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虚実1:99
総武線猿紀行

第35回
「ぼはなん映画祭」と「ハンブルグ国際短編映画祭」


映画祭といえば、僕にとって一番なじみが深いのが、
今は無き池袋の文芸座ル・ピリエで年末に手塚眞君が
(今度5年以上かけた大作「白痴」が公開されます)
やっていた「ぼはなん国際映画祭」。
これは日本のバカ映画祭の草分けで、
1983年ころから1995年ころまで行なわれたもの。

僕は10年ほど審査員をしました。
手塚眞君が、トニー谷をそのままゲバゲバ90分の
「あっと驚く為五郎」にしたような扮装で
完全な白痴司会をつとめながら進行し、
全国から集まった30篇以上の短編バカ映画を
上映するというもの。
ゴングショウ形式で審査は進み、
大太鼓がドーンと審査員によって鳴らされると、
その場で上映はストップされるという映画祭です。

年末のくぐもった空気の中、
東京の哀愁の雑踏の代表格のような池袋の空気の中、
くりひろげられる映画バカたちの競演は、
異常なやすらぎのひとときでした。
外に出れば、キャバレーのよびこみのお兄さん。
中はウンコも飛び出すバカ映画。もうすぐお正月……。

その中で、毎年数々の名作を届けたのが「なにわ天閣」氏。
強烈なブラックユーモアが感じられるその物語の骨格は、
昨今の、プロ、アマを問わず映画、漫画にあふれている
ウス味なパロディテイストの作品群とは一味違う
大変個性的なもので、
「こいつはいつかどうにかなるかも?
(どうなるのかはしらんが)」
と思わせるものでした。
そんな彼から、久しぶりに、ビデオと手紙が
届けられました。

その内容はなんと「ハンブルグ国際短編映画祭」に
ノミネートされ、スタンディングオベイションで
上映を終えたというのです!
日本のバカ映画の水準は国際的なものになっていたのです。
あの年末の脳もトロけて、人によっては
「二度とゴメン」とイヤがられた映画祭が、
ついに国際スターを生み出したのです。
まずは、天閣氏直筆の漫画によるルポをお楽しみ下さい。
そして、インターネットで20秒の傑作、
「みどりちゃん」のコマ上映……。


●みどりちゃん

1、タイトル


2、「こんにちは、私みどり」


3、おかあさん「みどり、はやく起きなさい!」


4、「やめて、ママ、起こさないで」


5、「やあああめええてええええ、マアマア、
   おこさああないでええ……」 


6、END

1999-08-26-THU

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