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はじめまして。
いやぁ‥‥
「打ち上げ開始でございます」の声の人は、
こういうかただったのですね。
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小林 |
そんな(笑)。
よろしくお願いします。
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─── |
よろしくお願いいたします。
去年はじめて会場で
長岡の花火を見させていただいて、
「打ち上げ、開始でございます」という
あのアナウンスにすごくワクワクしたんです。
それで、ぜひご本人にお会いしたくて。
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小林 |
ありがとうございます。
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─── |
こちらこそありがとうございます。
もう、興味津々で
いろいろお訊きしたいんですけど、
どうしよう、何から‥‥。
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小林 |
私でお答えできることでしたら。
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─── |
それではまず‥‥
「打ち上げ開始でございます」
というあのアナウンス、
あれは長岡の花火大会だけがそうなのでしょうか?
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小林 |
そうですね、たぶん‥‥
尻上がりに「開始でございまぁす」っていうのは、
おそらく長岡独特のものだと思います。
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─── |
イントネーションがほんとに印象的で。
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小林 |
ありがとうございます。
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─── |
その、花火大会でのお仕事、
小林さんのご職業は何とお呼びすれば‥‥?
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小林 |
正式名称はとくにないので、
普通に、アナウンサーでいいと思います。
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─── |
花火のアナウンサーですね。
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小林 |
はい。
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─── |
花火のアナウンサー以外にも、
声のお仕事をされているんですよね?
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小林 |
ええ、主にイベントなどの司会ですとか。
あとは企業のプロモーションビデオやCMの
ナレーションを録ったり。
そのような感じです。
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─── |
なるほど。
花火のアナウンサーは、
いつからされているのでしょう?
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小林 |
花火大会のお仕事は、10年前からですね。
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─── |
はぁー、10年ですか。
最初はどういうきっかけで?
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小林 |
前のアナウンサーのかたが、
長岡花火のときに臨月で、
赤ちゃんが生まれることになったんですね。
それで、ピンチヒッター的に
入らせていただいたのが最初です。
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─── |
それから10年。
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小林 |
そうですね、ずっと。
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─── |
オーディションのようなことは?
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小林 |
とくになかったんです。
ただ、先代のアナウンサーと
私の声が似ているというのはあったようです。
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─── |
そうですか、似ていた。
ということは長岡の花火大会は、
昔からあの雰囲気のアナウンスだったんですね。
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小林 |
そうだと思います。
ゆっくりと、尻上がりに。
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─── |
「打ち上げ開始でございまぁす」と。
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小林 |
はい(笑)。
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─── |
それは、どのくらい昔からなんですか?
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小林 |
どのくらいでしょう‥‥
長岡まつりに放送設備が入ったのは
いつごろなのかはわかりませんが、
だいぶ前からそのアナウンスはあったはずです。
私が子どものころには、まちがいなくありました。
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─── |
物心ついたときには、
何度も耳にしていたんですね。
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小林 |
そう、あたりまえのように、
「打ち上げ開始でございまぁす」。
長岡のちびっ子なら、
みんな一度はマネするんです。
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─── |
小林さんも?
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小林 |
マネしてました(笑)。
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─── |
へぇー。
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小林 |
「開始でございまぁす」って、
友だちとふざけながら(笑)。
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─── |
ふざけながら(笑)。
まさかそれをご自分が、
10年も続けることになるとは思わずに。
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小林 |
ほんと、そうですよねぇ(笑)。
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─── |
最初は緊張しましたか。
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小林 |
緊張しました。
子どものころはふざけてマネしてましたけど、
自分が声の仕事をするようになってからは
同業者としてそれを聞くようになったので。
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─── |
そうか、そうですよね。
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小林 |
すごいなぁと思って聞いてたんです。
よくつっかえずに言えるなぁ、とか。
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─── |
なるほど。
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小林 |
だから初年度はすごい緊張で。
自分にあれができるのかって。
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─── |
いまはもう、ゆとりを持って?
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小林 |
どうでしょう、
だいぶ慣れはしましたけれども、
でも、やっぱり、当日は必死ですね。
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─── |
そうなんですか。
すごくのびのびとしたしゃべり方で、
聞いている私たちは気持ちよかったんですが、
やはり現場はたいへんなんですね‥‥。
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小林 |
忠実に、ゆっくりと、
ずっとそれを気をつけてやっています。
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─── |
忠実にゆっくり。
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小林 |
はい。
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─── |
では、あの、さっそくなんですが‥‥
そのアナウンスを
聞かせていただけますでしょうか。
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小林 |
‥‥はい。
きょうはもう覚悟してきました(笑)。
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─── |
すみません! 無理なお願いを言って。
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小林 |
こういうものを持ってまいりました。
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─── |
これは、台本?
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小林 |
はい、去年つかった台本です。
この中から(パラパラと台本をめくる)‥‥。
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─── |
最初ですので、何かこう、
基本的なパターンといいますか、
シンプルなアナウンスをお願いできれば‥‥。
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小林 |
ふつうのですね(探している)。
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─── |
はい。
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小林 |
‥‥これとかどうでしょう?
長岡市内、新聞販売業者会さんがスポンサーの。
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─── |
もう、
小林さんのチョイスにお任せしますので。
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小林 |
では、これを読みます。
‥‥緊張しますね(笑)。
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─── |
よろしくお願いします。
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小林 |
いいでしょうか‥‥はい。 |