みうら |
ええっと、全てのものには、
ステッチが入るという話ですよね?
日本は小さい島国ですが、
ステッチがいっぱい入っています。
ステッチが47箇所入っている
ジーパンみたいなもんですよ。
日本は、1970年代半ばの人たちがよく穿いてた、
あのベルボトムのつぎはぎに似た
状態だということは、言えます。 |
ほぼ日 |
確かに日本地図は、やたらと細かい
県境のステッチが多いですね。 |
みうら |
アメリカのステッチは大きいですよー!
大きくて、ばーんとしてるでしょ? |
ほぼ日 |
直線ですし。 |
みうら |
いっぽう日本は、あれだけステッチが入ってる。
ということは、つまり
「ものすごく動ける」ということなんですよ。
ひじやひざのところ、関節を曲げるから、
ステッチ入れとかないと、つるでしょう。 |
ほぼ日 |
ははは。 |
みうら |
日本は、動きが自由なんです。
そういう国なんですよ。
岐阜県から隣の県に入るとき、
ステッチがびょーんって引っかかるでしょう。
あそこに見えないステッチがあるんですよ。
つまり、ソーイングの間をぬって
県に入らないとダメなんです。
それは、意外と
旅をしていないと、わからないと思う。 |
ほぼ日 |
ヨーロッパあたりを車や列車で旅すると、
国境がありますが。 |
みうら |
ところが日本はステッチですからね。
どうソーイングするかということですよ。 |
ほぼ日 |
みうらさんは、旅の移動は
電車派でいらっしゃいますか? |
みうら |
やっぱり電車がよろしいですね。
飛行機は便利ですが、
ステッチを上から見ることになるわけです。
ぼくのような体験派としては、
新幹線がある県をそれぞれ
「チューン、チューン」と
抜けていく感じがいいんですよ。 |
ほぼ日 |
ははあ。 |
みうら |
そうすると「ああ通過した!」って
気づくでしょう。
通過したことを
気づくか気づかないかの違い、
大きいんですよ。
人の成長だって、同じことです。
成長の過程で、ときに
「あ、これは通過した」と
言うことがあるでしょう。
それは、上で見てたらさ、やっぱり
自分が通過できなくなるじゃありませんか。 |
ほぼ日 |
‥‥なるほど。
上からだと、分析のように
「ふーん」と見るだけで。 |
みうら |
うん、そうなっちゃうじゃないですか。
痛みとか
そんなことじゃなくなっちゃいますからね。
それに、新幹線で移動すると、
不思議なことに
何回乗っても
覚えられない風景が
つづくでしょ。 |
ほぼ日 |
ふははははは。 |
みうら |
何回、もう何十回、何百回乗ったか
しれないのに、
いつまでたっても覚えられない
看板やら原っぱやらがあるんですよ。
ひとつの看板を憶えていても、前後が
もうひとつつながってなかったりするでしょ。
あの部分がステッチです。 |
ほぼ日 |
そうなんですか。 |
みうら |
あれを完璧に憶えない限りは、
真の旅人とは、言えないかもしれない。 |
ほぼ日 |
‥‥なるほど。 |
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今回のお話をノーカットでごらんになりたい方は、
ほぼ打ち合わせ調のムードになっておりますが、
下の動画でどうぞおたのしみください。 |