MUSIC
虚実1:99
総武線猿紀行

総武線猿紀行第177回
「スシ頭の男!サエキけんぞう、フランスに歌う!」
その13
<ストラスブールであわや殺人者に・・・
 &サマーソニック>の巻

行って来ましたよ。DEVOを見に。サマーソニックに。
幕張メッセは総武線沿線の人間にとっては身近な場所。
かつての津田沼ー幕張間の草原&埋立地に
突然出現した人工都市。
早稲田大学の誘致が決定していたのに
「都の西北にない」という理由で、土壇場で逃げられた街。

サマーソニック入場には、この中の球場に行って
チケットをリストバンドに変えてもらわなければならない。
京葉線海浜幕張駅から歩いて球場にいくと、
遠い・・・すげえ遠い。
こんな駅から遠い球場ってあったかな?
と後楽園、神宮、西武球場を考える。
しょうがないな。我が県のすることは・・・。
汗だくになって球場でリストバンドを腕につけもらい、
第二会場のメッセホールに。
キック・ザ・カンクルーがやっているはず。
と思い、見ると、ムサい外人のバンドが。
どうやらトラヴィスらしい。
マンドリンとギターをたてに
一度に2つもかかえたギタリストがいる、
純朴そうな音楽は質が高いが、
しかし、トラヴィスってみなさん知ってますか?
4,000人ぐらいが見てる。
洋楽ファンも集まるとスゴイなあ。
トラヴィスはまだ有名だが、サマーソニックには
名前を知らない洋楽のバンドがたくさん出ている。
どうやって集めるのだろう?

会場は2つだと思ったが、3つあったのだ。
しかもタワーレコードなどのブースがならぶ
イベントスペースでは
ロマンポルシェなどのイベントも行われているので
それもいれれば4箇所。
もうひとつの会場は、前と後ろの両方にステージがあり、
それぞれソニックステージと
ソニックファクトリーステージという。

着くとキック・ザ・カンクルーが始まっている。
ヒップホップらしく、本人3人とDJ。
かたやDEVOのステージは、
正反対の一番後ろに全く対称形をなして作られている。
その前にはすでに1,000人近い人が
ステージ前に陣取っている。
そして黙ったままステージを
マンジリともせずに見つめている。

というわけで、DEVOを待っている人は
キックのステージと反対を向いているわけだ。
僕もキックは見たいが
DEVOを見に来たのでその中に加わるが、
一人だけ後ろを向いているわけにもいかない。
何かのライブをやっているのに、これだけ多くの人が
真後ろを向いていることがあるだろうか?
異様な光景である。

キックの音が後ろから聞こえてくるし
「みんな〜」とか呼びかけてくるが、ピクリとも動かない。
セッティングが神経質に行われているステージを
ジっと見つめているのだ。

DEVOとは
http://www.sohoblues.com/DEVO/
このような奇抜な格好をした
23年前のニューウェイブブームで
アメリカを代表した人気バンド。
日本では武道館公演も満員にしている。
電球の傘のようなもので作られた
赤いギザギザの帽子(エナジードームと呼ばれる)が
トレードマークだが、会場にはヤフオクなどで手に入れた
入手困難のエナジードームをかぶった人が
20人近く見受けられる。
カップルで被って来ている人もいる。

先日武道館で行われたデュランデュランの再結成ライブも
満員だったらしいが、この手のライブにありがちな
35歳以上限定、とかいう雰囲気がまるでない。
それはポリシックスなど若いバンドの
DEVOフォロワーがたくさんいるからだ。
友人のかとうけんそう君の応援も見逃せない。
http://www.manuera.com/kenso/

10代から50代まで。
異様な年齢層の広さと
ヘンなバンドを見に来るヘンな人たち
といったムードが高まる中、
キックの音が終わり、DEVOの登場、
ブクっと太った体!
( http://www.mrbonzai.com/ の
  「past photos of the week」を開き、
  「July27, 2003|| DEVO Heavy Mental ||」
  を見てください。
  写真をクリックすると大きくなります。)

うわ、姿は変わり果てたが音は厚みをちょっと増し、
インパクトはまるで変わってない素晴らしい演奏。
みんなその中高年の雄姿に割れるような拍手と
「ウォー」という地から湧き出るような激しい声援。
僕も感動に涙が止まらない。
DEVOはあまりにも個性的なステージングとサウンドに、
他のバンドでは全く疑似体験ができないため、
こうしてファンも残った。
そして、誇り高き本人たちも太ったものの、
演奏を錆付かせず精進している。
23年後のニューウェイヴ大将。
ふつうは、加齢と共に、
その作法をスロウダウンさせるのが人間というものだが、
容姿以外は全く変わらないでいられるロックがここにある。

アメリカのあらゆる俗物、
フットボール選手や実業家のようなオヤジや
カウボーイを笑いとばすDEVOの精神には、
9−11以後の保守化にも正気で対応できる、
アメリカ人の鉄骨の良心=インテリジェンスがここにあり!
という気概を感じるのである。

「DEVO!DEVO!」名残惜しい大歓声とともに、
音楽番組で有名なヘンな外人ブライアンのMCで
「歯磨いて明日また来いよ〜」と告げられ、
突然終わったのだ。
千葉の湾岸に出現した蜃気楼のような都市で見た
23年ぶりのニューウェイブの不死鳥。
何がリアルで何が幻か?
それは意志の持ち方しだいなのかも?
と思わされた一夜であった。

サマーソニックはいいイベントでした。
次の日にレディオヘッドが演奏し終えたあと、
花火が上がり、
傍にいたカップルが思わず抱き合ってしていましたが、
それを見て、ああ、こういう野外イベントは
代えがたい魅力があるのだな、と思いました。


さて、一転してストラスブールの夜の続きです。
なんとかリハーサルを怒鳴りながら時間を延長して終え、
消耗しながら楽屋に戻りました。
食事をしよう、ということになり、
この公民館的な建物のカフェ状の部屋に通されました。
そこは職員の部屋のようでしたが、
我々とライブ・スタッフのために、
豪華な食事が用意されているのです。



肉料理、魚料理、パスタ、サラダ、
デザート、ジュース・・・。
会場づきのコックさんが料理してくれるのです。
これは他の会場でもそうだったし、
他のバンドのヨーロッパツアーの話を聞くと、
たいてい豪華な食事が楽屋に用意されているといいます。

これは違いますね・・・。気分が日本とは。
日本のライブハウスで、
バンドに食事が用意されていることはまずありません。
これは出演者に対する考え方として、
ちょっと泣ける話です。
予算と実益、報酬が
どう考えられているのかはわかりませんが、
少なくとも、ヨーロッパでは
出演者はその場を楽しく過ごすことができる。

バックをやってくれるレ・カプチーノのギター、
トミーもごきげん。



後ろにはスーパーグラス、エクスプロイテッドなど、
ここを訪れる数々のグループのポスターが張ってあります。
いくつわかりますか?

さて、腹ごしらえも済み、
いよいよ自分のライブをしなければなりません。

前回の間違いをsinedieさんが指摘してくれました。

▼▼▼▼▼▼▼▼読者投稿ココカラ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

「ストラスブールはフランスの「北西部」ではなく
「(北)東部」だと思いま〜す。
あと空間ががらんとしているのは
パリからどの方角に出ようが同じことではないでしょうか
(もっとも種々の畑が延々と連なる、
 という方が普通だと思いますが・・・)。

▲▲▲▲▲▲▲▲読者投稿ココマデ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


sinedieさんありがとうございました。
そうです。ストラスブールは北東部でありまして、
ドイツ国境に数十キロ。
会場の雰囲気も北国っぽく「CHILLY」な感じ。
寒さに強そうな人々がポツリポツリ現われ、
いつの間にか100人あまりの人々が集まってきました。

僕のステージは、イントロは
アンビエントっぽい雰囲気の中、
スシ頭の帽子をかぶり、ステージを始めます。

1曲目ニノフェレールという人のフランス最大のヒット曲
(日本では完全無名曲)「泉の傍の家」歌い終えます。
「ボンジュール、マイネームイズ
 KENZO SAEKI from TOKYO!」
イエ〜〜パチパチパチ・・
そこそこの拍手が起こります。反応はまずまずです。

3曲目「みるく2030」というオリジナル曲では、
日本で
「みなさん、減少した日本の男性の精子のために、
 手拍子をしてナースを呼んで下さい!」
と手拍子をもとめるのですが、MCを英語でいって、
フランス人が一緒にやってくれるのかどうか、
全くナゾでした。

思い切って
「アワ ミルク ゲッツ ディクリース」
とキャンタマを指差し、
手振り身振りでMCをしてみました。
通じました。
ゲラゲラ、クスクスという笑いが起こる中、手拍子訓練も、
チャチャチャとやってくれたのです。
しかし・・フランス人のリズム感はいまいちでした。
日本人のほうがリズム感がいい!

レ・カプチーノがバックで後半のライブは行いますが、
練習不足もなんとかぶっ飛ばし、
1日目のライブは好評感のうちに終わりました。
5日間を通じて一番音楽を聴いてくれた聴衆、
それがストラスブールの人たちでした。
国境を渡ってドイツ人の人も混じっていたようです。
日本人の客はここでは一人もいませんでした。
日本語を話しかけてきた人がいたので顔を見ると
フランス人のかわいい女性。
「お父さんが日本の**物産に勤めているの」
ということでした。

そんなこんなで
上気してステージから楽屋に帰る途中のことです。
渡り廊下のように
空中にかけられている橋が途中にあります。
下には今までライブを見に来てくれていた観客が
「ケンゾー!」とか「イエー」とか声をかけてくれてます。

そこで調子にのって手を振ろうとしたところ、
手に持っていたステージ小道具の包丁!
(フランス産の先のとがったもの)
がなんと橋から群集めがけて落ちてしまったのです!!
(続く)

僕のHP「THIS IS SAEKINGDOM」にも来てね!
http://saekingdom.tv/


●MIDS special (avec bloc.)
青い部屋で毎月行われている
フレンチ&MODSのイベント決定版MIDSが、
豪華なライブゲストとDJゲストを迎えて、
青山CAYで行う特別版!
今、圧倒的な人気を誇るhairmake salon bloc.との
コラボレーションによるファッションショウ、
話題のザ・シロップ、meg、
フランスでCD「スシ頭の男」が発売された
サエキけんぞうのライブを含む豪華版!
丸秘ゲストもお楽しみに!
またblues dressによる本格的なダンス講習会あり!
今年の夏はこれできまり!

8/23(SAT)21:00open 5:00close
前売\3,000(1D) 当日\3、500(1D) 
produced by KENZO SAEKI,
bluesdress & POOKY avec bloc
出演者
DJ:・常盤響(ゲストDJ)
・ 鈴木やすし(ゲストDJ)
・ bloc DJ 、blues dress、POOKY、CAVABIEN
ライブ・ザ・シロップ、meg、
サエキけんぞう(他、特別飛び入りゲスト予定)
ファッションショウ
・blues dress avec bloc
ダンス講習会
・ 9:00〜10:00 blues dressによるダンス講習会あり

SHOP blues dress THE OTHER(予定)
 ベストドレッサーTODAY
   ・当日、もっともオシャレをしてきた方を、
   会場から男女一人ずつ選出して、
   blues dressから豪華賞品をプレゼント!


●いよいよ!フランス発売された僕の初ソロ・アルバム
(実は完全個人名義のソロは初めてなのです)
「スシ頭の男」が7月23日から店頭発売されてます!



このアルバム=フランス直輸入盤に
僕の解説を封入した日本仕様盤を2,940円で
一般発売しますが、
送料込みで2,900円でウェブ販売します!

そして問題のオマケですが、先着30名様に、
今回アウトテイクになってしまった
ニノフェレールのカバー「泉の傍の家」という曲の
フランス語バージョンのCD-Rを付けます
(=このバージョンで
 今回のフランスツアーライブは始まりました。
 歌唱演奏等、全く趣きの違う日本語バージョンが
 アルバムに入ってしまいました。
 フランス語バージョンで
 フランスに侵攻を考えていただけに、晴天の霹靂でした)
フランスツアーの内容を味わっていただくためにも
是非聴いていただきたいオマケCD-Rであります。
(先着10名様のパンフレットサービスは終了しました!
 ありがとうございます)

お申し込みはお早めに
(有)パールネット「スシ頭CD」係りまで
pearlnet@kt.rim.or.jp

僕のHP「THIS IS SAEKINGDOM」にも来てね!

サエキさんへの激励や感想などは、
メールの表題に「サエキさんへ」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2003-08-08-FRI

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