お医者さんと患者さん。 「遥か彼方で働くひとよ」が変わりました。 |
手紙263 ドキュメンタリー映画『ザ・パーソナルズ』 2 こんにちは。 前回は 映画監督の伊比恵子さんがお作りになった ドキュメンタリー映画『ザ・パーソナルズ』を ようやく見ることができるようになった経緯について 紹介しましたが、今日はその続きです。 ニューヨーク・マンハッタンの中にある ユダヤ系アメリカ人が多く住む地域で、 その地域にお住まいの高齢者が集まって 『ザ・パーソナルズ(個人広告)』という名前の 演劇を作り上げる、という活動が この映画の主軸になっています。 友達や恋人を募集するための新聞の個人広告は、 米国ではよく見かけるものです。 ごくごく普通の地域住民の方々が この劇に参加しようと集まってくるところから 映画は始まります。 劇の練習と平行して挿入される 彼らに対するインタビューや実生活の映像は、 それぞれの個人的な生活や、幸福や、不幸を 淡々と明らかにしていき、 それが演劇『ザ・パーソナルズ』の中の エピソードと重なって 胸に迫るドキュメンタリー映画となっていました。 大学の図書館の視聴覚ブースで ぼろぼろ泣きながら、 40分足らずの短い映画をわたしは見終わりました。 あまりに泣きすぎたので、 恥ずかしくて すぐに席を立つことができませんでした。 年齢を重ねる、ということは 心にも、体にも、周囲にも 大きな影響を与え続けるもので、 その静かな毎日の生活の中に幸福は存在するのだと 素朴に表現するこの映画を見ることができたのは 本当に幸運でした。 前回も触れましたが、 「このような人々のために 自分は仕事をしているのだ、ということを 改めて思い直した」という この映画についての同僚の感想を思いだし、 「わたしも、そうだよ」 と思いながら家に帰りました。 今でもときどき見たくなる、すばらしい映画です。 ニューヨークに住む高齢者を主人公にした ドキュメンタリー映画では、 ご存知の方も多いかもしれませんが、 『レジデント・エイリアン(在留外国人)』 という作品もあります。 この主人公はクェンティン・クリスプという イギリス人の男性で、 歌手のスティングの有名な曲English man in New Yorkは スティングがクェンティン・クリスプに捧げたものだ、と 言われています。 この映画は 彼の文化的な背景を強く打ち出して 作られているものなのですが、 その端々に垣間見える、 彼のひとりで年を重ねていくことに関する覚悟が 心に染みる作品です。 もし機会があれば こちらもご覧になってみてください。 では、今日はこの辺で。 みなさま、どうぞお元気で。 本田美和子 |
2008-05-30-FRI
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