糸井 |
僕ね、バリ行って、
別のホテルに泊まったんですよ。
アマンが取れなくって。 |
さくら |
あ。 |
糸井 |
ゼロ。 |
さくら |
でしょ。 |
糸井 |
マネしてるんですよ。
でも、ゼロなんですよ。
なにひとつクリエイティブがないんですよ。
あ、1コだけあったのは、
サプライズプレゼントがね、
部屋に、鳥カゴに入った
野鳥がいたんですよ。 |
さくら |
えっ!?(笑)
それ、持ってってもいいんですか? |
糸井 |
放すっていう習慣があるらしいんです。
鳥を放つっていうことが、
福を呼びますってことで。
それだけは感心したけど、
あとはもう、ノーアイデア。
つまり、アマンそっくりにはなるんですよ。
だから、パンフレット作るときには、
そっくりに作れるんだけど、
そこに滞在してるときに、
これは天国に似たものを
作ろうとしてるなっていうことが
実感できないんです。
前に、アマンについて、
「ほぼ日」の初期のころに、
墓場に似てるものを
作ろうとしてるっていうふうに、
感想文を書いたことがあるんですよ。
つまり、お墓の中の死者が、
いちばん安らかでありますように、
っていうコンセプトで
設計してるなと思ったんです。
で、天国の召使いたちの
教育をしてるわけでしょう? |
さくら |
そうそう、そうなんです。
天国の召使いたちの
教育なんですよね(笑)。うん。 |
糸井 |
で、料金がそんなに
変わるわけじゃないんですよ、
マネしてる人たちと。
やっぱり、図書室1コ作るにしてもね、
300室の大きいホテルに図書室があっても、
図書室1コあたりのコストっていうのは、
すごく安く上がるわけですよ。
でも35室しかないとこに
図書室作ったら、
ひとりあたりのコストは
すごく高くなるんですよ。
でも、そういうサービスをしてるんですよ。 |
さくら |
うん、してますよね。 |
糸井 |
きっと、あそこをほんとに愛してる人が、
あれが潰れるってなったら、
倍になってもいいから
残してくれって言いますよね。 |
さくら |
うん、そうですね、
言います、言います、うん。 |
糸井 |
で、それが、おそらく、
川久保さんの言う、
ほんとに自由でありたいってことは
ビジネスになるってことなんですよね。 |
さくら |
そうなんですよね。 |
糸井 |
そうなんですよ、これをね、
いっぱい探して、紹介したいんです。
苦労した分だけお金を得て、
ガツガツと旅をして帰ってくる
みたいなことじゃなくて。
ももちゃんがやってることってたぶん、
そういうことがしたいんだと思う。 |
さくら |
そうなんですよね。 |
糸井 |
でしょ? |
さくら |
うん(笑)。 |
糸井 |
そのために徹夜になってもかまわない。
そのために儲かんないことがあっても
しょうがない。でも、
天国のアイデアを出したいんですよ。
泥だらけでやんなきゃいけない
仕事かもしれないんだけどね、
ひょっとしたらね(笑)。
だからおそらく、
サバイバルの旅に1週間、
ももちゃんが行ったことも、
天国のアイデアとして行ったんだよね。 |
さくら |
そうですよ、もちろん(笑)。
もちろんそうです。 |
糸井 |
キャッチフレーズすごいもんね、
猛獣に触って‥‥。 |
さくら |
気づかれずに去る。 |
糸井 |
すっばらしいですよね。 |
さくら |
うん。素晴らしいと思ったんですよ、
ほんとに。だって人のできることって、
大したことできないじゃないですか。
食べて、ウンコして寝て起きて。
で、こういうふうに手で作業するっていう、
基本はそれですよね。
で、大したことできないけど、
それってすごいことですよね、
猛獣触って去るって(笑)。 |
糸井 |
俺たちは、
それにかわる天国のアイデアを、
きっとのたうち回って
探し出すんでしょうね。
で、それは、今の世の中では、
金になんないんですよ。
で、やる人が少なくなっちゃうんだけど、
たとえば「ほぼ日」なんかだと、
そんなことを言う場所があるんですよね。 |
さくら |
うんうん。 |
糸井 |
でも、今ここでしゃべってることって、
仮にどっかの出版社で、
このことを言いたいですって言ったら、
載っけてくんないと思う(笑)。
せいぜい僕の名前とさくらももこの名前と
掛け算して、だったらいいかな、
ってかたちで乗ってくれるんで、
ほんとは僕らじゃなくてもいい。
僕らの夢としては、
この内容そのものを、
買ってもらいたいんですよ。
‥‥「ほぼ日」は、OKなんですよ。 |
さくら |
「ほぼ日」はね。 |
糸井 |
で、それこそが、
俺たちのやりたいことなんです、
って言えるんですよ。
これがOKで、しかもそれで
ビジネスになってるんだってことが、
もうすでに、天国の話に、
ちょっと、近づいてると思うんですよ。 |
さくら |
うんうん、そうですよね。
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