MUSIC
虚実1:99
総武線猿紀行

総武線猿紀行第95回
「海外で特別になった人について」 その11
90年代日本音楽家は日常レベルで
国際化時代に突入した!

〜〜ほんとにこのテーマは最終回!
  多数の投稿ありがとう!
  でもこれからもメール大歓迎!〜〜

大変に不穏な日常を生きる日々、
気が付いてみればお伝えしたい話が日々山積みです。
そこで「モールスニュース」というコーナーを
冒頭に不定期にお届けしたいと思います。
もちろん「自分」が中継基地ですから、
正規の通信会社のレベルでの発信は無理です。
あくまで日常レベルのものです。
何かありましたら、ガンガンメール下さい!

・米特別チャリティ番組のは見ましたか?
 さすがにニールヤング「イマジン」に胸撃たれました。
 「イマジン」は湾岸戦争時と同様に放送自粛曲に
 リストアップされた中、
 ニールヤングの一打は意識的でしょう。
 まあ、政治的な問題はともかく、
 音楽として、歌としてすごかったですね。
 あの声で「イマジン」ですから。
 他の出演者ブルーススプリングスティーンとの対比は
 「フィラデルフィア」サウンドトラック以来ですが
 アメリカを背負った態度の個性が対照的に感じられました。
 
・その「イマジン」の歌詞の一片だけを載せ、
 後は真っ白の全面意見広告を
 ニューヨークタイムスに載せたヨーコ・オノ。
 関連記事はこちら
 状況は、彼とジョン・レノンの反戦運動によって、
 本気でアメリカ政府から狙われた70年代初頭と似てる?
 あるいは似ていない?

・そのジョン・レノンのトリビュートコンサートが
 奥田民生氏、ミスチル桜井氏、ゆずなどを招いて
 10月9日に埼玉で行われますが、
 そのバンマスにパール兄弟・窪田晴男が決定!
 日々地獄のコピーに明け暮れているが
 1日5曲コピーできると思っていたが、
 3曲しかできないらしい
 (3曲20時間かかるといっていた)。
 ビートルズ、ジョンの奥深さに脱帽だそうです。

・ドコモとJフォン間のメールやりとりに
 遅延が何度も生じました。最大で13時間!という遅さ。
 前のメールが後のメールを追い越すというケースも
 生じたのですが、こうした異社間のメール遅延は
 以前からあったと友人の報告。
 仕事やせっぱつまった恋愛のメールにはご注意を!
 「こねえな!」「こいつシカトしてやがる」
 というご判断はおてやわらかに!
 電話で確認するといいかもよ!

・東京LA間の往復チケットが
 ついに29800円まで下がったそうですが、
 これは沖縄までの片道正規料金より安い。
 そのLAの隣りのサンフランシスコから
 ナゾのエレポップバンド「シークレット・シークレット」
 を招いて10月19日に
 「ワールドエレポップフェスティバル2001」を
 渋谷「青い部屋」で行ないます。
 外人は特別料金1000円。(後述)

さて、ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンの
来日公演も延期になりましたが、
テロ騒ぎでアメリカに住んでいる同胞の状況も大変ですね。
ニューヨークの友人に何度も電話をかけていますが、
通じません。
しかし、音楽家の人々は自分の活動を、
こうしている今も色々とがんばっていると思います。
このテーマの最終回は海外で活躍する音楽関係者が
とんでもない数になってきた90年代の状況について
書いてみたいと思います。
まず、 はなさんのメールから。

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こんにちはサエキさん。

海外で有名な日本人についてですが、
音楽に関しては昔と今で
は事情がだいぶ違うのではないかと思います。

竹村延和なんかは日本がオリジナルで
海外にフォロワーがうじゃうじゃいますし、
So TakahashiやUltra Living、Acid Mother Temple 、
Neina、Miki Yuiみたいに日本であまり知られていなくて
海外で評価が先行している例も
昔とは比べ物にならないほどたくさんあります。
もう音楽では国を超えるのは
普通のことなのかもしれませんね。
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はなさんありがとう。そうなんです。
90年代はDJを中心にして海外で活躍する日本人の数が
異様に膨れあがっているんです。
はなさんが書いた中でも僕が知らないアーティストもあり、
冷や汗タラ!
竹村延和さんは京都在住で、
研ぎ澄まされた独特の静寂感覚を併せ持つ
テクノ的コンピュータミュージックを作り続ける天才で、
音楽関係者に高い評価がありますが、
海外で人気高かったのですね。

僕がそうした状況を肌で感じ取ったのは確か94年のこと。
「石井賢」という少年が北欧のレイヴで
1〜2万人を前に突然デビューしたという
ウワサを聞いたときです。
すぐにライブを見に行きました。
耳の早い客が「石井賢」とその場で縦書きした
サインTシャツを来てうれしそうに踊っていました。
今では「ケン・イシイ」という名前で
広く世界に知られている彼は、自宅で作ったデモ・テープを
海外のレーベル・オーナーに送りつけ、
それが気に入られて
「レコード出さないか?」というファクスが届き、
彼の世界人生が始まりました。
もともと横浜銀蠅のファンだったという彼の
世界進出までの変身プロセスは極めてカジュアル。
新鮮なのは、国内でウロウロ動き回らず、
ベッドルームからサッサと航空便を送りつけたこと。
若者のメンタリティが変化したことを感じました。
つまり、彼らにとってインターネットと
ベッドルームの音楽制作機材があれば、
世界も日本も変わらないということです。
言葉の障壁のないテクノ音楽ではDJを中心に
世界に活躍の場がとんでもない勢いで拡がったのです。

「ケンイシイ」の情報が
オーバーグランドから流れてくるのに比べ、
「ゴアトランス」今では「トランス」とも略称される
ジャンルの「ツヨシ」の名前も流れてきました。
ヨーロッパでは数千人を動員するともいわれた彼の人気は
日本が後追いする形になったようですが、
表と裏の両方でこのような
テクノDJスターが生まれたことには
正直驚きを隠せません。

もちろん電気グルーヴの石野卓球の
ドイツを中心とした活躍は素晴らしいものでした。
世界最大のテクノレイヴ「ラブパレード」の
何年も連続した出演、CDリリースなど、
欧テクノ界における有名ぶりは
まさにVIPの名にふさわしいものでしょう。
同じくメンバーだったまりんこと砂原良徳氏も
ドイツにおいては高く評価されているようです。

渋谷で「テクニーク」というテクノレコード店長も営む
佐久間英夫氏は
当時シスコというレコード屋の店員でしたが
その後「シスコ・テクノ館」を開き、
その合間にテクノユニット「サブヴォイス」で
ヨーロッパデビュー、かなりの枚数をリリースし続け、
数千人のパーティに招かれ続けていますが、
先年、ニューヨークのハウス老舗のクラブで、
やはり数千人をまえに
堂々のパフォーマンスをしたようです。

ヒップホップからはDJクラッシュの活躍も忘れられません。

それとともにロックも
欧米ツアーをすることが普通になってしまいました。
90年代初頭、少年ナイフという関西の女子3人組が、
米でソニックユースなどによるトリビュート盤をつくられ、
大きな話題を集め、アメリカ進出を果たしました。
僕もライブで米国青年がダイブしまくる様を
目の当たりにして溜飲を下げたもの。
そのルートはピチカートへと続きます。
(ピチカートファイヴの巻参照)
コーネリアス、カヒミカリイといったアーティストも
ピチカートのファン層と重なり、知られたようです。
ピチカート関連でデビューした
ファンタスティック・プラスチック・マシーンの
田中知之氏は小西康晴氏と同様、
DJとしてはヨーロッパの人気ものになりました。

米国地方サーキットを回り、人気を集めるグループは
ギターウルフ、シーガル・スクリーミング・キス・ハー・
キス・ハーなど、無数にあるようです。
特にギターウルフは矢沢永吉ばりの日本語ライブで
アメリカ人に大受けというのですから愉快です。
ハバナエキゾティカというグループから派生した
「バッファロードーター」は
ビースティーボーイズ率いる
米グランドロイヤルレーベルからデビューし、
大きな話題を集めました。

そしてそして、坂本九以来のビルボード上位チャートインと
いわれているのが、倖田來未 (こうだくみ)です。
デビュー曲が米国ビルボード誌のダンスチャートで
18位を記録したのです。でも90年代以降的なのは、
彼女自身がそのことをあまり気にしていないことで、
「日本でのチャートのほうがだいじ」というようなことを
インタビューでサラっといってのける。
ホームページhttp://www.koda.tv/でもビルボードのことは
とりあげてないのがスゴイです。

もはや、米国でヒットというのは
若者にとって日本での活躍と同じ目線なのかもしれません。
確かに宇多田ヒカル級のヒットになると、
アメリカでの大スターの成功よりも
高収入の可能性があります(日本はCDの単価が高いから)

などなど、信じられない数のアーティストが
欧米で活躍するようになったのです。
ここに挙げてない数だけでも、
とんでもない数の日本人が動いており、
その人たちを一堂に集めて
国内でそのライブでも開こうモノなら、
1週間あっても足りないでしょう。
特に海外での活動をしていない人でも、
マーケットは拡がってます。
例えば米アマゾンで、http://www.amazon.com/
日本人の名前を引いてみましょう。
山下達郎さんのアメリカへの輸出CDは
マニアックな「オン・ザ・ストリート・コーナー」の1と2、
そしてなぜか「Kimino Koeni Koisiteru 」(シングル)の
3枚が入っています。
(おそらく今回大きいシングル盤になったから)
このようにインターネットでも
アメリカなどでの活躍のしかたのローカルな特徴が
チェックできます。
日本人は国内と同様、いつの間にか、
海外に音楽マーケットを持つようになっていたのですね。
これってスゴイ歴史的な出来事だと思うのです。

うわあ、ここまで書いてきて、
大変なことをいうの(ホントに)忘れてました。
僕(サエキけんぞう)がフランスでデビュー!
が決定しました!
といってもコンピレーションの中に
1曲入るということですが。
一応、仏EMIですのでメジャーです!
曲はセルジュ・ゲンスブールのデビュー曲のカバー
「リラの門の切符きり」です。
もちろん、日本語です。
そのアルバム「ブータン・バー」は
日本盤が「マッドフレンチレーベル」
(この日本盤はインディーズ)から発売されます。
クレイジーケンバンドの剣さんの推薦付きです。

http://www.madfrench.com/


ちょっとイカがわしい。


ちゃんとクレジットがされている・・・うれしい!

しかし、ややこしいことが起こりました。
「ブータン・バー」は今フランスで大流行中の
「ブッタバー」のパロディなのですが、
「ブッタバー」のコンピレーションを
EMIがヒットさせてしまったために、急遽気を遣って、
タイトル変更になってしまったのです。
ですから、フランスでの発売は
「ビストロ・ラウンジ」(笑)という
タイトルのアルバムになりました。
元の盤は1万枚廃棄処分になることになりました。
日本での発売は貴重なバージョンになるのです。
(ジャケット掲載)
フランスの皆様も、日本の皆様も、
どうかよろしくお願いします

では、永らく続いたこの特集もやっと終わり。
追加情報メールは待ってます!
(この項終わり)



上記でも触れたライブのお知らせ!!
「World ELE-POP Festa 2001」
Live: Secret Secret(from San Francisco.)/
宍戸留美+大木知之(トモフスキー)+上田禎/
早瀬優香子/サエキけんぞう/jellyfish(Japan)/Elektel/pyokn
Djs:Hyoma Watanabe/koume/マグナロイド
at 青い部屋 3407-3564 20:00open〜All Night
door : 2800yen(1d) / with flyer &
「ほぼ日」見た!といったひとは2300yen(1d)
/外人さんは 1000yen で〜す!

2001-10-02-TUE

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