MUSIC
虚実1:99
総武線猿紀行

総武線猿紀行第286回
「こんにちわ! セブンティーズ」
〜サエキ70年代本出版!
 そこに書けなかったことなど‥‥その5

クリスマスにごくごく近づいてきました。
みなさんいかがお過ごしでしょうか。
クリスマスについて
「どうせ部屋でゲームするんだ」とか
「そば屋に集まろう」とか宣言すると、
やけに受けがいいです。
クリスマスといえば、
カップルでレストランやホテルに繰り出すということが、
目立っていますが、
その人たちが総人口に含まれる割合は
果たして何%でしょうか?
カップルといっても、
クリスマスに繰り出すようなカップルは、
「旬」のカップル。
そこそこ付き合いが長くて忙しい者同士は
繰り出すこともできないでしょう。
つまり、たいていの男女はクリスマス状況から
落ちこぼれているわけで。
ですから、それを横目に開き直って考えるというのが、
スタンダードな国民の過ごし方かもしれません。

英国などでもクリスマス商戦が加熱しすぎて、
今年は9月ぐらいからクリスマス宣伝がなされ、
「いくらなんでも早すぎる、
 クリスマス当て込みもいい加減にしろ」
との報道がなされてました。日本だけではないのですね。
それにしても、イルミネーションは
尋常じゃないほど豪華になってます。
先日銀座を通りましたが、
もう歩いているだけで
エレクトリカル・パレードの中にいるよう。

それから民家の電飾!
まじスンゲエことになってます!
某住宅街で撮ってきた写真を見せます。
これ、全部どこかのパパの手作りですよ。
すごくないですか?
ぼくんちディズニーランド?
という風情ですね。
電気代、12月分でいくらぐらいかかるんだろう。











さて、前回の続きです。
某ホテルに就職した後、独立して、
様々な苦労もしてきた布施聡君は、
すっかり丸く、いいオヤジになっていました。
心の底からにじみ出てくる微笑が、魂をひたします。
う〜ん、同窓会はいいもんだ。
そして、担任、ナミシゲこと
並木茂文先生が中央に座ってます。
僕はこの先生に500回はビンタされました。
「先生、またビンタしましょうよ!
 子供はビンタされてなんぼですよ。
 先生にビンタされて良い方向になっても、
 こんなものです。だからまたビンタして下さい!」
と挨拶すると、満面の笑みをたたえてくれました。
そんな僕は「往復ビンタ」という曲を現在歌ってます。
布施君と僕はビンタされ王子だったのです。

そんな先生が当時、
果敢に便所掃除を進んでやっている生徒を誉めたあと、
タラタラ遊んでいた僕に対して
「お前みたいなペーペーにこんなことができるか?」
と怒りました。
「ペーペー?」
新鮮な響きでした。
しょうもない、吹けば飛ぶような人間に対して
いう代名詞ですが、当時は知りませんでした。
「ペーペー、面白い言葉だなあ」
ブジョクされたことは全く気にならず、
そういう感想だけが心に残りました。
ビンタをされ続けたおかげで、
授業中にSM本を読んだり、
地下室をくぐりぬけて女子更衣室をのぞきにいったり
(見えませんでした)
ペーペーの僕もなんとか大学に入りました。
1978年大学1年、少年ホームランズという、
布施君と組んでいた中学時代の宴会バンドの名前をとり、
新しいバンドを作りました。
メンバーは千葉のロック仲間達。
8月に千葉の中央のビルで
「ハイ・ヴォルテージ」という
僕らにしてみれば、大きなコンサートをしました。
(800人収容のホールに400人ぐらい動員)
そして、10月には、練習をしていた
パリー美容専門学校(キーボードの上野耕路君
<ex.ゲルニカ、8 1/2,ハルメンズ>の実家が経営していた
学校)の一室で、
最初のデモ多重録音「俺はペーペー」を録音しました。

♪朝からジャラジャラ・ちゃらんぽらん、
 ウダウダしてるエーカゲン
 頭七三ビジネスマン、グルグル回る山手線
 頭の中は鳴門巻
 ど〜しちゃったか人生は?
 わからねえまますっとばす。

 俺はペーペー 俺はペーペー!

中学時代のビンタされ続け状態から
連続した人生状態をえがいた曲。
この最初のデモテープには、布施聡が僕にどなる
「ペーペー!」という声もしっかり入っています。
この模様については
「さよなら! セブンティーズ」に
詳しく書かせていただきました。
少年ホームランズはその後、上野耕路が正式加入し、
さらに戸川純とヤプーズを結成する泉水敏郎が加わり、
本格的なデモテープを10曲録音し、
ハルメンズというバンドに移行します。
このデモテープは「少年ホームランズ12」という
CDとして発売されました。
しかし、その前、一番最初のデモテープ
「俺はペーペー」は長い間オクラ入りになっていましたが、
先日の掃除で大発見いたしました。
カセットからは中学と千葉の匂いが
ムセるように香ってきます。
そんな最初の「俺はペーペー」を、
来春発売する紙ジャケ「少年ホームランズ16」に
収めることができそうです。
ペーペーの不思議な旅路ではあります。

70年代について、
80年代も90年代も考えるきっかけはありませんでした。
今、様々な物事が、
70年代について考えることを欲しているように思えます。
それは、当時まだ一切のデジタル機器はなかったことと
関係あるかもしれません。
銀行のカードが普及したり、ファクスが使われたり、
マイコンが学校に登場したり、
VHS&βヴィデオレコーダーや
留守番電話が登場するのはすべて80年代。
70年代の手ざわりは限りなくアナログなのです。
そんな時代が今、どうしようもなくいとおしい。
人間関係や学校も今とは違う。
ビンタもペーペーもディープ・パープルも
ダイナミックに地域社会に溶け込んでいたのです。
70年代に生まれてない皆さんも、
僕の本で、ぜひ70年代にトリップしてみませんか?

(この項終わり)

 

サエキけんぞうPresents
『ゲンスブールTOナイト!
 (GAINSBOURG TONIGHT)』

gainsbourg

6年ぶりに、LOFT Aの熱烈なラブコールで、
あの「ゲンスブール・ナイト」が「ほぼ」帰ってきた!
‥‥といっても知らない人もいると思うが、
フランスの、いや、世界のカリスマ、
セルジュ・ゲンスブールを探求し、楽しんじゃう会。
初心者&一見さんから、
フレンチ・エキスパートの方まで
ディープに楽しめる出し物満載!
ホストはサエキけんぞう、
メインゲストは緒川たまき!(ソリトンコンビ?)
ゲストに、松蔭浩之、チェルシー(まつゆう)他多数、
生演奏には、サエキけんぞう&Club Je t'Aime、
本格ミュゼット・アコーディオンの田ノ岡三郎、
そしてDJには、梶野彰一(L'APPAREIL-PHOTO)が参加!
他、ミニ・ファッション・ショウ、
そしてそして当日お楽しみのアトラクションも用意!
予感超絶濃厚な一夜になります!

■公演日■ 2007.12.19 (Wed)
■場 所■ Asagaya / Loft A(阿佐ヶ谷)
 JR中央線阿佐谷駅南口を降りて、左手、
 マクドナルドの右ナナメに入るアーケード街、
 「パールセンター!」そこに入り徒歩2分だ!
 〒166-0004 杉並区阿佐谷南1-36-16-B1
 JR中央線阿佐谷駅パールセンター街
■時 間■ 18:00 OPEN 19:00 START
■料 金■ 前売 2,000円 当日 2,500円(飲食別)
■出 演■ サエキけんぞう
      緒川たまき
      松蔭浩之
      chelucy(まつゆう)
      田ノ岡三郎(アコーディオン)
      サエキけんぞう&Club Je t'Aime
      その他、飛び入りゲスト有
      DJ:梶野彰一(L'APPAREIL-PHOTO)

saeki

■協 賛■ blues dress
■チケット予約■
 ★チケット予約受付開始 2007.11.10.(Sat)
  前売券はローソンチケットにて発売!
  (Lコード:33351)

『さよなら! セブンティーズ』

book

久しぶりの書き下ろしエッセイ
『さよなら! セブンティーズ』が
2007年2月28日に
クリタ舎という会社から出版されました。
禁断の70年代の記憶お蔵だしで、
大滝詠一さん、YMO、ミカバンドなど、
小学生から高校生時代などに見たライブや、
ハルメンズの前身=少年ホームランズの
生まれる背景まで、また、その頃の日本について、
細かく語りこんだ文章です。
自分としてはかなり思い切った決断であり、
追憶の辺縁をハジキ出す作業でもありました。

■『さよなら! セブンティーズ』サエキけんぞう
定価/1470円(本体1400円+消費税)
体裁/四六判変型並製 224ページ
発 行 クリタ舎
発 売 株式会社ごま書房 
ISBN978-4-341-13132-6
Amazonはこちら

サエキけんぞうの公式ホームページ

http://www.saekingdom.com/

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2007-12-18-TUE
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