虚実1:99 総武線猿紀行 |
総武線猿紀行第183回 復活:引き続き号外! 「寒いのが12月は当然、 二ール・ヤングは屋外で」 押し迫ってきました! あいてしまいました。お元気ですか? 不穏ですね〜。 大変に遅くなってしまった報告ですが、 行ってきましたですよ〜。 ニール・ヤング武道館ライブ2日目。武道館に。 でも、武道館のそばに。 昨年でしたっけ、フジロックで大評判になった ニールのライブへの関心は絶好調!と思われ、 武道館2日がソールドアウト! と思われたのですが、 思ったより苦戦し、 けっこうポスターなども見かけられたのですね。 だから売れてないって、噂だったのですね。 その日は予定が入っていたので、行けるかどうかわからず、 そういう場合にダフ屋の誘惑が効いてきます。 1日目は案の定、当日で行く人が多かった (前売りはいまいち出てなかった)。 ダフ屋も大量に出現、という報告を聞き、 シメシメ、よし! 今回はダフ屋の実情を調査してみる! と勢いいさんで出かけました。 ダフ屋って、コワいけど、神秘的 (音楽業界の人間のいうことではありませんね‥‥)。 ところが、そこで発覚したのが、5時開演! ということ。 土曜日はいまどき5時だったりするんですね。 もうその前の予定を入っていたので 開場についたのが6時30分。 ダフ屋から買うのは開演後、と相場が決まっています。 開始後、数分でチケット価格が暴落するのです。 以前、一度だけ女子プロレスの東京ドーム戦で 5,000円のが2,000円で入れたのです。 すごく得したと思った経験が後押ししてます。 プロレスの場合、 最初の2、3戦はどうでもいいですからね。 コンサートの場合、最初の数曲が勝負ですから、 それを見逃すのはどうか? と思いますが、 行けるかどうかわからないコンサートの前売りをとるなら、 ダフ屋で‥‥と考える人がいてもおかしくはない。 しかし、日本武道館に到着すると、さすがに人気がない。 開演後1時間30分後では、 牛ヶ淵周囲には周囲に人がいません。 橋を渡っても大きな門をくぐってもだれもいない。 ア〜、俺は何をやってるんだろう? 物販を待つテントを左手に見ながら、武道館前に行くと、 15、6人の人が、前でダラダラしてます。 武道館からは怒涛のような演奏と、 バランスが圧倒的にでかいニール・ヤングの歌声 「ヘイヘイ・マイマイ」が。 会場前の歩行者をくぎる鉄製柵に腰掛けながら、 ヒッピー風の推定年齢40台後半のおっちゃんが、 ビール片手の外人若者2人組と話している。 「もうダフ屋はいないんですかね〜?」 と話しかける。 「いや〜今日はもうみんな帰っちゃったね。 僕もダフ屋ねらいできたんだけど、 今日は全然アカンかったな。 全然値段下がらなかったよ。 昨日は行けたんだけどな〜」 昨日はやっぱり、売れ残りのチケットがあり、 半額の4,000円で入れたという。 今回は8,000円もするのだ。 おっちゃんは、なんとはるばる岐阜から来ているといい、 ニールヤングのおっかけをして 全国をまわっているらしいが、 すべてダフ屋ねらいのようだ。 「ウォッチタワーやね、昨日の曲順とチャウな」 武道館からは、ボブ・ディランのカバー曲が聞こえてくる。 外人2人組も、もちろんダフ屋ねらいなのだが、 なんとアメリカから来ているという。 ビールを飲んでいる。 「今回は一部は寸劇みたいになっとんのや」 身振り手振りで、昨日のライブについて教えてくれるので、 会場から聴こえてくる音とあいまって、 だんだん目の前で見ているような気になってくる。 2部が始まり、そろそろ帰る客が出てくる。 時間を間違えたのか、 まだまだ来る客もいるのに帰る客もいる。 さすが武道館だ。 なんだか、駅と駅の間の地域みたいだ。 駅と駅の中間地点をご存知か? その地帯では、どちらの駅に行くか、二手に分かれる。 その人の考え方により、駅を選択するので、 近いと思って駅を選んでも、 隣の家の人は逆の駅に向かっていったりする。 「半券で入れる場合があるんや」 出てきた人に半券をもらい、その半券を持って 「忘れ物した」といって入っていくワザだ。 外人が出てきた人から半券をゲットした! 「お、行けるかもしれんで、がんばりや!」 外人が入り口で交渉している。 「お!いった!入っていったな、やった!良かったな!」 隣人にエールをおくるおっちゃん、 しかし、相棒は残されたままだ。 と思ったら、2分後、 半券を持った外人若者が同じゲートから出てきた。 やっぱり入れなかったのだ。 考えてみれば、外人が一人も出てきてないのに、 半券で入ろうとするのはどう考えても不自然ではある。 再びビールをあおる若者2人組。 「なんや、ケッチやなあ。 もうこの時間になったら、外にいるもん、 みんな立ち見で入れてやってもよさそうなもんやのに。 グレートフルデッドならそうするでえ」 とアメリカの体験を語る。 なかなかそうはしないだろうなあ。野外じゃないし。 「世界中にニールヤング見に行ったで。」 と体験を語る。ほんとに好きなのだ。 ニールヤングは クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングの一員。 アメリカでは、ニールをのぞいた クロスビー・スティルス&ナッシュでは 2〜3,000人の会場なのに、ニールヤングが入ると、 突然2万人規模のマジソンスクエアガーデンに 会場が昇格する。 もともとはスティーブ・スティルスと 人気を二分していたのに。 いまは世界のカリスマなのである。 9.11のトリビュートコンサートでは、 カントリー歌手にまじり、 戦時下に放送禁止となる曲「イマジン」を 悲痛な声で歌ったニール。 影響力はすこぶる大きい。 顔も原始人のように怖い。 もうアンコールが近い、最後に近い曲だ。 そこでまた、一人の若者が入場をしようとしてきた。 「券あまっとらへんか?」ゲートのまん前だが、 食い下がるおっちゃん。 若者はなんと「余ってるけど、ダメダメ!」といった! 汚いものを追い払うかのような態度に おっちゃんは怒ったね。 「なんや、金払おうっていってるのに! とんでもないやつやな。」 僕もそう思う。2,000円でももらえばトクするじゃん。 一人でも見られたほうがいいのに。 アンコールが始まった。 「今日も『ライク・ア・ハリケーン』やらんのやな。 昨日もやらんかった。 怒って出てくるファンもおるでえ。 ほら、出てきよった。」 確かに、人がバンバン出てくる。 しかし、ニールヤングが好きできているのに、 お目当ての曲やらないからといって帰るか? 帰るのだ。そんなことで。驚いたね。 「『ライク・ア・ハリケーン』やるツアーは 3、4年後やな。 ニールヤングはその間隔で日本にくるんや。」 アンコールの終焉が近づいた。 外人2人組は、飲み足りないので居酒屋に去った。 わざわざ日本まで旅費を使って来て、 入場料が惜しいのだろうか? 僕もおっちゃんと握手して別れ、 まだまだ人気の少ない門をくぐって都営新宿線に急いだ。 ライブを普通に見ていてもわからないことが おっちゃんを通じていろいろわかった。 今夜のことは一生忘れられない思い出となった。
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2003-12-14-SUN
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