総武線猿紀行第98回
ジョンレノンの眼鏡と本八幡で会ったよ(その3)
(まず)モールスニュース:
1,この秋のオススメ映画と夏映画の思い出:
この夏は打倒「AI」映画はこれだ!
と大推薦したヘンテコ楽器博士の
はちゃめちゃ人生ラブロマンス付き傑作ドキュメント
「テルミン」が、
ホントにメチャメチャヒットして驚きました。
(恵比寿ガーデンシネマでまだやってるよ)
偏屈女子高生とブルースオタク中年男性の恋を描いた
必殺アメコミの映画化「ゴーストワールド」は
その映画の中に住み込んでしまいそうな
圧倒的な出来でしたが、見た人いるでしょうか?
ビデオ化が楽しみ!
さて、この秋は、ダンスシーンがケルト風民族音楽から
いきなりデビットボウイ
「ゴールデンイヤーズ」にスウィッチする
中世騎士物「ロックユー」(桜木町ワーナーマイカル他)
が馬鹿馬鹿しくて、男の子にはグッド。
ファッション好きには見逃せないのが
写真家ウィリアム・クラインが監督、
セルジュ・ゲンスブール音楽の
「モードインフランス」(渋谷セネセゾンレイト)。
80年代前半の、トップデザイナー達の手がける
短編映像オムニバスだが、
今見るととにかくカッコイイ!
我らが高田賢三の他に、
現在写真家で大活躍中の安珠(あんじゅ)さんの
仏でのトップモデル時代の出演!
ダーリンコピーの借用タイトルウディアレンの
「おいしい生活」(恵比寿ガーデンシネマ)は、
アレンが予算を使えるようになったら、
いつかやりたかっただろう、
本物の高価な調度品、アンティークを使って、
上流の悪趣味を爆笑の対象に!
これは必見!
この他にウディアレンが主演した
奇妙なメキシコ映画「ヴァージンハンズ」は、
妻が浮気し放題・淫乱すぎるのでにくくなり、
殺してしまったが、その死体の「手」が
障害者のオバハンに拾われて奇跡を起こすようになり、
この「奇跡の手」を使って
村の教会で「村おこし」をするというキッカイな物語。
中南米の混沌がたまらない出来になっている
アレンマニア必見の小品です。
ちゃんと公開したのかな?
2,本八幡の駅前映画館が閉館するので(もう閉まった)
「千と千尋の神隠し」遅ればせながら行って参りました!
すげえ!とビックリしましたが、
あの海の上に建物があったりする風景、
夢で見たことない?僕はなんか見覚えがあるんだなあ。
あれはなんか日本人の深層意識とかに
刻まれた風景なんじゃないでしょうか?
千尋ちゃんって、
女の子だからあれだけ適応力があるのではないでしょうか?
男の子じゃ、あの役割は無理だな。
僕は「顔なし」のキャラクターがとにかく好きです。
さて、続きます。
口調を変えます。
そんな白山眼鏡店だが、
昔は「しらやま」と読んだらしい。
先代の名字がしらやまだからこの屋号にこだわったわけだ。
「竈の灰まで俺の物」の時代だから、
名前についてもこうした考えは当然なのだが、
長嶋さんが長い時間かかって説得した末、
今の「はくさん」になったらしい。
白山と書いて「はくさん」「しろやま」
という人はあっても、「しらやま」とはいう人がいない。
耳で聞いて「はくさん」が音読みで聞きやすいし、
また、当時は売れる薬の名前が
ほとんど最後の文字が「ン」だった。
(「ケロリン」「アリナミン」「セイロガン」など)
英文字で書いても「SHIRAYAMA」より
「HAKUSAN」「HAXAN」の方が、すっきりする。
(「HAXAN」は長嶋さんが強く勧めたが
「HAKUSAN」になった、「HAXAN」になっていたら
そうとうかっこよかったと思う。)
などとの主張がやっと通ったということだ。
前回の「後継ぎに決めていた人」だからこそ
説得にも応じたのだろう。
「はくさん」になって正解である。
店の名前ひとつにも、
御主人と大変なやりとりがあったわけだ。
最終的には御主人がおれたわけだから民主的ともいえる。
前回の結婚問題
(最終的には娘と長嶋さんを結婚させることを諦める)
にしても、どこか今時の本物の親子よりも
緊密なコミュニケーションが感じられると思われるのだが?
いかがだろうか?
古き良きメガネ店の伝統を残した白山眼鏡店が
隆盛した理由は、前にも書いたように、
積極的に新しい眼鏡を売り出したということだ。
現社長である二代目は、英国留学後、国際感覚を身につけ
イギリスから単独で商品を輸入販売するなど、
かなり先取の才があったようだ。
僕が白山以外で多数持っている大好きな眼鏡ブランド、
アラン・ミクリと最初にコンタクトをとったのも、
その二代目ということ。
現在、雨後の筍のように「こだわり眼鏡店」
「コンセプトショップ」と呼ばれる店が出店しているが、
6〜70年代当時は冷ややかな目で見られていたであろう。
「白山眼鏡店」こそが主義主張を持ったこだわり眼鏡店の
元祖であることは万人の認めるところである。
前回は古き良き眼鏡業界の気風は感じてもらえたと思うが、
そんな伝統の雰囲気の中で
眼鏡本来の機能にこだわりながら、
激変する60年代後半以降の新しいモードを
「ニジリ」と取り入れていく様子には、
あっという間にすべてを塗りかえる洋服の
モードとは違った独特の集中力が感じられる。
「白山眼鏡店」のたどった道は、
60年代末からの「ニューシネマ」や
「小劇場」「ロック」ブームの時代に花咲いた、
もうひとつのカーブであったといえるのだ。
70年代には確立された「白山眼鏡店」の道、
ソバ屋にはよくノレン分けをしている店がたくさんあるが、
眼鏡ではノレン分けというわけにはいかないようである。
ソバの味は見えるが、眼鏡の揃え方、
売り方はある意味では見えないセンスである。
そして、眼鏡はたまにしか買わない。
遠くからでも来る眼鏡を売る店は、
同一の店はかなり広い範囲で2軒いらない。
本当はセンスを必要とするのだが、
技術やセンスを売るというよりは品を売るわけだから、
センスが良くなくても、安かったり、
なんらかの勢いで売れてしまう場合が多々あるだろう。
細かい眼鏡の造作が、顔に与える影響を熟考し続ける
長嶋さんのような人のセンスは
「この眼鏡に対する嗅覚の味を、お前にゆずる」
という風に広く伝えられてほしい。
長嶋さん発行の新聞。
このように1mm2mmの世界でこだわっている
だが、なかなかそういうわけにはいかないのだ。
そこが良い眼鏡店が「増殖する」ことを
止めている理由かもしれない。
(「ユニオンメガネ」は
息子さんに引き継がれつつあります)
良い眼鏡屋さんの存在は奇跡といえるのかもしれない。
長嶋さんが白山眼鏡店の経験を生かして自分で開いた
「ユニオンメガネ」は、伝統の力を生かしながらも、
あくまで白山とは全く違う
「長嶋さんの店」になっているのは、
眼鏡というモノの事情を感じさせる。
そんな長嶋さんが、白山眼鏡店の店先にいた6〜70年代、
顧客には長嶋さんが相手にしただけで、
ソニーの亡くなった井深さん、布施明、松坂慶子、
美樹克彦、野球の巨人の藤田、千葉選手もいたそうである。
美樹克彦さんにいたっては、結婚式も出たらしい。
そして、その顧客のなかにジョン・レノンがいたことは、
改めて有名な事実である。
死んだときに身につけていた眼鏡は、
白山で作った透明セルのものであった。
長 嶋さんには私物の複製品をみせてもらった。
長嶋さんは当時白山眼鏡店の専務をしていて、
その彼から見せていただく
ジョンレノンの身につけていたモデルは、
なんともいえない輝きを放っている。
これをジョンがつけていたのか…。
この写真の2つのほか、
当時、同じモデルで合計4つの色の眼鏡を買ったらしい。
ジョン・レノンは1000人に1人ぐらいの強い乱視で
レンズを作ってくれる会社がなくて困ったらしい。
その頃の白山眼鏡店の店員に
「ジョンは白山眼鏡店に実際に来たのですか」
と聞いたことがある。
その人は笑いながら、
「ジョンはお店に来ませんよ、
こちらからサンプルを持って参上するのです」
と教えられた。
なんだか「宝石屋さんみたいだなあ」と思った。
自分の泊まってるホテルに
眼鏡屋を呼び寄せてみたいと思いませんか?
宝石の訪問販売はいらないけど、
眼鏡をそうやって買うのって、
ステイタスな感じがするでしょう?
ちなみにジョンは来たことないけど、
ヨーコさんは店頭を訪れたことがあるらしい。
ジョンの眼鏡コレクションは
アルバム「心の壁、愛の橋」のジャケットでも有名。
それらの中で、まるいめがねも持っているが、
それは縦長に見えるが、実は真円のメガネであるらしい。
真円の眼鏡は縦長に見える。
そして、まん丸に見えるメガネは
上下を2mm減らしてあるという。
顔って面白いですね。
眼鏡が顔の中で機能するために、
実に微妙で繊細なブツになっているかがわかる。
(この項続く)
■ユニオンメガネ 営業案内 ■
営業時間:10:00〜8:00
定休日 :(第1・第3水曜日休)
住所 :千葉県市川市八幡2-4-1氏家ビル1F
電話 :047-336-0878
http://www.jona.or.jp/~union-m/jan+tom.html
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