サエキ |
試験勉強を成就させるためには、
担当の先生を好きにならないとまずいと。
もうとにかく、見た瞬間に好きになれと。
抱きついてもかまわない。
何してもかまわない。スキンシップ!
そういう、ある意味では
邪悪ともいえる考え方というのは、
16歳くらいにならないとできない。
それを中学生に、教えるのは本当は、
イヤですよね。高校生ぐらいになったら、
それができるかな。そういえば、僕はね、
すがるような思いで、よく高校のころ
質問に行きましたよ、先生に。
なぜなら、とにかく勉強嫌いだし、
科目も嫌いだし、何を覚えたらいいのか、
全然わかんない。だったら、質問くらいして、
意欲的になるしかないだろうと。
質問しにいけば余計なことも
色々教えてくれるから、それを機会に
少し理解が深まるんですよ。
だからよく質問しにいったんですよね。
先生が嫌いな場合は、
質問に行けなかったけど。
でもね、大抵は先生が嫌いなのではなくて、
科目というか、教科書がイヤなだけ。
そういうわけで、
善処できることといったら、
質問くらいしかないわけです。
だって、授業はほんとつまんないですよ。
考えてみると、よくあんなもので
青春を塗りつぶしやがったな、と思いますよ。
残念ながら、勉強の面白さは、
予備校で知った。予備校で物理も数学も、
古文もわかった。
泉さんを含むスーパー先生たちで進めたら、
すごい優秀な人間ができますよ。 |
泉 |
僕もよく質問はしたんだけれど、
僕の質問の仕方って、
好きになろうというのとは違ったし、
知らないのとも違って、変なんですよね。
僕はライバル心じゃないけど、
たとえば現代文の先生が
青学出身だったんですけど、
青学倒さずして東大に行けるか!って。
青学を倒すために、質問に行って
「先生ここのところは、
僕はこう思うんですけど、どうですか?」
って。で、いつか先生に
「あなたの言ってることは正しい」
って言わせたいというつもりで
質問に行ってた。けっこうこれをやると、
先生に打ちのめされるんですけど、
そのうちに先生に勝ったことがあるんですね。
そういう変な質問の仕方でした。 |
サエキ |
僕のよりアグレッシヴ、
積極的という感じですね。 |
泉 |
変なライバル心。そういうことをやってると、
それはそれで、先生になつきましたね。 |
サエキ |
とにかく、スキンシップをすれば
悪い方向に行かないというのは
あるんですよ。 |
泉 |
それはそうですね。 |
サエキ |
やっぱり、教師と生徒の関係で
ありがちなのは距離がありすぎること。 |
泉 |
ほんとですね。 |
サエキ |
それがたとえ、ほんとに体で
ぶつかってくるような、
度を過ぎると問題ですけど、
いたずらにしても何にしても、
とにかく先生と何らかの
交渉を持とうとすることが大事ですね。
交渉を持たないようにするよりは、
持ったほうが有利。 |
泉 |
それはそうですよ。 |
サエキ |
その感覚ですよね。
女の子だったらいいけど、
男は面倒くさいから
接したがらないというような先生がいるけど、
それは、社会的に問題ですね。 |
泉 |
社会人としても。
あらゆる人間関係でいえますね。 |
サエキ |
この対談では、世間の常識である
「とりあえず先生の言ったことは正しい」
とするのは程遠い、
いわゆる不良的な結論を
出してしまったわけです。
テストというものがあって、
それで評価されてしまうことが
避けられないのだとすれば、
スキンシップを含めた何らかの攻略で、
とにかくその先生の世界に入って
行かないと‥‥いい点はなかなかとれない。
自分の点が悪いことを
先生のせいにする場合がありますよね。
「悪い点をつけたから、先生はけしからん!」
とか言うことがだれにでもある。
そういうトラウマって、
社会に出てからもある。
「部長はおれのことわかってくれない」
「店長はおれの仕事わかってくれない」
「レコード会社はおれの曲わかってくれない」
「事務所の社長は私のタレント性
わかってくれない」とかね。
でも、考えてみると、高校の授業からして、
先生とわかりあっていないと
イイ点とれない場合もあるんですよね。
だから、社会でのそれも似てるな。
ようは、スキンシップして
わかりあってないとうまくいかない。
それをうまくやらずにグチってばかりいると、
後ろ向きな人間である、ってことになる。 |
泉 |
社会性の欠如した
大人になるということですね。 |
サエキ |
重度になると、社会人とはいえなくなる。
幼稚園、小学校、中学校、高校と、
それぞれの出会いにおいて、
先生とはいかに理不尽か、
先生の考えていることは、
少しは間違ってるとか、
最初から思った方がいいんですよね。
僕はそれを声を大にして言いたい。
「社会は不条理」ということ。
もちろん、素晴らしい先生は
たくさんいらっしゃいますよ。
そのことは、信じてます。
世界でも日本の先生は、
素晴らしい水準にあったりするかもしれない。
でも、アヴェレージでは、
少なからず理不尽と思っておいたほうが
いいかもしれない。
人間は思うがままに任せない存在だからして、
必ず矛盾した状況を社会関係の中で、
正負同時に抱くことがあると。
それを乗り越えるためにケンカしたり、
スキンシップしなければならない。
先生とケンカしても、それでも、
その末に何かイイことが待っているんだ
という気持ちが大事だと思う。だけれど、
「自分が正しいことをしているんだから、
先生も、回りの人も、
上司も分かってくれて当然」
と思っている人が世の中、ものすごく多い。 |
泉 |
多いですね。 |
サエキ |
多いでしょう?
教育の現場だとすごく多くないですか? |
泉 |
メチャメチャ多いです。
だって、みんなが一国一城の主ですからね。 |
サエキ |
一国一城の主?
ヘタしたら自分だけの知識に
一国一城なんですね?
僕のおいっこちゃんが、中学で
「英語の授業出たくない」というから、
「そんなこといわずに聴きなよ」といったら、
「だって英語の先生、characterのこと、
チャラクターって発音するんだ」
といってた。これは極端な例だけれど。
そういう先生は、テロリストですよね。
一種の。 |
泉 |
だから、たいへんなことになるんですよ。
ほんとに。 |
サエキ |
大変な人っていうのは、
先生にも多いんだよね。 |
泉 |
先生だから多いんだと思いますよ。
みんな「先生」「先生」って呼ばれるから。 |
サエキ |
いや、泉先生もどうか、がんばって、
そしていろいろ気をつけて下さい。
ありがとうございました! |
泉 |
こちらこそ、ありがとうございました! |
サエキ |
最後に「先生をLOVEれ、
先生も社会もどうせ不条理!」 |