最終話

これからあとにつづく人。

糸井
小山さんのまんがを読むと、
「ほんとうのことみたいなことを描く人だな」
と思えます。
それがぼくにとってのおもしろさだったんです。
小山
まんがに描いていることはほんとうです、
ぜんぶほんとうですよ。

糸井
ほんとうのことをただ描いても、
ほんとうのことにはならないわけで、
ほんとうのことだなぁと思わせるから、
ほんとうのことになるんです。
それを描けてるって、
やっぱりすごいことだと思います。
小山
うーん、ほんとうですね。
糸井
そう(笑)。
一同
(笑)
小山
あと、いまお話しして思ったんですが、
自分がそもそも「ほんとうのことが好き」と
いうこともあると思います。
みんながほんとうのことを発言しにくい空気とか、
すごく嫌いなんです。
「言っちゃいなよ」みたいなことを
よく思ったりします。
糸井
やっぱりそういうことなんだなぁ。
みなさんの描いているものはそれぞれ、
ひとつずつ表現の発明があるんですよね。
自分では気づかないかもしれないけど、
「これ、発明だよ」って
あとで人に言われるようなことが
ポンと出ています。
これから先、どうなるかわかりませんが、
このあたりをユラユラしているものから
いろんな花火が打ち上がっていくのが
すごくたのしみです。
みなさんの次に、さらに誰かがつづいたりして、
それぞれがみんなニコニコしてるという状況が、
ネット時代だからこそあると思う。
小山
Twitter発のまんががガンガン出てきたら、
どうしましょう、と思いますけど‥‥。
糸井
ガンガン出てきたら、
小山さんはもっと売れます。
競争相手ができるんだから。
小山
もっと売れますか?
糸井
はい。もっと売れる。
つまり、自分のいる場所がなくなるんじゃなくて、
あなたのいる場所は上に行きます。
だから、ガンガン出てきたほうが
たぶんいいと思います。
小山
よし。
RTいっぱいしようっと。
一同
(笑)
糸井
いや、小山さんは、まずは
いっぱい描くことです。
小山
あ、そうなんですょネ‥‥。
がんばります。
糸井
とよ田さんだって、一定量は毎月
描いてるでしょ?
とよ田
いまは連載の谷間ですが、
連載時は、ひと月に
36~40ページくらいは描きます。
でも、まんが家としては
少ないほうだと思いますよ。
糸井
ちゃんと「背景描くまんが」でね。
小山
すごい。
一同
(笑)
とよ田
週刊連載の人だと、月に
80ページくらい描きます。
小山
山本さんも連載を複数かかえて描いてるし、
simicoさんもすごいんですよね。
糸井
simicoさんは描いてますよ。
小山
なんですか、あのていねいな絵とか。

simico
私の場合、1週間の連載で
最低30コマって決まってるんです。
とよ田
コマ数で決まってるんですか?
simico
そうです。
とよ田
ウェブだから、
スクロールして下に流していく感じで
コマを割るんですよね?
simico
はい。でも、いつもほんとうに大変で、
なんとか30コマ以上にしています。
それで毎回ヒーヒー言ってるくらいだから、
いま80ページとか聞くと‥‥すごいなぁ。
とよ田
simicoさん、かわいい絵だし。
糸井
simicoさんの絵、
安定してるんだよね。
小山
すっごい安定してますね。
この絵にはだるいとかしんどいとか、
あるように思えないですね。
simico
いえいえ、毎週苦しみながらやってます。

糸井
ですから、小山さんもほんとうに
いっぱい描くようにしたらいいかもしれないよ。
小山
はい。がんばります。
まずはこの座談会が「ほぼ日」に載るのを
たのしみにしています。
あれ? 今日は写真を撮らないんですか?
ぼく、今日、美容室行ってきたんですけど。
糸井
小山さん、繊細だね。
だからTシャツがおもしろいのかもね(笑)。

とよ田
いやぁ、たのしかったです。
イトイさんとお話できるなんて
ほんとうに、学生の頃の俺に聞かせたいです。
糸井
えぇ?
とよ田
メッチャ震えてる、俺(笑)。
糸井
ほんとうか?!
山本
ほんとうですよ、みんな(笑)。
糸井
ありがとうございます。
ぼくもおもしろかった。
ありがとうございました。
とよ田
こちらこそありがとうございました。
糸井
山本さんは、小山さんのプロデュースを
してあげてください。
山本
あ、はい(笑)。
小山
相談するわ、後で(真顔)。
一同
(笑)

おわり

とよ田

simico

糸井

山本

小山

2015-10-13-TUE