中竹竜二
(なかたけ・りゅうじ)
ラグビーU20日本代表ヘッドコーチ兼、
日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター。
1973年福岡県生まれ。93年早稲田大学人間科学部入学。
学生時代に全身麻酔をともなう手術を7回経験し、
ケガをするたびにラグビーをやめようと考える。
4年時にラグビー蹴球部の主将を務め、
全国大学選手権準優勝。97年に大学を卒業後、渡英。
ロンドン大学で人類史を学び、
レスター大学大学院社会学部修了。
2001年三菱総合研究所入社。
2006年早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任。
監督経験ゼロながらコーチングを徹底し、
2007年度から2年連続で全国大学選手権を制覇。
2010年2月退任。
同年4月、日本ラグビーフットボール協会
コーチングディレクターに就任。
2012年より、U20日本代表ヘッドコーチを兼任。
とじる
糸井
すっかり「にわかファン」です。よろしくお願いします。
中竹
はい。よろしくお願いします。
糸井
ここにあるのは、ワールドカップを見た僕が
にわかファンとして買ったマイボールなんです。
なにかにハマる時って、どうも形から入ってしまって。
中竹
いえ、だいじなことですよ。
糸井
形式をだいじにする身としては、
「GILBERT」と書かれたボールがほしかった。
ここで違うメーカーのボールを買ってしまうと、
「お前、なんでラグビー好きになったの?」
という説明もできません。
たとえば、ここに他のメーカーが書いてあると、
「あの2015年のワールドカップでさ」って
言えなくなっちゃいそうで。
中竹
ああ、たしかに先日のワールドカップでは
ギルバートが公式サプライヤーでした。
糸井
いつもギルバートなんですか。
中竹
毎回そうですね。
最初にラグビーボールを作った会社なので。
糸井
ああ、そうですか。
これはどこにある会社なんですか。
中竹
イギリスですよ。
ラグビーの発祥といわれる、
ラグビー校の目の前にある会社ですね。
糸井
お持ちいただいたのは公式のボールですか。
中竹
ここにあるのは本物ですね。
実際に大会で使われたボールです。
糸井
ああっ、書いてありますね。
「JAPAN」って。
中竹
そうですね。
糸井
ちなみに、ラグビーボールは、
洗って、また使って、ということを
繰り返すものなんですか。
中竹
はい。そういうものですね。
ただ、代表レベルになると、
すぐにボールを取り替えますね。
このボールもちょっと膨らんでいるんですよ。
わかりますか?
糸井
えっ? いやーっ、わからないですね。
‥‥‥‥あっ、でもよく比べてみると
ちょっと丸みがありますね。
中竹
そう、丸みがありますよね。
少しぐらい丸くなっても、
大学生や高校生なら使うんですが、
代表レベルになると持った感覚が違うので、
このぐらい膨らむと新しいボールに替えてしまいます。
練習の時でも、大きさが関係しない練習なら
膨らんだボールでもよくて、
チームのみんなが絡むような練習で
新しいボールを出すというローテーションです。
糸井
パスだとか、蹴るのには影響しますよね。
でも、スクラムで押し合うとかだったら
ボールはどうでもよくなるんでしょうか。
中竹
その時は、もう全然問題ないです。
糸井さんのミニチュアボールでもいいかもしれません。
糸井
これでもいけるんだ(笑)。
要は目印になればいいわけですね。
それにしても、ボールのとんがり具合って、
昔から知っていたつもりでも、
思った以上に、ものすごく鋭角的ですよね。
どこに跳ねるかわからないように思うんだけど、
テレビ中継で試合を見ていると、
まん丸いボールのように自在に扱っているんです。
変なところに跳ねちゃう想像さえしなくて、
選手たちはごく普通に処理できているんですよね。
中竹
それは、そう見えているだけかもしれませんね。
糸井
もちろん、そうなんでしょうね。
どこへ行ってしまうかわからない偶然性を
大いに取り入れるための形をしているにも関わらず、
その偶然性を対処できている人たちが、
あのグラウンドにいるということですね。
中竹
慣れの問題もありますが、
じつは、蹴り方を変えたりもしているんですよ。
昔は、「スクリューキック」といって、
ボールを蹴ったときに、
きれいな形のまま回転させていたんです。
そうすると、風に乗って飛んでいくんですけど、
風に乗りすぎてしまったり、
回転によって落ちちゃったりもしていたんです。
そこで最近は、ボールの先端を蹴って
バックスピンのような縦回転が主流になりました。
糸井
回転を変えたんだ。
中竹
まっすぐには飛ばせるんですが、
キック力がないと遠くには飛ばせません。
だから日本人は、あまり縦回転で蹴らなかったんですが、
最近は、五郎丸選手のようにキック力の強い選手が、
縦回転のキックをうまく使うようになりました。
糸井
縦回転のボールは、
激しく空気にぶつかりながら飛ぶわけですね。
中竹
そういうことです。
そして縦回転でいいのは、
落ちる場所もだいたい前か後ろかなので
わりと予想がつきやすいんです。
糸井
なるほど、横回転がかかっていると
風に流されやすいわけですね。
中竹
そうですね。
蹴り方や投げ方というのは毎年進化していて、
こんなにスキルが進化するスポーツも珍しいのかなと。
糸井
ほんとですよね。だって、横から縦だもん。
中竹
「基本はこうだよ」と言っていた基本が、
どんどん変わっていくスポーツなんです。
糸井
誰かが、うまくいくかなと思って試してみたものが、
「どうやら、これがいいらしいぞ」ということで、
チーム全体に浸透していくものなんですか。
中竹
そのチームで影響力のあるコーチとか、
リーダーがこれをやるぞと決めると浸透しますね。
糸井
でも、それがうまく浸透しない場合には
A選手は横に蹴って、B選手は縦に蹴って‥‥。
中竹
はい。好きなようにやっていますね。
糸井
はぁー、そういうものなんですか。
<つづきます>
2016-02-09-TUE
2月から7月に渡って、
南半球を中心に開催されるリーグ、
「スーパーラグビー2016」に、
日本代表チームとして初出場の
「ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ」
が参戦します。
開幕は2月27日(土)、
南アフリカ「ライオンズ」を
秩父宮ラグビー場で迎え撃ちます。
2月27日(土) 13:15-キックオフ
対 ライオンズ戦
3月19日(土) 13:15-キックオフ
対 レベルズ戦
4月23日(土) 14:15-キックオフ
対 ジャガーズ戦
5月7日(土) 14:15-キックオフ
対 フォース戦
7月2日(土) 14:15-キックオフ
対 ワラターズ戦