糸井 |
「ほぼ日」に
よしもとばななの連載があるんだけれど、
これがね、ばななさんの
今まで持ってない面を
出してほしかったっていうことでもあるし、
本人も、こういうのでよければ
やりたいんだけど、っていうので、
見本を書いてきたんですよ。
これがね、爆笑なんですよ。
あいつさ、“そこにいる人”としては
爆笑もののセンスの人じゃないですか。 |
さくら |
そうそうそうそうそうそう。 |
糸井 |
ただ、今までそれは、
仕事にしてなかったんですよね。
笑わせてなかったんですよ。
今回ね、笑わせてるんですよ。
やっぱりね、人を笑わせるって、
運命だと思うんですよ(笑)。 |
さくら |
そうなんですよね。
でも、私はべつに笑わそうとか
思ってなかったんですよ(笑)。 |
糸井 |
そうか‥‥そうだよね、
なんか潔い心で
サバイバルにも行ってるんだよね。 |
さくら |
そうですよ! ほんと、潔く(笑)。
人としてのこころざしみたいな。
こうじゃなきゃ! みたいなね。 |
糸井 |
でも、おおもとは、
手品のタネを見たいみたいなとこでしょ?
ほとんど俺、変わんないと思う。 |
さくら |
ははははははは。 |
糸井 |
だって、その話聞いたときにさ、
目玉のところはやっぱり、
ジャガーに触るっていう
ことじゃないですか(笑)。
すっばらしい説明もできるし、
単なる弥次馬な考えと、両方あって。
僕の憧れの、陰陽なんですよ。
つまり、色即是空ですよ。 |
さくら |
‥‥色即是空!(笑) |
糸井 |
もう、超存在。
で、もうこんっなに
俗なことはないだろうっていうのは、
人が生きてるっていうこと
そのものですから。 |
さくら |
そうですねぇ。 |
糸井 |
腹が減っただの、
ションベンしたいだのね。
で、俺、ついこないだ言ったことでね、
トイレから帰ってきてね、
ふと思ったんですよ。
俺、もうね、長年ずっと
ションベンしててね、
飽きたよ、ションベンすることに。 |
さくら |
はははははははは。そうですね。 |
糸井 |
わかるでしょ? |
さくら |
うん。私も、この人間の
システムっていうことについて思うんですよ。 |
糸井 |
思うでしょ? |
さくら |
うん。だって、こんな束縛って、
ないじゃないですか。
何時ごとに必ずそんなことを
するっていうねぇ。面倒臭い。 |
糸井 |
若いときにはね、捕らわれること自体を、
受け入れてよろこびに
変えてたと思うんですよ。
極端にいうと性ですよ。ね?
俺は燃えてるぜ、みたいな。
渇望してるぜっていうこと自体が
よろこびですよ。ね?
で、友だちとどのくらい
したいかっていうことを、
比べ合うみたいな。
でも、その時代をすぎて、
じつはそれは、
捕らわれてるっていうことだって、
知るわけですよね。
でも、知っても、今度は、
おいしいものなら食べますよ、
みたいになる時代があって。
でも、そこからさらにその向こうは、
じつはいらないんだけども、
あってもいいかな? ってとこに
行くんだろうなっていうことを、
わかっちゃうわけですよ。 |
さくら |
うんうんうんうん。 |
糸井 |
そうすると、ションベンもなぁ、
50何年もしてるからな‥‥。 |
さくら |
うん、ほんとですねぇ、
選べりゃいいのにねぇ(笑)。 |
糸井 |
で、つまり、いわばさ、
単なる魂になりたいっていう話ですよね? |
さくら |
そりゃそうなんです。うん。 |
糸井 |
ジャガーに触って、
そっと逃げたいっていうことは、
つまり、もう心の中で
ニヤニヤしてるわけでしょ?(笑)
チェシャ猫のように気配は消してるんだけど、
もう、ニヤニヤしてるわけでしょ、
やったぁ! みたいな。 |
さくら |
うん、そうそうそう(笑)。 |
糸井 |
ね? でも、
誰にも伝えるわけにいかないし、
あんまり大笑いしちゃうと
ジャガーが気づくから(笑)。 |
さくら |
そう、ジャガー、気づくからね(笑)。
立ち去んなきゃいけないし(笑)。 |
糸井 |
だから、もう、
心の中では爆笑してるわけですよ、
うれしくて。で、そのことは同時に、
体一切をなくした、単なる、
触るものっていう
定義だけになるわけですよね。 |
さくら |
うんうんうん、そうです、
そうです、そうです。 |
糸井 |
それは、イコールじゃないですか。
やっぱりね、ももちゃん、
センスがもともとあるから(笑)。
俺も、その系統なんです。 |
さくら |
そう、糸井さんもその系統です(笑)。 |
糸井 |
ね。だから、「超俗」で、
「超超俗」になる。
でしょ?
その往復を楽しんで。
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