高校の同級生T君に教わったものを久しぶりに作ってみた。
「Tさん」だと話が色っぽいのだが、残念ながらT君だ。
同級生とはいえ同じクラスになったことはなく、
話をしたこともほとんどなかったが、
上京後、近所に住んでいたのでなかよくなった。
初めて遊びにいったとき、
四畳半アパートのせまい台所部分で
鶏の唐揚げをあげてくれたのには仰天したものだ。
「唐揚げ粉を使えばかんたんだ」というが、
そういう問題ではあるまい。
それで合成酒を飲んだのだが、豪勢だったな。
シャレではなくて。
偏食がちでもあるT君だったが、独自のこだわりで
金欠なりに自炊を楽しもうとする姿勢があり、
おおいに影響を受けた。
ツナ缶に醤油をかけたものでご飯を食うのが
いかにうまいか、延々と語られて、
帰るなり試さずにはいられなかったり。
それは定番にはならなかったが、
その後の人生に定着してしまったのが、
この納豆オムレツだ。
珍しいものでもなんでもないが、いろいろ試してみた上で
「これできまり」となった作り方だという。
手を抜けるだけ抜くことがうまさにつながるという、
学生自炊の鏡のような料理だ。
・卵を溶く。味つけはしない。
・油を熱したフライパンに流し入れる。
・納豆を卵の上にのせる。納豆はかきまぜない。
・卵でくるみ、焼きあげ、醤油をかけて食べる。
ネギなどは入れない。
そういう小細工をしないところに、プロが作らない、
外では買えない料理の喜びがある。
卵が1個だったのでごらんのとおりきれいにくるめず、
納豆がぼろぼろ落ちて食いづらかった。修行が足りん。
T君がやっていたとおり、
2個で作ったほうがうまくいくだろう。
2008-12-25-THU |