虚実1:99 総武線猿紀行 |
総武線猿紀行第169回 「スシ頭の男!サエキけんぞう、 フランスに歌う!」その5 <ドゴール空港で、コワイよ〜!>の巻 あの「有頂天」のケラの、というか ホリプロ×ナイロン100℃の劇、 「ドント・トラスト・オーバー30」 を見てまいりましたよ。これは傑作です。 ナイロンの劇はいつも面白いけど、 今度のはガチンコ勝負のスゴサです。 ユースケ・サンタマリアさんや井上順さんも、 バッチリはまっているという意味では、 小劇場の域を超えているわけでありまして。 広い青山劇場もお客さんでいっぱいで、 いつもの「ナゴム」なファンもいるけど、 なんとフツーのオバサン、オジさんも たくさんいるのに驚きました。 山手線の液晶TVで宣伝したせいかなあ? (ナイロンの劇が「ライオンキング」のように JR車内で宣伝されるなんて、時代は変わった) 「このままメジャー路線を突っ走るの?」 と終演後ケラに聞いたら 「次からまた下北沢だよ〜」 といったので妙に安心しました。 が、でも「ピーターパン」のように ユースケが空を飛びまくる演出が、 マジでナイロンにはまっていたのも事実で、 これは小劇場劇団の選択肢の増加? あるいはメジャーへの小劇団の侵攻?ともとれた。 なにせ、井上順さんが本格的に演じても、 ナイロンっぽさがこれっぽっちも減ってないから。 恐ろしいほどケラは吸収力が高いのですね。 ケラのセンスは(あるいは、面識ないけど) 松尾スズキさんの気配にもいえるような気がして。 ケラや(わからないけど)松尾スズキさんって、 メジャーに物おじする態度が全くないと思うのです。 かといってメジャーっぽくなろう、 とするヘンな向上心も微塵もしないような気がして。 音楽は鈴木慶一さんで、 ムーンライダースの曲(劇タイトルはライダース曲)や、 オリジナルがいっぱいで楽しいよ。 僕が詞で参加した 「青空のマリー」の替え歌もおかしかったです。 もう東京は終わりだけど、 6/13 愛知厚生年金会館 6/18〜22 大阪厚生年金会館芸術ホール で〜す。 さて、続きです。 ドゴール空港に着きました。 10年前に着いたときには、 滑走路わきの草ムラに ウサギが走っているのを見つけたので、 必死になって探しましたが、 今回は、走っていませんでした。 「不思議の国のアリス」のようにウサギが走っている空港、 ステキじゃないですか? で、ビジネスクラスともお別れ。 出口通路を歩き、空港に入っていく。 道が左右ふたつに分かれるが、日本人を含む、 歩いていく人数が多いほうの左道に 無意識に加わってあるく。 羽田空港のようにバスにのる。 バスの座席はすぐいっぱいになってしまったので、 つり革につかまる。 「広い空港だな〜」 と、バスが空港内を走り回るのをボ〜っと見る。 ほんとに広くて、 (こんな感じです) モーっとします。 日本ももし成田の機能を本格的に羽田に移すと このくらいにしなければならないだろうな〜。 と、ホワっとしてると、アブラ汗が出てきました。 「降りる人いませんかあ?(フランス語、推測)」 という放送があり、ターミナルを一個、 通り過ごしたのです。 そして、ちょっと、たくさん風景を見過ぎている。 遠くに行き過ぎてる。 こんなに到着ロビーが遠いわけない! そばにいた日本人の髪の長い、美しい女性達に聞きました。 「これって、ひょっとして 到着ロビーいきじゃないんですか?」 すると驚きながら、 「え?違いますよ!トランジット(乗り換え)です!」 「うひゃあ、ヤバイ!」 バスは色々なターミナルに止まっていくようなのですが、 とりあえず、次のターミナルで降りることにしました。 バスには他にたくさんの日本人女性 (特に集団ではない)も乗っているのですが、 まさか、みんな乗り換えするんだとは? 「がんばってくださいねえ」 旅慣れしている美しい女性達に、 心配そうに後ろから声をかけられる中、 降りることにしました。恥ずかしいよ〜! 「早くも大変なことになったぞ」 と脂汗が出てきました。 そこは、人気の無い、 貨物便のためのような殺風景なターミナル。 入り口に座って、ダルそうに雑誌を読む、 巨大な黒人女性職員にカタコトの英語で 「成田から来た便だが、間違ったバスにのった。 到着ロビーに行きたい」というと、 「英語なんかわかんねえよ!」 というような露骨な無愛想な態度。 おまけに「このジャップはなにもの?」 というコワい視線なんです。コ・こわいヨ〜! 時期が悪いです。テロが恐れられてる4月なのです。 なんとか扉を開けてもらい、 ターミナルの中で男性係官に聞きます。 メガネをかけた40過ぎの白人は、 露骨に怪しそうな顔をして 「まずパスポートを見せろ、 お前は何しにフランスにきたんだ!」 と移民税関状態。 うひゃあ、入国そうそう、これかよ! そこで脳裏にヤバいことが浮かびます。 1、預けた荷物が、到着ロビーで たったひとつグルグル回っている。 ピックアップが遅れると、 空港内のわけのわからないところに 持っていかれることがある。 以前、香港でそういう目に合い、 探すのに1時間かかった。 無くなる場合だってもちろんある。 (ロストバゲージの恐怖については、 いつかまた書きます) 2、そうこうするうちに出迎えのフランス人が 「なにしてんだろ〜な、俺は帰るぜ」と帰ってしまう。 3、ひとりぼっちになる。 「俺は普通のツーリスト、かんべんしてくださいよ〜」 となんとか係官に釈明し、次のバスが来ました。 お願いだから乗せてくれえ! 今度のバスはだれも乗ってません。 何ターミナルが我が到着ロビーなのか わからないのが致命的に思えましたが、 ゴニョゴニョと係官が運転手に説明し、 ニコリともせずに運転手は 「ノンナ!」 とバスに乗せてくれました。 なんとかバスは再び、 広い曇り空のシャルル・ド・ゴール空港を走り、 到着ロビーらしきところ (つまり、最初に降りたところ)に着いたのでした。 運転手がフランス語で 「ここだぜ!」 こわかったよ〜! (続く) サエキのHPにも来てね! http://www.saekingdom.tv/
|
2003-06-10-TUE
戻る |