子供のころはラッキョウにまったく興味がなく、
そのありがたみは大人になってから知った。
居酒屋などに「今年も仕込みました」と言わんばかりに
ラッキョウの大びんが置かれていることがあるでしょう。
あれで、甘みをひかえめにした手作りのうまさに目ざめた。

そして今でも愛読書である辰巳浜子著『料理歳時記』で、
塩ラッキョウというものがこの世にあることを知った。
「ラッキョウと塩によって自然にかもしだされた酸味」
みたいなことが書かれていて、
ものすごく食べてみたかったが、
はたちそこそこの若者が
風呂なしアパートでラッキョウを漬ける、
ということに対して、ぐっとふみとどまる分別もあった。

【材料】
・ラッキョウ
・塩
・水
・レトルトカレー
・ご飯

それから約20年後、2002年からほぼ毎年、
ラッキョウを漬けている。
漬けはじめた理由は、
レトルトカレーのグレードアップだった。
そのためだけに1kgのラッキョウを洗い、
皮をむき、塩水に漬けこんだ。
はじめは一日に一度、
広口びんの空気を抜かなければならいので、
置き場だった洗面所がラッキョウくさくなって
悲しい思いをしたけれど、それだけの価値はありました。

作り方はネットで調べ、いちばん簡単な方法を選んだ。
今年の塩ラッキョウもとてもおいしく漬かったが、
カレーには微糖甘酢漬けのほうが合うかもしれません。
今年は、私に輪をかけたラッキョウ好きである
伊藤理佐先生の仕事場で、去年までの倍量を仕込み、
こちらの仕事場に随時持ってくることにした。
匂いが気になることはなくなったが、なんというか、
ラッキョウを人質にとられているような気がして、
おちつかない気持ちで梅雨どきをすごしている。

2008-07-03-THU
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