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虚実1:99
総武線猿紀行

総武線猿紀行第89回
「海外で特別になった人について」
その5
<なぜ日本人は海外の状況を知らないのか?>
〜〜結局またまた引き続き投稿大歓迎!〜〜

海外で一番有名な日本人というと
結局ヨーコ・オノのようです。
年代を問わず有名な日本人のベスト5を空想してみましょう。
(皇室のぞく)

1,ヨーコ・オノ
2,三島由紀夫
3,坂本龍一
4,紫式部
5,イチロー(アメリカでは現在1位だがヨーロッパは?)
番外:ピカチュウ

アメリカ一国では?
1位イチロー
2位ヨーコ・オノ
番外というか裏1位:やっぱりピカチュウ


今、海外に行くならピカチュウのオミヤゲが
グ〜ッドと聞きます。
それも、限定版(というか次々変わるから)の
オモチャが付いたお菓子が安くてレアで喜ばれるという話。
フランスでは子供にあげたピカチュウオモチャを
お母さんが欲しくて取り上げたという話さえ聞きます。
(実話)

とはいえ、人物としては知名度ナンバー1のオノ・ヨーコ。
彼女のアートなどについて記されている本は
あまりありませんが、
今年に入って出版された、
現代美術家としてのヨーコと60年代から親交のある
飯村隆彦さんによる「ヨーコ・オノ 人と作品」という本が
とても面白いです。


ヨーコ・オノ人と作品
飯村 隆彦著
水声社 ISBN:4-89176-429-5
本体価格2,200円

興味ある人は一読をオススメします。

この本にはジョンとヨーコの出会いを
現代美術との関係から描いていてとても新鮮です。
なぜならヨーコの立場というのは国際的にみても
けっして順風なものではありません。
「ビートルズを壊した女」というような思いが
一方的に残っています。
僕らは世界で一番有名な同胞がそういう立場でいることを
全く傍観しています。
それは彼女の活動についての
理解がないということもあります。
少しそのことについて考える機会が
あってもいいかもしれません。
しかし、何がどうなっても、
彼女が結局世界のVIPであることには変わりありません。

そして、この本を読んでいて、
何故日本人は海外で功を成した同胞についての
情報をつかんでいないのか?
に答えるような記述があったのです。
その部分を引用させていただきます。
63ページの「ヨーコへの無知と誤解」という章です。

60年代に、ヨーコは日本においても
前衛芸術の活動で一定の成果を示し、
また米でフラクサスという現代芸術集団への参加、
またロンドンでの個展(ジョンとの出会いとの
きっかけになった)によって
国際的に知名度を重ねてきました。
さらにジョンとの交際・結婚、
それにからむセンセーショナルな活動によって
その知名度を決定的なものにしたことが紹介されています。
その後の記述です。

「その後ヨーコの活動の舞台は外国に移った。
 そしてレノンとの結婚によって、日本のジャーナリズムは、
 はじめてヨーコの名前を知ることとなった。
 それ以来、さまざまな機会に、
 ヨーコの名前が出てくるようになったのだが、
 それでも日本のジャーナリズムは独自に取材することも、
 そのアートを知ろうとすることもなかった。
 1971年にニューヨークのエバーソン美術館で、
 ジョンも参加して、ヨーコの大きな個展が開かれ、
 その時に記者会見もあったが、
 その場に日本のジャーナリストの姿はなかった。
 (中略)
 海外での日本人のアーティストの活動が報道されることは、
 ヨーコに限らず、本人や知人の報告を除けば、
 非常にまれである。
 (中略)
 ともかく、文化については、外国からの、
 外国人についての情報の比重が高く、
 日本人の活動は見落とされている。」
 (飯村 隆彦著『ヨーコ・オノ人と作品』<水声社>より)

ズバリ書いてあります。
海外での文化活動はどんな国際的でも
「本人や知人の報告」がたより。
つまり自分達で報道するしかない! ということですね。
(それで海外におけるインチキ活動報告で
 一旗あげようとする人が出てくるわけです)
海外で活躍する日本人を報道する、
TV新聞等の報道が不在だということですね。
確かに、TVを見ても、海外にグルメにいったり、
一部のスポーツを報道したり、
あるいは政治の報道はあっても、
ケイコ・マツオの活躍を報道することなんて
あまりないですからね。
そして、話は核心に移ります。

「しかし、これはジャーナリズムに限ったことではない。
 欧米の国際展や有名アーティストの外国での個展には、
 その国の外交官が出席するのが通例だが、
 日本の外交官は、大臣や議員に同行したり、
 商社の出先機関に出向くことがあっても、
 文化のほうに顔を出すことは少ない。
 伝統文化ならともかく、
 前衛芸術の展覧会に出席することはほとんどない。
 このへんが、前衛であれ伝統文化であれ、
 自国の文化のためには出席し、
 紹介する欧米の外交官とは非常に異なっている。
 私自身そのような場にしばしば出会って、
 日本の外交官の不在をひどく認識させられた。」
 (飯村 隆彦著『ヨーコ・オノ人と作品』<水声社>より)

! 出てしまいました。
これもひとつの外務省問題に連なることでしょうか?
そういえば、大使、領事館員などが
政治の場以外で活動しているのを
あまり聞いた事がありません。
ゲンスブール委員会をやっている関係上、
ちょっとだけ仏大使館を見に行ったりしますが、
その文化への貢献はなみなみならぬものがあります。

「かつて、カナダのトルードー首相が、
 ニューヨークで開かれたカナダの前衛的なアーティスト、
 マイケル・スノウの個展のオープニングに出席して
 話題となった。さしずめヨーコ・オノの個展の
 オープニングに日本の首相が出席するようなものである。
 (中略)
 日本は外国における文化活動については、
 開発途上国である。いや、開発途上国と言っては、
 いわゆる経済等における開発途上国に失礼になるだろう。
 開発途上国のなかにも、文化活動を積極的に行っている
 外交官はいるからである。
 (中略)
 外国では、しばしば外交活動と文化活動が
 出会うだけでなく、重なり合っている場合がある。
 アーティストは自国の政治に無縁であっても、
 国際間の文化関係の触媒として働いている。」
 (飯村 隆彦著『ヨーコ・オノ人と作品』<水声社>より)


これについてここで僕が、多くを語ることはしませんが、
このような体制である日本で今年、
さまざまな問題が顕在化していることを
みなさん、御存じだと思います。
日本がいったいどういう状態にあるのか、
もういちど文化を通して考え直してみるのに
いい機会かもしれませんね!
(この項続く)


いよいよ今度の日曜日、ライブのお知らせです!

8月19日(日)午後7時より渋谷「青い部屋」
http://aoiheya.i.am/
にて「男たちの旋律(メロディー)」と題した
男の匂いのするさわやかなライブを行います。
(もちろん女性客歓迎)
今回はゴージャラス宇治野宗輝と元デットコピー現Q熱の
シノダコウヘイによるテクノユニットによるライブで
僕のデビューバンドハルメンズの曲など
テクノ&テクノのライブです。
今日の情報としては、曲はアット驚くカバー曲をやることを
カムアウトします。また、僕のデビューバンド、
ハルメンズの前身「少年ホームランズ」の
「ブンチャカ文化人」をやる予定です。
対バンは、抱腹絶倒のパフォーマンスが密かに話題の
千葉レーダ、そしてサンプリング映像を駆使し、
信じられないギャグの世界に突き落とされるBUBBLE B。
青い部屋(3507−3564)

一週間いつでも聴けるラジ@
「サエキけんぞうのお宝音源御開帳」
http://www.radiat.net/bangumi/saek.html
のゲストは8月13日(月)まで
新宿フォークという気鋭のフォークユニット
そして8月13日(月)深夜1時からは
種ともこさんの登場です!

サエキのHPにも来てね!
http://run.to/kenchan/

2001-08-16-THU

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