糸井 |
もともとは、
すごい決意で行ったんでしょ? |
さくら |
すごい決意だったんですよ。
それなのに、すごい後悔して、
もう帰りたいんですけど、
って言ったんですけど、
帰れないんですって言われて。
帰れないんですよ、
やっぱ1週間いないといけないって。 |
糸井 |
うん、そういうものはね。 |
さくら |
そういうものは。
それでね、悲しくなって、
夜とかもすっごい早寝するんですけど、
やることないんで8時くらいには
もう寝ちゃって。‥‥私、
オシッコ必ず行きたくなるんですよ、夜。
夜尿症? |
糸井 |
夜尿症とはちがうだろ(笑)。 |
さくら |
オシッコ行きたくなるんですけど、
寝袋の中入って、暖まるじゃないですか。
やっと暖まったころに
オシッコしたくなると、
もう‥‥。 |
糸井 |
あー、きついねぇ。出たくないねぇ。 |
さくら |
指1本寝袋から
出すだけでも寒いんですよ。 |
糸井 |
うわぁ〜! |
さくら |
ここでオシッコ行ったら、
もう台無しじゃないですか、
今までの苦労が。 |
糸井 |
台無しだ(笑)。
元も子もない。 |
さくら |
ここでこう手を伸ばしたら、
たしか首に巻いてた
タオルがあったはずなんで、
それをオシメの代わりにして、
そこにしたらいいんじゃないかと思って。 |
糸井 |
ああ! おお! 大胆な発想だねぇ! |
さくら |
うん、でも、もうそうしないと
死ぬと思ったんですよ、寒くてさ。
で、腕出して、探したんですけど、
なかったんですよ。
腕1本30秒出しとくだけでも
嫌なくらい寒いの。で、もうしまって。 |
糸井 |
ああ、しまって(笑)。 |
さくら |
しまって(笑)。
もう我慢するしかないと思って我慢して。
それで朝まで我慢したんですけど。 |
糸井 |
結局?(笑) |
さくら |
寝れないですよ。 |
糸井 |
オシッコ我慢してね。 |
さくら |
それでもう、夜はすごい気をつけて、
あの、何にも飲まないようにして。
飲まないし寒いし、話すこともないし、
もうね(笑)。 |
糸井 |
くっくっ‥‥。 |
さくら |
しかも、シャワー、
水なんですよ。寒いじゃないですか。 |
糸井 |
それは想像つきますよ、うん。 |
さくら |
それで私、シャワーも浴びると寒いんで、
もう1週間お風呂入らないことにしたんですね。
寒いから持ってる服ぜんぶ着ちゃってるし、
脱ぎたくないし。そしたらもう
頭が痒くて痒くて痒くて。
もう、同行の石井さんともほとんど
しゃべることもないんですよ。 |
糸井 |
しゃべることもなく‥‥。 |
さくら |
外人にちょっとでもしゃべりかけられたら
嫌だと思って、野球帽みたいの、
もうこのへんまで被って(笑)。
目よけ。外人の。
それでも私タバコ吸ってると、
訊きに来たりするんですよ、
どこの? とかいう感じで。
もう嫌ですよね!
ほんっとにだから、
もう、人と離れた、
すごい離れたところで
タバコも吸ったりして。
とんだことでしたね。 |
糸井 |
変わった動物みたいに
生きてたんだ(笑)。 |
さくら |
そうそうそう(笑)。
先生は、やっぱりすごい立派で、
すごいかっこいいんですよ、
歩き方も、動物の歩き方みたいなのを
身につけてるんで。 |
糸井 |
動物の歩き方を、身につけてる?! |
さくら |
動物を触るっていう
訓練があるんです。
それ、すごいんですよ。
野生の動物にタッチして、
気がつかれないで去ってくの。 |
糸井 |
‥‥それ、僕、憧れですね。 |
さくら |
でしょう? ちょっと。 |
糸井 |
あの、こないだも、うちの娘と、
俺らの憧れは、
黙って気配を消して立っていたら、
鳥が肩に自然に留まるっていうことだと。
そうだよねー(笑)。 |
さくら |
うん、そうだよねー! |
糸井 |
ふはははははは!
ネイチャリングっていうんだよね。 |
さくら |
あ、ネイチャリング、で、
その、動物に触ってくるのは
ストーキングっていうらしいんですよ。 |
糸井 |
それ、最高じゃないですか。 |
さくら |
その本を読んだら
糸井さんもそのサバイバルスクール
行きたくなるかも。 |
糸井 |
もう今だって、行きたいくらいだ! |
さくら |
その先生の先生だった
グランドファーザーっていわれてる
すごい立派なインディアンは、
それをジャガーだかチーターだかで、
できたっていうんですよ。すごいですよ。 |
糸井 |
はぁー、すっごい‥‥。
なんかさ、夢の中の自分は、それできるね。 |
さくら |
うぅーん、まあまあ、そうね(笑)。 |
糸井 |
ジャガー、OK。俺なら(笑)。
でも実際は帽子を深く被って、
小さく静かにしてる(笑)。 |
さくら |
人間からも気配消して(笑)。 |
糸井 |
それ、危ないとこだった、俺。
そんな話(笑)。 |
さくら |
危ないでしょ? いや、私なんかもう、
糸井さん止めてくれたわけじゃないんで
行っちゃったんですよ!
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