今日の上役
総集編・その9

私の勤務している会社の支店長。
仕事がとにかく大嫌い。
営業と称し、毎日大好きな海へ行き、
大好きな釣りを楽しんでいます。
緊急の用事で、大至急連絡したくても
海上ですので携帯はもちろん繋がりません。
たまに繋がっても、
心地よい波のざわめきとともに
邪魔されたという感情が
ひしひしと伝わる応対をされます。
どれほど大切な用事でも、
支店長自身でなく、
必ず部下に回します。
営業、事務など
支店長がすべき仕事は
全部といっていいほど。
おかげで部下達は
めきめきと頭角をあらわし、
今年の人事で、その支店長を退け
役職に就いた職員が過半数。
この会社では異例の人事でした。

上役との距離:カウンター越し

観察人(茨城県・黒うさぎ(メス)・29歳)



大学の研究室のボスは
高齢ながら、学生の実験の世話を
大変よく見てくださる教育者です。
学生に実験のアドバイスをする時、
言葉がすぐ出てこず、
「アレをアレしたらコレしろよ」
などと指示語だらけになります。
はじめは意味不明でしたが、
3年ほどボスの下について
研究していると、
次第に「アレ」を意味するものが
ちゃんとわかってきます。

先日、
「おい、アレにアレしといたか?」
と聞かれたので
「はい、アレは完了しました」
と作成した試薬を見せたら
嬉しそうでした。

当たっていてよかった。

上役との距離:アレとアレの間

観察人(千葉県柏市・じゅごん・23歳)



僕の上司は身分証を
しょちゅう家に忘れてくるのです。

その上司の名は岡田課長。
この間も朝の出勤時、
会社の玄関で守衛さんに
とがめられてるのです。 

守衛さん
「岡田さん、岡田さん、身分証は?」

岡田課長
「忘れたんや。岡田さんって
 判ってんのやったら、エエやないか」

守衛さん
「イヤ、規則ですから」


「??????」

これって、岡田課長の言うのが、
道理ですよネ。

上役との距離:自宅と会社の玄関

観察人(京都のせいやん。)



社長は、金魚の世話の
「指示」をするのが好きです。
仕事中に、
「活性炭買ってきて」「水槽洗って」
「元気ないから病気かどうか
 調べといて」
などという指示がつぎつぎと飛びます。

先日、社長専用パソコンを買い、
そこにはいつの間にか
金魚育成ゲームが。

社員全員の予想どおり、
仕事中に、
「水草をちょっと
 動かしたいんだけど」
「水を換えるには
 どれをクリックするの」
「マウスが動かなくなった」
「死んだ」
とひっきりなしに
私たちを呼びつけます。

つい、皮肉まじりに
「金魚が本当にお好きなんですね?」
と聞いたら、
「そうでもない」と言われました。

上役との距離:金魚にはかなわないです

観察人(東京都・サッカー好き・28歳)



以前いたS部長。
独身のおじさまで、
とっても気前がよくて、
会社のみんなによくケーキを
買ってきてくれました。

でもその量がハンパじゃない。
人数×3倍の数で、
しかもその全部が何故かモンブラン。
ある世代の方たちにとっては、
“高級”なイメージだったんでしょうか?

他のケーキも食べたいな、と
みんなが思ったものでしたが、
ケーキを買ってきてくれるような上司が
いない今では、
あのモンブランが懐かしいです。

上役との距離:モンブラン3個分

観察人(静岡県・組長)



会社の部長は、
「秘密やぞ〜」と小声で言いながら
近づいて来ては
僕の上着のポケットに落花生を
2、3個入れていきます。
どうしたらいいのか
最初はとまどっていましたが
だんだんそれが
普通のコミュニケーションに
なってしまい、
部長が転勤になった今、
落花生の入っていないポケットが
ちょっとさみしいです。

上役との距離:落花生3個分

観察人(いーね横浜)



うちの院長は、
一見優しくソフトなイケメン君。
しかし、実は超体育会系、
超ワンマン。
そして実はサロンスタッフ全員の中で
2番目に若い。
他のスタッフとの関係では
自分が大人になって我慢していることも、
個人的に付き合いの長い私に対しては、
爆発させることがしばしば。
そういうときは理不尽と思いつつも
恩があるので耐えている私であります。

ある朝、スタッフみんなの
制服のシャツにアイロンをかけていると、
予約なしでふらりとお客さまが現れ、
私が施術することに。
バックヤ−ドに
「アイロンあと1枚なんですけど」
と声をかけたところ院長しかいなかった。
お客さまが着替えている間、
外で待っていると、
アイロンがけをしていた部屋から
シューシュー音がする。
まさか‥‥、と思いつつ覗いてみると、
院長がアイロンをかけていた。
「できるの」ときくと、
「は、はじめて」。

上役との距離:日によってかわる

観察人(T.Y.)



うちの課にいるK部長は
大のお酒好き。
しょっちゅう、
部下を引き連れて飲み歩いている。
ところが先日、どこからか
「強制的に飲みに誘うことは、
 パワハラ(パワーハラスメント)に
 当てはまる!」
という情報を仕入れてきたらしい。
その日以来
「あ〜、飲みに行きたいな〜。
 でもひとりじゃ寂しいしな〜。
 僕と飲みに行きたい人は、
 メール送っておいてね。
 ね! ね!! ね!!!」
などと、でっかい声で
アピールしだした。
‥‥それを強制っていうんじゃ‥‥。
しかも、
「僕、パワステ
 (パワーステアリング)して
 ないよね?!」
と、言いまつがってもいた。

上役との距離:ちょっとかわいいかも

観察人(新宿区・ゆ・32歳)



出先から電話を掛けてきた上司。
たまたま席をはずしていて
留守電になっている時で、
私が仕事場に戻って
メッセージを聞いたら
いきなり上司の声で

「ぴーーーーっ」

??と思ってたら
「だれかいる〜?」と。

こちらから電話を掛け直して
ぴーってのはなんだったんですか?
ときいたら
「留守電がさぁ、
 なんだか『ぴー』って言わないんだよ。
 だから自分で言ったんだ」
ということでした‥‥。

上役との距離:留守電の録音時間分

観察人(茨城県・ふいづ)



以前バイトで行っていた病院の
婦長さんのお話。
婦長さんは、
パン焼き機を旦那さんに
買ってもらってからというもの
毎朝パンを焼いていました。

焼いたパンを
家で食べずに持ってきては
ナースステーションで食べていました。
虫の居所がわるいと、
看護記録やカルテに
挟まったパンの粉を見て
「食べながら仕事しないって
 言ってるでしょ! 誰!」
と激怒する。
誰も食べてません。
婦長さんの口にパン粉がついてます。
と誰もいえなくて、クスクス。

家で食べれば焼きたてなのに、
と思うけど
「おいしそう!」といわれる喜びを
知ってしまってからは、
もはや家では
食べられない体になったんだと
皆で見守っていました。
看護の本質をかいま見ました。
見て守るは、看て守るだったのですね。

上役との距離:パンがさめるまで

観察人(兵庫県・まると・35歳)



昔の上司のMさんは
ちょっと原田芳雄似の
クールなアートディレクター。
ある日、一緒に行った外出先で
昼食をとろうと近くにあった
イタリアンのお店に入ったら、
いきなり、
「抜けがなーい!ダメだ!」
と、叫んで出てしまいました。
確かにテーブルごとに
パーテンションで
仕切ってあったのですが、
フツーのおしゃれなお店でした。
私の仕事に普段言ってるようなことを、
こんな所でも持ち出すとは、
さすが、
こだわりのアートディレクター。
なんて感心するより
恥ずかしかったです。

上役との距離:
道路まで見渡せるオープンエアな空間

観察人(岐阜県・chiakit)



私が以前勤めていた会社の社長は、
地元の名士なお金持ち。
普段は一般人的な買い物をしませんが、
社員に色々な差し入れをしてくれます。

(1)
ある日の夜のマクドナルドにて
何をどう注文したらよいのか
わからない彼は、メニューを指差し
「ここにあるの全部3個ずつちょうだい」
と言い切ったそうです。

(2)
女性社員がコンビニデザートを
満喫する姿を見た翌日
隣のローソンのデザートを「棚買い」し、
私たちは1週間
おやつに不自由しませんでした。

(3)
またまたある夜、
隣の隣のヤマザキデイリーストアで
おにぎり、コロッケ、フライドチキンを
ありったけと「赤いきつね」を箱買いし、
男性社員に迎えに来てもらっていました。
そんな社長が大好きです。

上役との距離:
  金銭感覚だけは近寄りがたい

観察人(kappi)



親愛なるボス、
いつもお世話になってます。
尊敬してます。大好きです。
そんなアナタにお願いがあります。
しばらく技術面で苦労していた私が、
急激に結果を出し、師匠であるアナタが、
わがことのように喜んでくれたのは、
本当に嬉しかったです。
だからといって、
混み合うレストラン&
ショッピングモールの通路の真ん中で、
「でかした!! やったなーお前!!!」
と、31歳の一見おすまし系なあたしに
思いっきりヘッドロックをかけるのは、
やめていただけませんでしょうか。

上役との距離:密着!

観察人(T.Y.)



社長室から見えるテレビ塔に
作られたカラスの巣。
社長と2人、交尾から産卵、
そしてヒナの孵化まで観察しまくった。
だんだん私は飽きてきていたのだが、
社長は毎日食い入るように観察しつづけた。
そして先日‥‥。

社長「ヒナが羽を広げてるよ」
私 「元気ですねぇ」
社長「元気ですねぇ」
私 「‥‥」
社長「親はね、子どもが元気であれば
   それでいいんですよ」

社長、もうすぐ娘さんの一周忌ですね。

上役との距離:巣立ちまであともう少し

観察人(愛媛県・ありす・30歳)



隣の席の3つ上の先輩(男性)は
デスクの整理がへたくそで、
三日に一度は書類の山が雪崩を起こします。
ちゃんと片付けてくださいよ、と言うと
「ん、わかった」と言って
デスクの左側にあった書類の山を
そーっと右側に持っていった。
これで片付け完了らしい。
そして、ただでさえ狭いデスクに
わざわざ観葉植物をあしらって、一言。

「葉っぱがおまえの方に
 伸びていったとしても
 おれは『空中権』を行使する」

‥‥そうですか。

上役との距離:小学生か!

観察人(しょう・28歳)



プロジェクトチーム総出で悩み抜き、
どうしても、とある
「ふたつのうちひとつ」を決定できずに
上司に判断を仰ぎに行ったときのこと。

「こっちだ! だってそうだろう!
 悩むまでもないぜ」
と、若々しく親指をビッと立てた。
一見「直感だけ」のような言い方だけど、
ふだんからあらゆることに興味を示し、
いつも的確な判断をくれる上司。

まだまだ未熟なわたしたちは、
今回も助けていただいちゃいました。

上役との距離:見習います

観察人(京都市・みぶ・28歳)



月曜日の残業中、
F課長(43歳)が
家に電話をしていました。
「(少年)ジャンプ買った?
 ‥‥なんで? どっかに寄って
 買っておいてくれてもいいだろ!!」
と、怒鳴ってました。
私は奥さんを気の毒に思い、
F課長に「大人気ないですよ」
と言ったら、
「だって、かったり〜月曜の
 夜の楽しみなんだぞ!」
と、私も怒られました。
F課長の少年の心を、
いとおしく思いました。

上役との距離:
  僕がジャンプから離れた10年間

観察人(山形・ペー君・33歳)



上司が親会社へ電話をしていた。
ある会合への出席者を
報告したいらしいが、
先方の担当者がいないらしい。
「では○○さんにお伝えください。
 復唱します。
 出席者は××常務、△△専務‥‥」

‥‥ 復唱ってこういうとき
使うんでしたっけ?

上役との距離:『オトナ語の謎。』1冊分

観察人(東京都・サルの子分・29歳)



短期のアルバイトで
測量関係の会社にいます。
家から持参したアルミ製の
45cm定規を使っていたら
バイトのまとめ役の社員さん
(推定40代男性)が
「これ使ってると?」(久留米弁)と
聞いたので「いいですよ」と
貸してあげるつもりで答えたら
ぱっと明るい笑顔になって
持って行かれました。
辞めるまでに
返してもらえるか心配です。
しかしあんな嬉しそうな顔をされては、
実は私物とは言いづらい‥‥。

上役との距離:備品と私物の間くらい

観察人(Lee)



「お、雨が降ってきたなぁ。
 俺は折りたたみ傘を持ってるぞ。
 用意周到だろう?」
と言って傘を開いた営業課長だけど、
てっぺんのところが
切れていたみたいで
手がびちゃびちゃになっていました。
でも、気づかないふりして
一緒に会社に戻りましたよ。

上役との距離:つっこめない距離感

観察人(品川区・品川商事・29歳)



ひとつのプロジェクトを終え、
つかのまの余裕ができた先輩(女性)が、
これまでにたまった名刺を
おもむろに整理し始めた。
しばらくして「うひゃー」 という奇声。
必要な名刺をまつがって
捨ててしまったのかと思ったら、
「2年以上前に退職した人とか、
 部署が変わった人とか整理したらさー
 ほとんどの名刺が必要なかったの〜!」
 ファイル5冊ぶんが1冊よ?」

‥‥。

ためこんだ名刺の分量もさることながら
それを一気に整理した先輩の
心意気に乾杯です。

上役との距離:ファイル4冊ぶん

観察人(港区・みどり・27歳)



あぁ、もうすぐ夏ですね。
自称「おしゃれ」な課長の
香水がきつくなる季節の到来です。
‥‥憂鬱です。

上役との距離:風上希望

観察人(モンキー猿)



八百屋に買い物に行った。
鍛え抜かれただみ声で
「エ〜〜〜〜〜
 ヤスイヤスイヤスイヤスイヨ〜〜〜」
とかけ声をかけてた、
店の主らしきおじさん。
自転車でやってきた、
スーパーサイヤ人みたいな髪の男子高校生に
「おっ? テスト終わったのか。
 ちゃんとできたか」
「全然だめです」
「まあ、勉強だめだったら、
 うちに就職しちゃえよ!!」
と豪快に言って、
男の子の頭をがしがしやってた。
男の子は、嬉しそうに
「着替えてきま〜す」と
店の外付け階段をのぼって行った。
こういうおじさんがボスでいてくれて、
きっとあの子は学校の勉強より
ここのアルバイトの方が
ずっと楽しいんだろうなあって思いました。

上役との距離:社会と学校

観察人(T.Y.)



機械に弱い社長。
こと携帯に関しては、
やっと使いこなしている状態。
先日携帯で誰かと電話している時の会話

社長
 「あ〜何度も電話もらって
  気がつかなくて悪かった。
  iモードにしてたんだ」

‥‥ 社長、意味がわかりませんっ。

上役との距離:メール3通分

観察人(埼玉県・くろ)



隣の席に座る上司は、
パソコンがフリーズするたびに、
「ああぁぁぁ」とか「うう」とか、
セクシーな声を出すので、
気になってしかたがありません。
本人は無意識のようなので、
ツッコむわけにもいかず‥‥。

上役との距離:フリーズ2回分

観察人(千葉県・のどか・29歳)



私が入社した日の次の日に
社長は転んで眼鏡にヒビが入ってしまった。
その眼鏡を半年ほど
かけつづけている社長のいる会社は、
やはり経営状態があぶないのだろうか。

上役との距離:ビニールテープ30センチ分

観察人(コンタクト派・27歳)



右どなりに座る上司は、
「ちょっといいですか?」と
部下が質問やら用事やらで来ると、
ばかに丁寧に
「いらっしゃいませ」と言う。
となりでかならず、
「おっちゃんは、店番か!」
とつっこんでいる。

上役との距離:ボケとつっこみの関係

観察人(茨城県・つっこみ担当)



小さい置物が大好きな上司は、
パソコンの上に、ブタだのきのこだの
エッフェル塔だのブッダだのを
乗っけている。
この間、
震度3くらいの地震があったときに、
置物が全部
机の上にちらばってしまった。
惨劇のあとを
悲しそうな瞳で見つめながら
たたずんでいる後ろ姿が、
多少はあわれだった。

上役との距離:避難所まで5分

観察人(ACあたふたー・29歳)



お昼にイカフライを買ってきたので、
冷蔵庫にあったポン酢でたべようとしたら、
食いしん坊の課長が、
「あ、それ僕の私物のポン酢なんだよ」
と、遠くの席から叫ばれた。
「私物のポン酢」て!

上役との距離:ポン酢3滴分

観察人(栃木県・けろよん・30歳)



私の職場では
官庁からの委託を受託して
いくつかの事業をしています。
その中で私がやっている仕事の
担当者の名前なのですが、
前年は「アライさん」でした。
トラブルがあるたびに同僚と、
「あのアライチュウは、
 まったくぅ〜!」と、
勝手にあだ名をつけて、
悪態ついていたのですが、
とうとうそのアライチュウが
異動になりました。
次の担当者の名前を聞いてびっくり。
今度は「タカギさん」だったのです。
でも、前ほどトラブルがないので、
「あの、タカギブーは!」と、
悪態をつくチャンスは、
今のところありません。

上役との距離:
   全員集合まであと何人?

観察人
(北海道・Claudia・30代後半)

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