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- 本日は、お集まりいだきまして
ありがとうございます。
初対面の方もいらっしゃると思いますので
かんたんに自己紹介をお願いいたします。
- 「最近の赤さん」というまんがを描いています、
とよ田みのるといいます。
どうぞよろしくお願いいたします。
- 「しみことトモヱ」を
ウェブまんがで描いてるsimicoと申します。
よろしくお願いします。
- 一同
- よろしくお願いします。
- 「岡崎に捧ぐ」という、
幼なじみとの話をまんがで描いてます、
山本さほです。よろしくお願いします。
- 「手足をのばしてパタパタする」
を描いてます、小山といいます。
よろしくお願いします。
- ええっと‥‥この座談会は、
ぼくが言いだしっぺなんで、
いきさつをお話しいたします。
ぼくは糸井重里と申します。よろしくお願いします。
- 一同
- (笑)
- ぼくはみなさんの描くもののファンで、
Twitterやらブログやら、
ほんとうによく見ています。
- てっきり、まわりのみんなもぼくと同じくらい
見てるんだろうなと思ったら、
あんがいばらつきがあって、
よく知っている人もいれば、知らない人もいました。
ぼくはみんなに
「あのあたりのまんがをどう説明すればいいのかな?」
と思って、それで浮かんできた言葉が
「私(し)まんが」です。
- しまんが。
- 私小説(ししょうせつ)という言葉がありますよね?
「わたくし」の身辺や考えを
書いていくのが私小説だとすると、まんがにも
そういうものがあるんじゃないでしょうか。
とよ田さんは、
「タケヲちゃん物怪録」など、
ストーリーのある長編まんがも
描いてらっしゃるけど。
- はい、出してます。
- どちらかといえば、まんがの中心になっているのは
そういう「架空のストーリーのある長編まんが」です。
でもこのところ、
ぼくが見ておもしろがってるのはみんな、
身のまわりのことを描いているまんがです。
それを編集者やプロデューサーのような人を通さずに
個人が出しちゃって、
なおかつお客さんがついています。
しかも、さがしてつくったネタではなく、
日常からじんわりにじみ出たまんがなんです。
この現象は「ネット以後」なんじゃないでしょうか。
そして、可能性としては、日本中の全員が
それをできるんじゃないのかな?
- そうですね。
- 絵の上手下手はまちまちなんですが、
まんがは「おもしろければいい」という時代に
なっちゃったかもしれないし。
自分のSNSメディアを中心に、
すでに読者をお持ちのみなさんが
どういうことを考えて、
どんなふうになろうとしてるのかな、と思いました。
「漠然としてていいので、
そういう人だけ集めて話をしたらどうだろうね」
と言ったことが、この座談会を開くきっかけです。
ですから、この座談会の、
話の落としどころはございません。
- 一同
- (笑)
- ひとつよろしくお願いいたします。
- よろしくお願いいたします。
- お願いします。
- ちょうど山本さんの
「岡崎に捧ぐ」が出版されたばかりですね。
- はい。
- 山本さんは、あれよあれよと言うまに
一般まんが家になっちゃった。
「一般まんが家」という言葉は、
とても変なんですけど(笑)、
で、まずぼくは、
とよ田さんにおうかがいしたいのです。
メジャーデビューした
「一般まんが家」として活躍しているかたわら、
なぜ、ご自分の家の話を
描こうと思われたんですか?
吉田戦車さんも、このところ、
ご自身の子どもさんのことを
描いていらっしゃいますが、
あのジャンルのものは、
描きはじめたくなっちゃうものなのでしょうか。
- まんがを描いてる人って、ついつい、
身のまわりに起きたおもしろいことを
まんがにしたくなるんじゃないかな、と思います。
あまりにもかわいくてかわいくて
しょうがなくて(笑)。
- はい(笑)。
- でも、「最近の赤さん」は、いわば、
自分の子どもがかわいいと自分が思っているという
勝手な自慢みたいなことだし、
読む人がうっとうしいかなと思って、
最初の1年間は我慢していたんです。
- 我慢してたんですか(笑)。
2015-09-29-TUE