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虚実1:99
総武線猿紀行

総武線猿紀行第253回
「本物のドラゴン桜先生と激論!
 偏差値を上げアゲしてから騒げ!!」
泉忠司×サエキけんぞう!! その2
現代文を克服するカンどころとは?

前回は古文対策において、
『ドラゴン桜』でも触れられているように、
漫画でアラスジを読んでしまうことにより、
答えの類推をしてしまうことが
有効ということがわかりました。
ところが、世間のあらゆる試験では、
その手の方法が講じられると同時に、
出題者も出題傾向を変えるという
策がうたれてしまいます。
しかし、古文の場合は、
あながちそうではないような‥‥。
古文受験は‥‥ひょっとして浅い?
浅くならざるをえない事情がある?
というわけで、今回はその話題から、
漢文、そして現代文を克服するカンどころまでを
教えていただきます!
今回も即戦力で役に立つ第2回です。
自分の受験前に読みたかったヨ‥‥。

サエキ 今後、「古文は漫画や現代語訳で
内容を理解しよう!」ということについて
出題者側から、
対策を打たれてしまうと
いうことはないですか?
有名出典を避けるとか‥‥
ないでしょうね。
サエキ ない?
ないでしょう。無理ですね。
サエキ 無理‥‥
出せないと思う。危険ですね。
出題する側からすると、
あんまりマイナーなのから
引っ張ってくるのは‥‥。
もともと入試には
線引きするという側面と、
基本がきちんとできてるか
どうかを測るという
側面がありますから。
サエキ ということは、そのやり方は
とりあえずは、
不動だということですね。
古文に関しては絶対
そうだと思いますね。
サエキ スゴイ!
それでは古典漫画を
読むしかないですね。
みんながそれで
「できる」ようになる、という
アヴェレージ上昇ぐらいしか
リスクはないのでしょうか?
では、漢文は?
漢文は覚えることなんてほとんどなくて、
『ドラゴン桜』でも漢文に関しては、
とにかく漢文で点を取れと、
言及されてるだけです。
僕もね、漢文は別に‥‥。
日栄社の薄っぺらい
『漢文の基本ノート』という
当時200円で売ってた本(*)が
あったんですけど、
それをやって、1日ひとつ
漢文読んで問題を解くだけで、
満点取れましたよ。
(*註 現在は『新・漢文の基本ノート』として
 315円で市販されています)
サエキ おおー! 日栄社の。覚えてます。
ひなびた装丁が多いですね。
10日くらいあればできますね。
サエキ 漢文はね、面倒な気がして、
1冊終わることさえもしない。
それが良くない。
1冊、必ず終わらせればいいんだ。

泉さん御近影。
泉さん、巷の若い衆‥‥
ちょっとコワイ人、みたいでもあります!
そこもまたドラゴン桜っぽい!
それだけ読んで、頭に入れれば、
ほんとに覚えることないんで、
漢文で落とすなんて、もったいない。
ほんとに。そういう点で
古文・漢文は一緒でした。
それより、とにかく、
現代文があらゆる教科の
基礎になるという発想、
そして、時間が必要だと
いうことが重要です。
現代文で満点取る力をつけるには
時間がかかるんです。
サエキ さすがに、おいしい話
ばかりじゃない(笑)。
てごわいのは現代国語ですね。
それはどうしたら身につくのでしょうか?
受験現代文ならではの
読解方法があるんですよ。
現代文の問題を解くための
読解方法というのがあって、
これは、小説を読んだり、
エッセイを楽しんで読んだり
するのとはまったくちがって、
自分の考えをいっさい
入れてはいけないんです。
サエキ 自分の考えを入れないで読む?
それはとっても、難しいよ!
知らなかった‥‥。
そんなコツがあるなんて。
高田瑞穂さんという方が書いてる、
新塔社の『新釈現代文』。
今では絶版になった
その本の中に書いてあったんですけど、
ぼくはこれを読んだ瞬間から
現代文の読み方が変わりました。
現代文は問題を読み始めるときに
著者と手をつないで
森に入っていくようなものだと。
森に入って、たとえあなたが
右に進みたいと思っても、
著者が左に行く場合
付いていって
絶対に手を離してはいけない。
サエキ うわ、わかりやすいけど、
奇妙な世界観!
要は、自分が目が見えない状態で、
リードを相手に任せる
ということですね。
そうですね。そして、
ときどき立ち止まって、
自分が今どの地点にいるかを確認する。
そして、そのままの状態で、
つまり、著者の手を握ったまま
森を抜ける。
それが現代文の読み方だと
書いてあるんです。
そうだなーと思って。
この読み方を完全に会得するのに
時間がかかる。というか、
『新釈現代文』はまず
その参考書そのものを
読解するのが難しいんですよ。
サエキ そう簡単なことばかりじゃない(笑)。
ゲンコクってなんか点とれないな〜、
と思ってたら、
そういう難しさだったんですね。
これ1冊読み終わった時点で
僕、完全に読解力ついてました。
サエキ そっか。参考書を読むこと
自体が難しいわけだ。
でも、その心がまえを
知ってるだけでも、
大きく差がつきそうな気がします。
もう一度受験したくなってきた!(笑)
それを1冊読み終わってからは、
評論文なんかでは
間違える気がしなくなって。
その後ですね、
『田村の現代文講義』だとか、
あの手の本を読んで、
「こういうテクニックがあるんだな」
となったのは。
現代文のテクニックは
確固たる読解力が備わっている場合には
大きな力になるけど、そうじゃない場合、
小手先だけの技術にすぎず、
どんな問題が出題されるかに左右される。
そういう意味で、現代文には
すごく時間がかかるんです。
しかも、1日ひとつは
現代文の問題を読んで解いてないと、
問題勘が鈍る。さらにまた時々は、
基本に立ち返って『新釈現代文』を
読み直すこともやって‥‥
ということで、
すごく時間がかかりました。
でも読解問題は絶対に解ける
自信が持てましたよ。
漢字の問題はたまに間違えましたけど。
サエキ 1日ひとつ現代文問題を解くって、
けっこう大変です。地道な努力が、
ここには必要なんですね。
今はまだ10月だ、間に合うぞ!

(次回に続く!)

泉 忠司さん

イギリス文学・文化専門の大学講師
作家・俳優・脚本家・演出家・プロデューサー、
作詞家、歌手、恋愛コンサルタント、元レスラー
泉忠司公式ページ:http://www.izumi-tadashi.net

【著作】
『泉式文科系必須論文作成術』(夏目書房)
『SONGlish!
 宇多田ヒカルSONG version』

(夏目書房)など

【俳優活動】
「木曾義仲−横田河原の戦い−」主演
「kakurega」プロデュース・脚本・演出・主演

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2005-10-12-WED

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