HOBO RADIO tune 1101.com fire
第4回オンエア 構成台本

[判決の日]

構成:鈴木工務店/村上 大樹

(ニュース速報の音楽)

NA:メー、こちら最高裁前です。
  おしどり銀行横領事件に関しまして、
  たった今、検察は元支店長の田中正吉被告に対し
  懲役10年の求刑をいたしました。
  メー、いよいよ弁護側の最終弁論を残すのみ、
  事件の判決が
  今、下されようとしております。
  メー、現場のヤギでした。

(裁判所内)

SE:ザワザワザワ

副裁判長:静粛に!静粛に!
     …それでは弁護側、最終弁論をお願いします。
     
弁護士:はい。

ガタッ、コツコツコツ。

弁護士:公判中、
    私は一貫して被告の無罪を
    主張しつづけてきました。
    そもそもこの事件は何者かに
    仕組まれたワナである。
    …そして昨日、私は被告の無罪を裏付ける
    決定的な証拠を
    遂に入手いたしました!

SE:ザワザワザワ

弁護士:みなさん、この書類をご覧ください!
(水を打ったように静まる一同)
(荘厳な音楽in〜)
    これは極秘裏に役員会で配られた
    横領でっちあげに関する計画書です!
     ここには被告を横領犯に仕立て上げる為の
     綿密なプランが詳細に書かれている!
     そして、そもそも3億円もの横領を
     働いたのは…
     副支店長のドクロ山ワル夫氏で
     あったということも…
     明確に記されています!

SE:ザワザワザワ

弁護士:みなさんもご存知のように
    ドクロ山ワル夫氏はおしどり銀行頭取
    ドクロ山ワル蔵氏のご子息であります!
    みなさん!このような会社ぐるみの不正が
    許されていいのでしょうか!
    被告は加害者ではない!被害者だ!
   裁判長!構成(公正)な裁きをお願いします!!
(Fadeout)

SE:ザワザワザワ

副裁判長:静粛に!静粛に!

SE:カンカン、カンカン

(静まる一同)

副裁判長:それでは裁判長。判決をお願いします。

子供:……死刑!

副裁判長:被告田中正吉を横領罪で死刑に処す!

弁護士:待ってください!

副裁判長:異議は認めません。

弁護士:いや、だってあの…
    だって裁判長…子供じゃないか!

副裁判長:子供に見えるのか!?

弁護士:ったって、どう見ても子供だよ
    つーか、アンタも誰だよ。

副裁判長:司会進行の愛川だ!!

弁護士:司会進行って!
    裁判に司会はおかしいだろ!

子供:バカモノ!!

弁護士:バカモノってなんだよ、
    やっぱ裁判長子供なんじゃねーかよ!
    おいガキ!話の流れを読めよ!

副裁判長:子供であるはずがない!

裁判長:え〜ん(泣く)

弁護士:泣くなよ!

SE:カンカン

子供:…死刑!

弁護士:ちょっと待ってよ!

副裁判長:弁護人も死刑に処す!

弁護士:なんでオレも死刑なんだよ!おかしいだろ

SE:カンカン

子供:…トーマス!

副裁判長:トーマスに処す!

弁護士:トーマスに処すな!どんな罪だよ!
    なんでオレがトーマスになるんだよ!

SE:カンカン

子供:…ハンバーグ!

弁護士:それ、「ぼくの好きな食べ物」だよね。

子供:今日も暑いね。

弁護士:何でも言やあいいってもんじゃねーぞ!

SE:カンカン

子供:死刑!

弁護士:トーマスじゃないのかよ!

副裁判長:これにて閉廷しまーす!!

弁護士:おいおい締めるな、締めるな!

子供:カンカンカン カンカンカン 
   カンカンカンカンカンカンカン
(三・三・七拍子の手拍子)

弁護士:トンカチで遊ぶな、トンカチで!
  
副裁判長:被告のますますのご健康を願って…

弁護士:死刑だろ!オイ!

副裁判長:よぉーっ、カン!

弁護士:一本締めかよ。(オフ気味の声)



[説得]

構成:戸田 昭吾/村上 大樹


(ニュース速報の音楽)

NA:えーこちら現場ビル前です。
  通報より2時間、
  どうやらとびおり自殺を図っているとみられる少年は
  依然、屋上の手すりを跨いだ姿勢で微動だにせず、
  現場には並ならぬ緊張が走ってます。
  なんとか飛び降りをくいとめようと
  現在も警察により必死の説得が続けられています。

SE:ザワザワザワ

刑事:早まるのはよしなさい!
   バカな真似はやめて今すぐ降りてくるんだ!
   何だ!?
   一体何が君をそこまで追い込んだっていうんだ?

(感動的な音楽in)

刑事:分かった、言いたくないのなら構わない。
   確かにみんなに聞かれたくない事の
   ひとつやふたつあるもんだ。
   だったらオレにだけこっそり教えてくれないか?!
   刑事としてではなく!一人の人間として!
   君が悲しみから立ち直る手助けをしたいと
   私は思っているんだ!
   秘密は絶対に守る!
   いいたくないのなら何もいわなくたっていい!
   さぁ…私を信じて…そこから降りてくるんだ…

SE:オオーーッ(どよめき)

刑事:…よ〜し!そうだ!その調子だ!
   落ち着いて!落ち着いて手すりにつかまって!
   ゆっくり…ゆっくりと…

(感動的な音楽out〜)

SE:キキーッ ガチャ、カツカツカツ

(拡声器オフで)
刑事:早く!こちらです。
(拡声器で)
刑事:聞こえるか!
   今、君のお母さんがかけつけてくれた!
   何があったのかは知らんが、
   お母さんを悲しませる権利は
   君にはないはずだ!
   これから早速お母さんの声を…

(オカマ声で)
母(父):ただし〜ただしちゃ〜ん〜!!


刑事:……えっ…あれっ…ああっ…(ハウリングありつつ)
   一つ訂正させてほしい!
   かけつけてくれたのは君のお母さんではなく…
   正確にはお父さんでした!
   知らせを聞いていてもたってもいられず
   新宿2丁目の仕事場から
   かけつけてくださったそうです。

母(父):ちょっと!離しなさいよ!何よ!
     男同士でサシで話させなさいよ!
     タダシー!家族三人でやり直そう〜!
     お父さんとタダシと、それから先週紹介した
     新しいお父さんと3人で幸せな家庭を築こう〜!
(小さく聞こえている)

母(父):何があったのかは知らんが
     秘密は……絶対に守る!
     だから…ああっ!ちょっと待て!オイッ…

     あっ…
前へ戻る