SOFTWARE
シェアウェアは
ひょっとすると
デジタルユートピア
かもしれない。

スコットランドからやってきた情熱。
DragThing___その1


今回は、GraphicConvertorのTHORSTENさんとは対照的に、
熱く語るおとこ、James Thomsonさんの回答を御紹介。
彼は、スコットランドのグラスゴーに住み、
某大手コンピューター会社につとめるエンジニアである。
彼もまた普通に仕事をしつつ、
シェアウエアを作っている人間のひとりである。

それでは、その回答をば。

DragThingとは

DragThingとは、いわゆる、
デスクトップマネージメントユーティリティーというふうに
呼ばれるソフトウエア。
ランチャーの仲間といったらわかりやすいだろうか?
デスクトップにちらかった、エイリアスだの、フォルダだのファイルだのを、
ひとまとめにして、デスクトップ上に浮かしておけるという便利なもの。
また、WEBページのURLを登録しておけば、
ボタンクリック一発、ブラウザーが立ち上がって、
そのページにジャンプできるという機能もついている。

私は、いままで、デスクトップにたくさんのエイリアスをぼこぼことおいて、
それはもう、見苦しいことこの上なかったのです。
見るのもイヤというくらいな。
これをつかえば、その、散らばっていたエイリアスが、
分類してまとめて一箇所に置いておけるので、
精神的にも大変重宝している逸品です。
(つまり、わたし自身がDragThingのファンなのですが)

すごくいろいろなことができて便利というわけではないし、
仕事の能率があがるわけでも(あまり)ない。
が、とにかくデスクトップが素敵になるのだ。

使いたくなったあなたは、 http://www.dragthing.com/にいって、
ソフトをダウンロードしてみよう。
http://www.dragthing.com/english/download.html#japaneseには、
「日本語版」もあります。

必要なMacの種類: システム7.5以上がのっかっているMac。
URLの登録は、「Opentransoport 」が
インストールされていること。
ファイルの大きさ:1.3MB
登録料金:15ドル
登録料金の支払い方法: ホームページの「Registar」というボタンをクリック。
本文中に、register onlineの文字をクリック。
そうすると、シェアウエアの登録代行をしてくれる、
kagi comの日本語のページにいくことができます。
なにもとって喰おうってわけじゃなし、
便利だとおもったら登録をしてみよう。
お支払いはカードで。

 

さてそれでは。
(英文をじっくりと味わいたい方はこちらへ。
まるまんま載ってます。)

質問1
なぜ、ソフトの配付方法を
シェアウエアとしたのですか?

DragThingは昔は
「クールウエア」でした。
基本的にはフリーウエアですが、
「もし、ソフトが気に入ったら、私に、
なんか「クール」なものを送る」というルールでした。

たくさんのT-シャツなんかが送られて来ましたが、
多くのユーザーから、
「『クールなもの』が思い付かないんだけど、
私のハードワークに対して「何か」贈りたいから、
ソフトをシェアウエアにしてくれ」と言われることが
ありました。

そこで、ちょうど、一年前にソフトを大幅に改訂して、
DragThing2.0を作ったときに、
ソフトを「シェアウエア」にしました。
これによって、たくさんのひとから
感謝のメイルをもらうことになりました。
彼らが言うには、「簡単にお金が払えて、前みたいに、
私に何にも送れずに、罪悪感を感じなくてもすむのだ」と。

質問2
シェアウエアソフトの
製作と配付だけで、
お金はかせげるのですか?
つまり、ソフトの登録費用のみで、
開発費とビジネス費用をカバーできるのでしょうか?

できます。もちろん。
もし、充分にすぐれた製品をつくることができたならば、
充分なお金を稼ぐことができるのです。
市販の製品よりも儲けることだって
不可能なことではありません。

シェアウエアをリリースするときは、
流通業者や他の会社に、手数料などを支払う
必要がないのです。Kagi(登録とシリアルナンバーの
発送代行をしてくれている会社)のチャージの
パーセンテージはさしひかなければなりませんが、
それ以外の利益が全て、自分の懐に入ってきます。

商業ソフト(市販ソフト)を50ドルで販売したとして、
一つ売れるごとに入ってくるロイヤリティーは、
大体4ドルです。
でも、シェアウエアの場合は、15ドルの値段を設定すれば、
14ドルが自分の取り分になるのです。

シェアウエアの配付で一番難しい部分は、
そのソフトが人々に知ってもらえるかどうかに
かかっていますが、それは、前にも述べたように、
充分に優れたものをつくれば
ユーザーは、それを見つけてくれます。
そして、口コミしてくれるのです。
もちろん雑誌やWEBでレビューを
のせてくれるということもあるでしょう。

私は、お金を稼ぐためにシェアウエアを作ることを、
人にすすめることはありません。
お金を作ることを第一の目標にして、
ソフトを書くべきではないと思うのです。
「楽しむ」ために、ソフトは作るものだから。
「楽しむ」ため以外の目的を持っていたとしたら、
あなたは間違った理由でソフト製作をしていることに
なります。
また、その製品は、間違った理由の元製作されたがゆえに、
「良い」ソフトではないのです。

私は、良く知られたある会社(名前はいえないけど:-))で、
実際の仕事として商業ソフトを書いていますが.......。

質問3
登録費用を払わないで、ソフトを使用する人がいる
可能性があるとおもいますが、
それについて考慮にいれていますか?
これを防ぐためになにか方法やアイデアはありますか?

私は、人々の「正直さ」をよりどころとしているのです!

DragThing2.0をリリースしたとき、
私はシリアルナンバーを導入しました。
登録しなくても好きなだけソフトをつかうことはできますが、
スタートアップの時に毎回警告がでます。
もし自分のMacに「Speech Manager」が
インストールされていれば、
「DragThingを登録してください!」と、
スタートアップのたびに囁かれるはめになるでしょう。

他に、登録してくれたら、
ボーナスとして、たびたびリクエストされる機能を
付け加えることにしています。
フローティングウインドウや、ホットキーなどは、
登録しなければ1度きりしか使えないシステムに
なっています。

私が思うに、DragThingは市販ソフトと
同等のクオリティーを持っていますし、
15ドルはとても安いのではないかと思います。
ユーザーが、私のソフト製作に関わる仕事をちゃんと
理解して、登録をしてくれるのが理想です。
が、登録しない人について文句を言いたくはありません。
文句をいうことによって、
人々が離れていく原因にもなります。
バランスが大切だと思うのです。

でも、もしあなたが登録に関して何もしなければ、
ほとんどの人が登録をしてはくれません。
少しの警告を「いつも」するのがいいと考えています。
 

あ、ここでちょっと。
情熱的な文章がまだまだつづくのですが、
今回は、質問3までとしましょう。のこりの

質問4「どのくらいのパーセンテージの人が登録費用を
    払っているとおもいますか?」
質問5「私達はシェアウエアを以下のように定義づけました。
    製作者が、人々と「便利さ」をシェア(共有)したいから
    ソフトをつくり、使用者は、作者に対して、
    感謝と尊敬を込めて登録費用を払うもの。
    この定義についてはどう思われますか?」
質問6「シェアウエアについて、なにかポリシーや哲学、
    態度などおもちですか? おしえてください。 」

は、次回のお楽しみということで。
当然、次回もさらに熱く語る、ジェームスさんである。

(つづく)

1998-08-07-FRI

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