調味料使いきりシリーズ、第２弾はケチャップです。
いつ口を開けたんだろう。少なくとも一年以上前だ。
味をみたら大丈夫だったので、使い切ることにしたい。

かつて居酒屋でバイトをしていたことがあるのだが、
そのまかないで
「具のないナポリタンとライス」が出たことがある。
ナポリタン……といっていいのかどうか。
麺は平たくて、たぶんリングイネとかそういうやつ。
タマネギの切れ端ぐらいは入っていたが、ごくごく少量。
肉っけはまるでなく、味も薄かった。
「吉田くん、ごはんおかわりあるよ」
と、調理場のチーフにいわれたが、
どうすりゃいいんだこのおかずで、と思ったことを、
ケチャップにぎりしめていたら思い出した。
素直にナポリタンでも作ろうかと思っていたが、
あの釈然としないまかないへのリベンジにしよう。

野菜をきざみ、ウインナに切れ目を入れて
油でがーっと炒め、途中ふたをして火を通し、
塩、コショー、ケチャップで味つけしてできあがり。
もちろん粉チーズとタバスコを振ることも忘れない。
半分残ったので、明日はナポリタンだ。

初めて焼きそばをおかずにごはんを食べたのも
ここでだったが、ソース味とノーマルな具入りに涙が出た。
ふだんは肉じゃがや焼き魚などメニューの残りものが多く、
一人暮らしの学生にはありがたかった。
閉店後に飲んでいいことになっていた
一杯の生ビールもうまかったなー。
自分でいうのもなんだが使えるバイトだったので、
やめるときはみんな残念がってくれた。
短髪の、元ヤンっぽい見た目のチーフが
「おれのこときらいになったんだろう」
と、さびしそうに冗談をいったことを思い出す。