20年以上、まがりなりにも炊事をしていると
「入門編」的な料理レシピは小バカにするようになる。
「タマネギ半個?
野菜の大きさってみんな同じなのかよ、けっ」
といった具合である。たちが悪い。
『LIFE』も、いい料理書であることは理解できても、
糸井さんの前書きにある
「まずは、じぶんなりの工夫なんかもやめて、
レシピそのままつくってみてください」
の一文に、自分でも不可解なほどの
反発を感じていたのだった。
「教科書からはずれたやり方で歩んできたのが
我がマンガ道!」
などという、料理とは関係ないところでの
反感なのだろうか。
中学生を含む5人で家メシを食おう、
ということになったとき、
まず頭に浮かんだのはハンバーグだった。
そうだ、いい機会だから『LIFE』のとおりに作ってみよう、
と思った。
「なんぼのもんか、見せてもらおうじゃないか」
という、挑戦的な気分である。
おいしくないとは思わないけど、
自分が適当に作るのとそんなに違わないんじゃないか?
ポテトサラダと、ニンジンのグラッセ、バターコーンは、
妻の伊藤が担当。
5人分+αの分量なので、調味料や具材の割合に
誤差は出ているだろうが、できるかぎり忠実に従った。
しかしこの一冊の中でも、
相当に敷居が高いレシピではないだろうか。
実にめんどくさい。
そもそもいつも作るのはせいぜい1〜3人分。
5名同時に焼きたてを出したいような料理のスキルは
低いのだった。
形作ったタネを
「冷蔵庫ですこし休ませておきます」のくだりで
「あるか、そんなスペース!」
とぶちキレる。
そして結論としては、私の両親も娘も伊藤も
「おいしい‥‥」「プロの味」「お店の味」
ということになった。異論はない。
特に、おろしタマネギをベースにしたソースがたまらない。
これペチャペチャなめながらワイン一本飲めるな。
いさぎよく甲子園の土を持って故郷に帰ります。
2009-10-29-THU |