介できる、
とても良い機会になるのではないか、と
わたしは番組ができあがるのを
とても楽しみにしていました。

では、今日はこの辺で。
次回はできあがった番組について
ご紹介しようと思っています。

みなさま、どうぞお元気で。

本田美和子

2007-07-20-FRI

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