観客 |
もしもだんなが浮気をしたらどうなりますか? |
観客 (既婚) |
うちのケースで言うと、
精神的な浮気だったら、そりゃ、
今の時点でもどちらにもあると思うけど。 |
慶一 |
・・・(ものすごい小声で)
・・・浮気にはハッキリ2種類あるんだ・・・。
・・・肉体的だったら、それは・・・。 |
糸井 |
(笑)慶一くん、小声でひとりで
ぶつぶつ、何を言ってるんだよ! |
観客 |
(笑)糸井さんだけに聞こえる声で。 |
リリー |
そこだけ大人どうしの話になってる(笑)。
でも、精神的な浮気って、
たぶん浮気じゃないと思いますよ。
もし俺にかみさんがいて、
「わたし、もうその人のことしか考えられないの」
って言ってて、セックスしたの?って聞いて
「まだキスもしてない」と言ったとしたら、
セーフ!って思うもん。 |
糸井 |
(笑) |
リリー |
そこで「あたし、しましたよ」って言われて、
自分たちもセックスしなくなってるのに
そんなことを言われたとしたら、
もう、傷つく度合いがまるで違うと思う。
なんて言うか・・・
人間の生臭さに傷つく。
その人がどうだっていう前に、
「みんな死ねばいいのに」って思う瞬間ですね。 |
糸井 |
リリーさん、それ、
文字にするといい文章になるなぁ。
「その生臭さに傷つく」って、いいなぁ。 |
リリー |
もし精神的な浮気っていうのが
あるとすれば、「中で出すこと」だよね。
その人の中で出すぐらい好きだ、っていう。 |
糸井 |
(笑)・・・いい文章だねぇ。 |
観客 |
(笑)どこが!
ところで、リリーさんのまわりで
いい家庭ってどういうのがありすか? |
リリー |
見たことないねぇ・・・。 |
一同 |
(笑) |
糸井 |
いま聞いてると、
みんなの間でうらやまれてるのって、
どうも、なんかある種の諦観みたいだね。
「諦観を飲みこんだところ」に憧れてない?
喧嘩しあう商店の夫婦っていうのも、
あきらめているところがかっこいいというか。
不完全だけど壊れてないみたいな・・・。
「諦め」の要素を入れないと、納得できないでしょ。
「鳳啓介・京唄子」って聞くと、
ありゃあもう、別れてるんだけど、逆に
「いいなぁ」なんて人は納得するじゃないですか。
諦観がこもらないと、幸せがないんじゃないの?
家庭だけじゃなくて
みんなの人生観がそうかもしれないけど。
だってみんな、
「人生とんとん拍子です」って人を見ると、
なーんかあるぞ、と思いがちでしょ。
逆に「いろいろあった」っていうのを聞くと、
そうだなぁ、と思ってしまうわけだし・・・。 |
慶一 |
たださぁ、さっきの
白い家、犬、ホームパーティーの人の
幸せのイメージのノーマルさは・・・
・・・憧れるなぁ・・・。 |
糸井 |
あははは(笑)。 |
リリー |
今のって、10回ぐらい
寒いシーンを見た人の言うセリフだよ・・・。 |
糸井 |
そうそう。雪山が見えている男。 |
リリー |
吉川ひなのが結婚する時に
「結婚なんていう、
こんなかわいい制度があるとしたら、
しなきゃウソだ」
って言ったのは、いいですよね。 |
糸井 |
いいセリフ。 |
リリー |
まぁ、かわいいだけじゃだめかしら、
になるんだけど。 |
糸井 |
ケーキ、食べてみたら違ったっていう。 |
慶一 |
うん。そうだ。 |
リリー |
(笑)慶一さん・・・。
女の人って、勢いと運命にのまれることを、
どこかで望んでいるんじゃないでしょうかねぇ。 |
糸井 |
「のまれるよろこび」ね。 |
リリー |
運命っていうのは、切りひらくものじゃなくて、
クリント・イーストウッドが言っているように、
「時として運命が感情を持って暴走してくる」
っていう・・・。 |
糸井 |
(笑)いい文章!
確かに、向こうから白い馬に乗ったやつが
パカラっ、パカラって来て、
かっさらわれたら、もう静かになっちゃうよね。
・・・慶一くん、馬買えば? |
慶一 |
馬乗ると、タマがいたいんだよ・・・。
乗ったんだけど、1週間痛かった。 |
糸井 |
(笑) |
観客 |
凝って口説こうとする人ほど、
別れやすいってともだちと話したんだけど。 |
糸井 |
今までのことを考えると、
たしかに、「あ、そうか!」っていって
一緒になったケースって、すぐにダメになるなぁ。
「思い違いだった」っていう時がすぐに来るね。
ひなのみたいに。 |
慶一 |
・・・あのさぁ、
俺みたいに、自分のことを好きすぎるとさぁ、
やっぱり、だめだな。 |
糸井 |
(笑) |
リリー |
でも、「自分を好きすぎる慶一さん」を
好きな人があらわれるんじゃないですか? |
慶一 |
そうなんだけど、
でも、その人は
「自分を好きな俺」を好きなわけで、
だんだんと、ねじまがっていくんですよ。 |
糸井 |
「自分好き」をまねしたくなるのかなぁ。
慶一くんに好かれたくて、考えをマネしたら、
自分を好きになっちゃったとか。 |
慶一 |
(笑)それ、あるかもね。 |
糸井 |
乱暴な亭主が好きだ、って言ってるうちに
自分が乱暴になっていくケースはあるよね。 |
リリー |
(笑)あぁ、それはありますねぇ。
ぼくは、
夫婦でもともだちどうしでも、
ぜったいいつまでもピースだぜってことは
続かないと思うんですよ。
あらゆる関係には、
絶対にどこかできちんと主従関係があって、
場面場面で逆転してもいいけれども、
その中での関係に過ぎないと思うから。 |
糸井 |
そうだよね。
どちらかが主導権を持ってる。 |
慶一 |
平等だとまずいよね。 |
糸井 |
約束をしすぎちゃう。 |
リリー |
なにごとも、決めるのはよくない。 |
糸井 |
慶一くんは自分がケーキだから、
ケーキ好きのお母さんタイプがいいのかな? |
リリー |
ケーキっつうことで言うと、
むこうがケーキを先に9個出してくれたら、
こっちも一生懸命になって
あとの1個を作れるじゃないですか。 |
糸井 |
女で、慶一くんみたいに
心情的なケーキを出すやつなんて、
いないんじゃないですか? |
リリー |
・・・いやぁ、俺、もう、
後攻にまわりたいんですよ・・・。
むこうに「してもらって」から、返したいんです。
今までは先攻型でグズグズになってたから。 |
糸井 |
(笑) |
リリー |
9割、俺のために生きてくれたら、
こっちが残りの1割やるから、
まずは見してくんないと・・・。 |
慶一 |
ふふふ。 |