*****************
ビル・バーチャーの「南瓜日記」
*****************
このページは、
私が「おばけ南瓜」を初めて栽培した年に起こった、
すったもんだの体験談です。
─いかに、この“ばかげた”趣味に「はまって」
しまったか。何枚かの写真とともに、お伝えします。─
今月の「ウェブサイト」・・テイク5マガジン,1998/10
『まったく非難されるべきは、
こんなコトを始めさせた私の甥である。』
「それは、いかに始まったのか」
デュカン・アルパイン(註:billおじさんの甥)が、
私にいくつかの種をくれた。
それらは私に、彼が育てた以上の「でかい」南瓜を
つくってやろうという気にさせたものだ。
彼のこれまでの記録は、ほんの150ポンド(約68キロ)
にすぎなかった。*註:1ポンド=0.454キロ
そして、多くの「初心者」栽培者が、
400〜600ポンド級のヤツを育てていたので、
私は、その挑戦を受け入れた。
だいたい、私はここバンクーバー島で、
まずまず有能な菜園家なんだ。
できないわけがない。だろ?
それに、いったい「おばけ南瓜栽培」に関して、
デュカン・アルパインは何を知ってるっていうんだい?
しかし、ここで些細だが問題がある。
この怪物をもってくるだけのスペースが、
私の小さな庭には確保できないのだ。
そこで、
私の古くからの友人、南瓜提灯
(註:ハロウィンで使うアレ)をこよなく愛する
ギルバート・ベイリーに助けを求めた。
彼女は、この計画のために
彼女の裏庭を使わせてくれることに同意してくれた。
小さめの南瓜を取り除く時がくるまで、
「口出しいたしません」という彼女の約束をとりつけ、
よしよしいい考えだ、と思っていたまではよかった。
彼女の裏庭に部屋は十分にあったが、彼女いわく
「最初はちょっと片付けが必要かも」ということだった。
そこで、彼女の地所をチェックしに出掛けた、んだが!
なんてこった! ギルバートの庭! 私の未来の南瓜畑!
...は、“ジャングル”だった。
低木やらブラックベリーやらがからまりあってるし、
樅の切り株は腐ってるし、大きな石がごろごろ...
「準備をはじめて...」
私は、頭をかかえた。
ひどく散らかったこの場所を
冬中になんとかきれいさっぱりとしなくてはならない。
来る日も来る日も、汗みどろになりながら、
薮を切り払い、土を掘り起こし、を繰り返した。
しかし、私の頭は「1000ポンドの世界記録おばけ南瓜」
の夢で一杯だった。...私は、すっかりこの南瓜栽培に
とりつかれ始めていた!
結局、250平方フィートの畑を確保した。
(専門家がすすめるのは、2500平方フィートだが、
まぁ、しかたがない。)
3月までに、土を作り直し始める。
泥炭やら、石灰やら、肥料、堆肥なんかもどっさり。
自動車何台分くらいになったろうか!
それから、その土をあたためておけるように、
黒いプラスチックで囲って、小さな枠を建てた。
さぁ、植え付けの準備はできたぞ!
「植え付け」
これについては、手短かに行こう。
しかし、私は初心者がおかしやすいミスをした。
まだ時期尚早だった。
氷を砕いているうちは、なす術はない。
何度も、途中でだめになりながら、
春も遅くになって、やっと4株を5月20日に土に移植した。
1カ月後、これらを間引きして、よい苗を残した。
「成長」
専門家いわく、
「“おばけ南瓜”を植え付けたら、まぁ後は
ひっこんでいればよろしい。
すーぐ、大きくなりますからね。
いうことなしっ! だね。」だそうだ。
7月の初めに、どうなっていたかというと...
<畑/7月初旬:写真>
そして、7月の終わりまでに...
<畑/7月下旬:写真>
「南瓜たちの“性生活”...」
そのころには、夏はすっかりやってきていた。
物事は、順調に進んでいた。
苗は発育し、花もちらほらあらわれていた。
はじめのうちは、雄花が多く、雌花は十分ではなかった。
それから、どんどん花が増えた。雄雌「両方」のね!
南瓜における“性”のあれこれについて、
そして“受粉”のことも、ざっと勉強して、
われわれは、すぐさま1ダース(註:12個)ほどの
「妊娠」が確かに進行中であることを確認した。
「妊娠」だって?
あー、つまり、「あかちゃん南瓜」ってとこかな。
<7月29日時点での、一番大きな南瓜
─胴回り44インチの“でぶっちょ”、
雌花(と思う)と一緒に:写真>
<畑、ほかの角度から:写真>
「生育調節」
8月の初旬までに、
われわれはちいさめの南瓜はすべて切り落とし、
結局ふたつの一番大きくて成長がはやいものを残した。
(私が、「われわれ」というのは理由があって、
このときまでに、ギルバートがそれまでになかった
興味をしめし、おまけに「無気味な」ことには、
いろいろ決める時だって
首をつっこんでくるようになっていたのだ)
さて、御存じかどうかわからないが、
コンテストで優勝するような「でかい」南瓜を
作るためには、その苗に一点集中するために、
全ての小さめで発育の遅い南瓜はあきらめなくてならない!
そうすることがつらいのはやまやまだが、必要なコトだ。
そして、その「つらい」決断は実行された。
(私も「つらい」決断は、いくつもしてきたものだ。)
それらの「残された」2つで、
やっていかなくてはならない!
「感情...」
しかし、おわかりだろう。
感情と愛着がその写真に入り込んできていることを。
両方の南瓜は、いまや100ポンドを超えて、
満足と楽しみを与えてくれる大きな原因になった。
(特にギルバートにとっては、ね)
“彼ら”は、すぐちかくで成長し、
ほとんど分かちがたいものと思われる。
事実、彼女は“彼ら”を「パパ」「ママ」と親しみをこめて
呼んでいる。(両親を亡くした後だったのだ)
私に奇妙な感情が芽生え始めてきた。
運命の“ボーリングボール”が、
今、私のレーンを転がりはじめたみたいに!
「ひとつ」を切り落とすことを検討することさえ、
ひどく精神的に傷つけることなのだ。
そして、決定は訂正された。
「われわれは、両方の南瓜でやってみよう!」
「8月」
8月中ひどく暑かったので、“フルーツたち”
(南瓜をこう呼んでいる)を、直射日光や、
じきやってくるだろうと思われる雨から
守ってやらなくてはならなかった。
われわれは、南瓜たちに「日よけ」を取り付けてやった。
<日笠をかぶった、南瓜たち:写真>
この月の終わりまでに、両方の“フルーツたち”は、
だいたい175ポンド(約79.5キロ)になった。
順調、順調。
記録破りってほどではないが、確かなコトがひとつ。
「デュカンには勝てそうだ!」
彼の南瓜は、未だ私のより小さかったから。
私にさらなる自信を与えたのは、
まぁギルバートがぎゃーぎゃー主張したせいだが、
さらに5つの受粉した南瓜を確認したことだ。
さぁ、今われわれの手中に、
1つの苗から7つもの素晴らしい南瓜が育っている。
栄光への道、一直線だ!
「奇妙なコト」
しかし、おかしなコトが起きた。
9月の初旬までに、
「パパ」と「ママ」の生育がすっかり止まってしまった!
どういうワケなんだ?
ちっこいのに、栄養分を吸い取られてしまったのか?
思うに、“時間だけがどんどん過ぎてゆく”、
ちっこい南瓜たちが、急速な生育をしたからだろう。
このままやるしかない。
とにかく「賽は投げられた!」のだから。
収穫する時まで、
すべてを“生かした”状態でゴールするとしよう。
ほかに何かあるとしたら、さぞかし立派な
ハロウィンの南瓜灯籠ができることぐらいか。
「たった1つの苗からできた複数の南瓜のトータルの重さ」
に関する記録を破ったなんて、
だれが知ってるっていうんだ。
すでに、栄光は我が手中にあるんだ!
「ついに、栄光が...」
1996年10月12日。
“おばけ南瓜”を初めて栽培した年は、
なんとも輝かしい幕切れを迎えていた。
残念ながら、“記録破り”の南瓜はなかった。
「ママ」は、ブリティッシュ・コロンビア州の
ナナイモで行なわれた
“バッカーフィールド おばけ南瓜コンテスト”で、
栄誉ある177ポンド(約80キロ)を記録し、
「パパ」は、197ポンド(約89キロ)で2等賞につけた。
あぁ! 誇らしいよ、そのリボンが。
オレンジと黒で、安っぽくて、
まるでこどもたちがもらっていたのにそっくりだ。
(こどもたちには、小さな南瓜灯籠が配られていたのだ)
でも、このリボンには、
口で言いあらわせないほど多くの意味がある。
この年「おばけ南瓜」に注いできた全てのものたちが、
ここには表わされているのだ。
(肥料に費やした、ささやかな貯えも含めて、ね)
そして、おどろかないでほしいんだが、
私の収穫した(もちろん、1つの苗から)南瓜の総量は、
なんと、749ポンド(約340キロ)にもなった!
これらは、私の友人たちへもおすそ分けされたが、
それは
それは
たくさんの「パンプキン・パイ」の中身になった。
<さて、このささやかな日記の締めくくりは、
私と「パパ」の写真としよう:写真>
<そして、「パパ」「ママ」と一緒のギルバート:写真>
ところで、デュカンの最終的な重さは、いかに?
それについては彼のページをご覧あれ。
(ちなみに“ぶさいく南瓜”賞をとったよ。)
その画像あり。
さて、ただちに来年の準備にとりかかるとするよ、
より「でっかい」夢をみながらね。
「おばけ南瓜」栽培は、おもしろい!!
===1997年「怪物南瓜」をちらっと見る方はこちら===
===ついに1998年、
ソルトスプリング諸島秋のフェアーにて、一等賞受賞!===
---南瓜栽培について質問があれば、
これらのページがなんでも答えてくれます。---
*ダン・ガードナーの世界級南瓜ページ
*デュカン・アルパインの巨大南瓜のページ
*パンプキン ヌック
「おばけ南瓜」のニュースグループもあり。
web上にアーカイブされていて、
調べたいことを検索できるサーチエンジン付き。
行ってみてはいかがでしょうか。
|