MUSIC
虚実1:99
総武線猿紀行

総武線猿紀行第287回
「ジ・エンドへのカウントダウン
 そのマイナス14番」
<カセット万歳! 人生はアナログである。>

皆様、いかがお過ごしでしょうか? サエキけんぞうです。
正月を経てバレンタイン!
この連載もいよいよ300回で大団円ということになりました。

更新に手間どい、断腸でしたが、
人生マイペースに行くしかありません。
今回含めて14回、どうかよろしくお願いします。
この空間を惜しむように一文字一文字、
心を込めてお送りします。

さて、昨年末から何に忙殺されていたかといえば、
まずは倉庫探しであります。
倉庫といっても、部屋ですが。
まあ、ヤバい部屋があるわけです。
レコードとCDと本と雑誌とビデオがとっちらかってる。
とてもじゃないけど、
人に見せられる状態ではありませんが、
自慢すべき部分もあります。

それは、その部屋を形成するあらゆる山脈の中で、
ある山の部分は、手つかずで物が詰まっていること。
鉱物の原石のように、
あるいは化石が空気に触れずにその形を留めているように、
大事な部分が保存されているのです。

人間の手を入れること、それは腐敗や喪失を生みます。
人智により整理をすること、
それは過去という無形の財産に手を入れること。
ある時点の判断で捨ててはいけないものがある。
過去は、手つかずにとっておくのが一番なのです。

今回、必要だったのは、自分の最初のバンド、
少年ホームランズやパール兄弟のお宝音源。
紙ジャケ化をするにあたり、
ボーナストラックを付与しようとの意図から、
捜索が要請されました。

ライブの音源、それは多数のライブ活動を行っていた場合、通常は処分されてしまうことが多い。
マネージメント音楽事務所などではとてもじゃないけど、
キチンと保管しておくことはできないでしょう。
社会人として通常は「整理してとっておこう」
というのが保管の原則です。
新聞のスクラップや雑誌のバックナンバーなどは、
それが可能だと思います。
「目に見える」から。
ところが、音の場合、
例えライブ日時等のクレジットが入っていたにせよ、
それがどんな演奏内容だったか? とかを頭に入れた上で、
取捨選択しながら整理しておくことは難しいのです。

数年前に漠然と、そうしたカセットを整理してみようかな?
と飲み屋で思い立ったことがあります。
横にいた、僕と同じようにカセットを保管している先輩に
「お前、漠然と整理しようなんて、死ぬぞ、やめとけ」
といわれました。そう、カセットの山は、
人を遭難死させるインパクトがあるのです。
(遭難の理由は様々‥‥手間、ほこりなど)
しかし、今回は目的は明確、やらねばなりません。
ヤマの中の目的物は見当ついております。いざ出陣!
発掘開始からしばらくして、
すぐに少年ホームランズの未発表初期デモテープ、
パール兄弟貴重ライブなど、
いくつかの重要作がお目見え。


無事、発掘された、音が想像以上に良い
パール兄弟のカセット群。

早速カセットプレーヤーに!
うわ! そんなに使ってないWカセットデッキが壊れてる!
“☆ONYタイマー”かよ!
いきなりカセットデッキ注文です。
翌々日、新品のデッキで再生、
うわ! 今度はテープがハーフ(カセットケース)との
付着部分から切れます。
ネジではずしてテープでくっつけてと。やっと聴ける。

いきなりすごく良い音が耳に飛び込んできました。
デッキが新しいことも手伝っていますが、
約25年を経たカセットの音は超健在!
すごい!
低音が最近のデジタル録音や
CD、MP3音源などで聴くサウンドとは全く違い、
アナログテープ独特の太くて、腰の座った音。
サウンド全体がうまく丸くまとまっている。
しばらく、きちんとカセット音に
向き合ったことはありませんでしたが、
こんなにもデジタル時代の今聴くと
素晴らしく聞こえるとは。

カセットのアナログテープの場合、
頑丈なプラスチックハーフに収まっていることも、
長持ちの原因です。丸裸のテープの固まりである、
オープンリールの場合、しばしばカビたり、
くっついたり、再生不能になることが多いのですが、
カセットは、切れなければ再生可能であることが多い、
レコードと並んで極めて優れたアナログ製品なのです。

今回、パール兄弟は、ビクタースタジオ(FLAIR)の
山崎さんというエンジニアによって
マスタリングされましたが、
あまりにもカセット音源の音が良いので、
「ボーナストラックから先に、CDに入れよう!」
という暴言をメンバーでギターの窪田晴男が発しました。
さすがにそれはちょっと‥‥。
しかし、実際にボーナストラックから先に入れた
オリジナルアルバムCDを出した
アーティストが存在したのです!。

昨年11月に発売された、0座標というグループの
「脛噛りの一人言+解散新曲ライヴ40分!」
というCDがそれで、
「※1.〜12.bonus track、13.〜23.脛噛りの一人言」
という表記があるので間違いありません。
すごいことするなあ。

というわけで、そうして発掘されたボーナストラックを
満載して、2月16日には、ウルトラヴァイヴから、
僕が最初に組んだグループ、
少年ホームランズの紙ジャケが発売になります!


少年ホームランズのカセットハーフ。
見知らぬ(自分が書いたが忘れた)曲名や、
「私ヤヨ!」という曲の原題「私イヤ!」などメモが。


太田蛍一さんの素晴らしいイラストが目印!
その後も、続々とカセットのヤマを掘り続けました‥‥。

(マイナス13番に続く)

【ライブのお知らせ(直前でごめんなさい!)】

サエキけんぞう
〜Club Je t'Aime クラブ・ジュ・テームVol.4〜
featuring クロード・フランソワ

豆風ライブハウス:daikanyama「晴れたら空に豆まいて」

3月に仏日同時発売になる
クロード・フランソワトリビュートアルバム
「CLOCLO MADE IN JAPAN」発売をひかえたライブ!

■公演日■ 2008.2.15(Fri)
■場 所■ daikanyama 晴れたら空に豆まいて(代官山)
■時 間■ OPEN 18:00 START 19:00
■料 金■ 前売 2,500円 当日 3,000円(別途Drink)
■出 演■
★サエキけんぞう&Club Je t'Aime
(サエキけんぞう:歌
 nanase:ピアノ/木恵つよし:ギター
 古島知久:パーカッション/岩崎恵一:ベース)
今回は、5人のバンド編成にて、
フレンチの世界をお届けします。
★Pecombo [ペコンボ]
ハッピーでお洒落なスキャットの5人組
コーラス・グループ。
「気持ち良過ぎのスイング感!
 驚きのスキャットコーラスグループ『ペコンボ』で
 あなたもパヤパヤ」(byコモエスタ八重樫)
シンガポールツアーを経て更にスケールアップした今回は
一年ぶりのフルバンド編成でのライブ♪
☆☆Special Guest☆☆
かしぶち哲郎
ピエール・バルー、ミッシェル・ルグランとの共演などで、
フレンチシーンにも大きな足跡を残している
ムーンライダーズのかしぶち哲郎がソロ曲を披露!
今年はソロアルバムのリリースも期待されている!
★他 豪華シークレット・ゲスト出演予定

■お問合せ■
■ daikanyama 晴れたら空に豆まいて
http://www.mameromantic.com/

〒150-0034 渋谷区代官山町20-20
モンシェリー代官山B2

少年ホームランズのCDがもうすぐ発売!

少年ホームランズ16
ウルトラヴァイブ/JPN/CD/CDSOL1214/IND1736/
2008年02月16日/2,625円(税込)

初期デモ音源発掘収録!!!!
ユニバーサルミュージック「ハガクレ」との連動企画!
80年代のポップ・エッセンスを凝縮したパール兄弟の名盤
7タイトルが紙ジャケットでリリース!
ソリッドからは前身のハルメンズのさらに前身
「少年ホームランズ」唯一の作品にボーナス付き!
サエキけんぞう、上野耕路ほか日本のテクノ・ポップ、
ニューウェイヴにおける重要人物を輩出した
「ハルメンズ」の前身となる「少年ホームランズ」。
1988年にリリースされた
『少年ホームランズ(79年録音のデモ音源集)』に
ボーナス音源を収録して紙ジャケット・リリース!
「昆虫軍」「電車でGO」「私ヤヨ」など
その後ハルメンズや戸川純でも演奏される
お馴染みの楽曲のオリジナル・ヴァージョンも収録。
きらりと光るポップなメロディとアレンジ、
そして佐伯の歌詞、いずれも今こそ聞きたい
ジャパ・テクノの名盤。
CD盤のみに収録された「アンドロイドな女」「電車でGO」
に加えて、前年78年録音の「俺はぺーぺー」、
「私ヤヨ!」のプロトタイプ「私イヤ」など
さらに貴重な音源を発掘して収録!
ジャケットは太田蛍一、最新デジタル・リマスタリング。

ディスクユニオンで買えば、なんと特別CDR付!

サエキけんぞうの公式ホームページ

http://www.saekingdom.com/

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2008-02-13-WED
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