スタパ: |
人型の一番ちっちゃいロボット。
小さめのサイズのが発表されて。 |
サエキ: |
この間発表されたやつですね。 |
スタパ: |
あれがインターネットで
映像で見ただけなんですけど、
去年発表されたのが130何キロだったのが
40何キロになってて、何かかわいい感じ。
多分バランス制御の技術とか
コンピューターで制御中に
またリアルタイムで演算する
技術とかすごいんですけど、
そういうのが具体化して
結論となってる装置って
そんなに使い道はないんでしょうけど、
でもまあロボットのためなんでしょうね。 |
サエキ: |
まあね、ほんと無用の長物っていえば
無用の長物ですよね、ロボットは。 |
スタパ: |
だから歩いたからどうなんの? っていう。
「ちょっとした技術の塊を
ここに置いときたいんですよ」っていう。 |
サエキ: |
無用の長物の最高峰ですよね。 |
スタパ: |
そうですよね(笑)。
でもまあ多分それでロボットは
介護とかに使うって言ってますけど
そんなすぐには無理だろうっていう。
あと20年ぐらいしたら
もしかしたらわかんないですけど。 |
サエキ: |
開発してる人の頭の中は、
必要性なんかどうだっていいという、
技術のための技術みたいな感じなんでしょうか? |
スタパ: |
ものが好きというのもあるんですけど、
中に詰めてる先端技術って
ちょっと触ってみたいし、
手にしてみたいっていう。 |
サエキ: |
そうするとスタパさんは、
ユーザーとしては最強に強まった
ユーザーなんですね。
科学者がいるとしますよね、
マッドサイエンティストに近いような
最高の科学者が。
それでそういうユーザーの最高峰に
スタパさんもいることに
なるんでしょうね(笑)。 |
スタパ: |
(笑)。ですよね。
メーカーさんにいってちらっと話を聞くと、
広報さん経由で聞くんですけど、
この間日立の新しいディスクを扱った
ビデオカメラが発売されて、
もう「すごーい、かっこいい、技術的」
みたいな感じで、
「是非紹介したいんで貸してください」
って言ったら、最初は台数がほとんどないんで
「貸せないよ〜」
みたいなことをいわれてたんですけど、
それを広報の人に編集部経由で頼んでみたら、
メーカーの技術者の人達が
「スタパがやるんだったら
もう貸し出しでしょう!」。 |
サエキ: |
(爆)。 |
スタパ: |
なんかもう、ちょっと絆ができてる感じ。 |
サエキ: |
そうですよね。
最強に強まった同志の
キズナができてるんですね。 |
スタパ: |
僕はそんなに広報の人には、
ズバズバ書かないで欲しいって言われてる。 |
サエキ: |
そうらしいですね。 |
スタパ: |
技術者の人は僕の文章好きらしいんですよ。
「このDVDの8センチの中に2時間ですよ、
あなたちょっと考えてみてください」
みたいなこと延々と書くんですけど、
そういうのが大好きみたいですね。 |
サエキ: |
だから要するに
そういう広報っていうフィルターというか
一枚の壁、ベルリンの壁さえなければ
同じ「技術者もスタパさんも同じドイツ人!」
みたいなね(爆)。 |
スタパ: |
そうですそうです(笑)。 |
サエキ: |
広報は宣伝すればいいわけですもんね。
批評は必要ないわけですもんね。 |
スタパ: |
結局、広報じゃなくて
技術の人から直接メールが来ることが多くて。 |
サエキ: |
(爆)。 |
スタパ: |
「どっかから調べたんですけど」
っていってメールが来て、
「ドコモの何とかを開発してる
某社の何とかと申します」
ってメールがくる。この間来たのは、
ソニーのちっちゃいMP3プレイヤーの
デザイナーから。
ヨーロッパのどこかにいらっしゃる
ソニーのデザイナーで、
涙がちょちょ切れましたね。
「あーどうしたらいいんだろう」
っていう。 |
サエキ: |
ヨーロッパからメールが来たんですか? |
スタパ: |
そうです。そういうパターンは多いですね。
技術者とか開発者の方から
直接メールが来ることが多くて。
でも普通のライターは
変なことは書かないですよね。
普通はリリース見て
メーカーが売りたいところを…。 |
サエキ: |
そうですね、オーディオ評論家みたいにね。 |
スタパ: |
僕は「このデザインのカーブの
ツルっとしたところが
これはお金がかかるのに、
ここにこだわったのはイカシますな」
みたいなことを書いたとしますと、
「それがこだわったんですよ」
っていうメールが来るんですよ。 |
サエキ: |
そういうレベルまでくると
知り過ぎた者の悲劇があるんじゃないですか?
どうやって、ユーザーとしての気持ちを
維持していけるのか?とか。
いっそのことメーカーに就職しちまえとかね、
いろんな煩悩というか
悩みが出てくると思うんですけど、
そういうのは今のところないんですか? |
スタパ: |
気を付けないといけないのが記事を外しますね。
「これレンズのことをずーっと書いてますけど
画像のことはどうなんですか?」みたいな。
「あっすいません、そうでした
画像のこと書かなきゃ」っていう。 |
サエキ: |
はーはーはーなるほどね。 |
スタパ: |
僕は技術を開発してみたいとか
そんなに思わないんです。 |
サエキ: |
音楽でいうとやってみたいというより
聞いていたいっていうのに近いんですね。 |
スタパ: |
そうですね、同じだったんですね。
僕は受け身になって生きていきたい。 |
サエキ: |
(爆)。その受け身でいたいっていうのは
何なんでしょうかね?
受け身でいたいっていうことの幸福は。 |
スタパ: |
僕はあれに似てるんじゃないかな、
サッカーのサポーターみたいな。
「ガンバレ技術者!」って騒いでるけど
直接は研究なんかはしませんよっていう。 |
サエキ: |
面倒臭いんですか?
それともそういうものとは
ちょっと違うのかな?
ユーザーとしてはもう充分に
面倒臭いことをおやりになって
きてるわけですから、
研究まではあと皮一枚!
だと思うんですけど(笑)。 |
スタパ: |
それは違うんですよ、
そこまでいったら大変。
技術者ってのはほんとに大変で、
尊敬してるけど絶対になれないっていう
コンプレックスと憧れみたいなものがあって。
尊敬する技術者の人達にそんな考え、
滅相もないという感じで。 |
サエキ: |
(笑)。なるほどねえ。
それっていうのは子供の頃から
ずっと思ってた感じなんですか? |
スタパ: |
うーんそうかもしんないですね。
なんか機械は好きでしたね。
でも技術者になりたかったことは
そんなにはなかったです。 |
サエキ: |
コンピューターユーザーとして
最も燃えていたのは80年代後半から90年代初めと、
あと最近もう一つヤマがあったという
感じなんでしょうけど、
正直な今のコンピューターに対する
率直な意見をお伺いしたいんですが。 |
スタパ: |
そうですね、
最近のパソコンはつまらないんですよ。 |
サエキ: |
つまらないんだ。 |
スタパ: |
感触としては、昔
「この漫画家すごい好きなんだけど
誰も知らない、でもすごい漫画家なんだよ」
っていって3年ぐらいしたら
すごい有名になっちゃって
「なんか冷めた感じ」っていう感じ。 |
サエキ: |
なるほど。あまりにも普通になり過ぎた。 |
スタパ: |
あまりにも支持され過ぎて、
有名になっちゃって
つまんない感じとかっていうのと…。 |
サエキ: |
(笑)。 |
スタパ: |
あと必要なものになっちゃったんで
遊べなくなっちゃったんじゃないですかね。 |
サエキ: |
遊びの要素が少なくなったと。 |
スタパ: |
とりあえずまっとうなものが
増えちゃったんで。
まあソニーのは面白いですけどね。
OSの自社開発で進めてるものが
無くなっちゃって。 |
サエキ: |
コンピューターが
スタパさんにとっては
いわゆるある種のおもちゃだったと
思うんですけど、
それは例えばどういうところだったんですか?
OSみたいなものをいじくってるのが
面白いってことですか? |
スタパ: |
そうですね、不便だったんですよ。
何をするにも不便でそれをこんなことしたら
こんなに便利になっちゃってるんだよねっていう
自己満足の世界と、
少ない友達の中でわかるような
「これやっちゃったんだよ、すごくない?」
「あっすごいそれ!」っていう。
そういうほんとに趣味の世界ですね。 |
サエキ: |
(笑)。それはコンピューターが
発展していく途上の問題と考えられますか? |
スタパ: |
そうですね、それが一番大きいですね。
途上の経過を知ってる満足感とか、
段々段々すごくなっていくのを。
「去年のこれくらいだったのに
その倍で半額ですよ!」とか。 |
サエキ: |
(笑)。 |
スタパ: |
リアルタイムで
コンピューター進行してる感じで、
これはきっと世の中を
絶対変えちゃうに違いなくて、
その変えちゃいぶりを
怪物の成長ぶりが
「興奮しませんか?」みたいな。
で、今はもう割と落ち着いて
大人になっちゃった
コンピューターさんだから。 |
サエキ: |
大人になってしまったのか。 |
スタパ: |
予想よりちょっと先のことが
実現されちゃってて、
「来年はこれは今32メガだけど
64メガになるんだよ」
って素人の予想してて、
そんなのがいきなり
「256メガになってしまいました」とか。 |
サエキ: |
(笑)。 |
スタパ: |
だからもう、
まったく新しい刺激とかはないんで。
往年のデジカメも面白かったですね。
最近も面白くなってきましたけど。
35万画素ってのが出てきたと思ったら
100万画素、200万画素って出て
「200万すげえ」って思ってたら、
今年300万画素ってのが出て。
今年は600万らしいですけどね(笑)。 |
サエキ: |
進化のライターさんなんですね、
進化に関する。 |
スタパ: |
そうですね、
年を取った時やばいかもしんないですね。
いろんなもんに興味が無くなってきて。 |
サエキ: |
今後のコンピューターが
どうなっていくんですか? |
スタパ: |
どうなんでしょうね。
もうなってるんでしょうけど、
みんなノートパソコンに
なっちゃうんでしょうね。
あとは液晶デスクトップみたいな。
画面とキーボードとマウスだけみたいな感じ。 |
サエキ: |
画面の中にコンピュータが
全部入っちゃうということですよね。 |
スタパ: |
僕一回作ろうとしたんですけど、
帰った時にメールが読める
壁掛けようのがあったらいいなと思って、
メール専用機みたいな。 |
サエキ: |
カレンダーみたいな。 |
スタパ: |
あとはキーボードが、
でかいリモコンっぽく
なったりするんでしょうけど。
鄙びた温泉とかに行って
ガソリンがなくなっちゃって
「すいません、電話貸してください」
って言ってその辺の民家に駆け込むように、
田舎にいったらインターネットを
通りがかりの農家で
「すいません、ネット使わしてください」
みたいに借りるとか(笑)、
そんなようなのが
割とすぐ来るんじゃないかと。
(これでホントにおわり。まだまだホントはあるんだけど、
面白いんですが、キリないのでやめます、スタパさん、
ほんとにありがとうございました!) |