かいやき、でもいいが「かやき」と読むのが風情がある。
伊藤が立派なホタテ貝を買ってきたので、
蒸し焼きにして食べ、その殻をもらった。
きれいに洗い、大事にしまった。
一度これをやってみたかったのだ。
後日、煮るものはなんでもいいと思ったが、
アサリのむき身があったので買ってきた。
【材料】
・アサリむき身
・ワケギ
・出汁、酒、醤油
だしはけずりぶしと昆布でとっておいた。
殻をコンロに注意深くセットする。
ドキドキする。
万が一割れたときのことを考え、ふきんやタオルを用意。
出汁に酒と醤油を入れ、弱火にかける。
すぐふつふつと煮たってきた。
興奮しつつ具を入れる。
「彦さん、雪が降ってきたようだね」
などと一人「仕掛け人・藤枝梅安」ごっこをしながら
食べ始める。
楽しい。酒が進んでしょうがない。
何がこんなに楽しいのだろうか。
基本的に鍋は楽しい。
小鍋でやる一人鍋も楽しいわけだが、
ホタテの殻は、それ用の鍋よりかなり小さい。
そこに秘密があるように思った。
ままごとというか、子供の遊びのような気分を
味わえるのだった。
そして、天然自然のものが
そのまま道具になるという喜びは、
はるか祖先にさかのぼるものかもしれない。
原始時代のわれらが祖先も、
初めてなんらかの貝殻に水を入れて火にかけたとき、
高揚する気持ちを味わったにちがいないのだ。
2010-05-27-THU |