清水 |
とにかく何でも、
現場に行かないとだめですよね。 |
糸井 |
ぼくも現場主義者ですからね。
巨人対中日の
130試合目で優勝が決まったあの試合、
ただただ現場に行きましたよ。 |
リリー |
オオッ、並んだんですか? |
清水 |
野球の話か・・・。 |
糸井 |
うん。
とにかく現場に行けば
なんとかなると思ってね。
見れたよ、ちゃんと。 |
リリー |
この前、
東京ドームの「ミスター最後の試合」が
あったじゃないですか。
おれ、あの日、結婚式に出てたんですけど、
もういてもたってもいられなくって。
途中で式場を逃げ出したんです。
「とりあえず東京ドームに行かなきゃ」
と思って。
ただそれだけの気持ちで。 |
清水 |
(笑)戻って来ーい。 |
リリー |
お金も持ってないくらいだったけど、
何でもいいからチケットを手に入れて
球場に入りたいと思って。
「チケットありますか?」
ってダフ屋さんに近づいていったら、
いままで聞いたことないようなことを
そのダフ屋さんが言うんですよ。
「・・・高いよ」って。 |
糸井 |
言わないよねふつう。
そうとう高いんだ。 |
清水 |
自嘲してるんだ(笑)。
いくらだったの? |
リリー |
外野席で6万円とか5万円とか。 |
糸井 |
(笑) |
リリー |
お金、ぜんぜん足りなくて。
それで結局、球場に入れなくて。
でも、どうしても
ミスターの近くにいたかったから、
東京ドームホテルに部屋をとって、
テレビで試合を見ることにしたんです。 |
清水 |
すごい発想だ。 |
リリー |
東京ドームホテルで、ミスターが
記者会見する予定だったからね。
「ここにいればエレベータとかで
ミスターに会うかもしれない!」
と、思ったりしたんですよ。 |
糸井 |
うん、うん(笑)。 |
リリー |
ずーっと部屋でテレビ見てたら、
そんな大切なゲームなのに、
なんだか球場にいる客のほうが
気になっちゃって(笑)。 |
清水 |
入れなかったからね。 |
リリー |
バックネット裏の席って、
だいたい年間で
300万も400万もする席なんですよ。
だけど、その、いちばん目立つ席に、
おじさんが愛人連れてきて座ってた(笑)。
それがいかにも、
ルール知らないような女なんです。 |
糸井 |
(笑) |
リリー |
なんかのたんびにその女は、
「あれなぁに?
ボールなのストライクなの?
あの人、打つの?」
って、ずっと聞いてるみたいな。 |
糸井 |
「イチローはいつでるの?」(笑)。 |
清水 |
・・・悲しい1日だったんだね。 |
糸井 |
ところでさぁ、
リリーさんの恋の話って
すごくおもしろいんだよー。 |
リリー |
糸井さんは覚えてると思うけど、
ぼくは、あるデパートで働いてた人を
好きになったことがあるんです。 |
糸井 |
うん! |
リリー |
糸井さんって、
人の恋愛話を聞くと、
むやみに盛り上げるのが好きなんですよ。
もう完全にその恋は終わってるって、
俺ですらわかっている時点でも
「終わりじゃない!」って
ひとりで決めつける(笑)。 |
清水 |
人の恋なのにねぇ。 |
リリー |
それで、
「デパートの、その子のいる
売り場に行って、気持ちを聞くよ」
って言うんですよ。 |
清水 |
糸井さんが? |
リリー |
そう。
しかも、天使の格好をして。
全身白のスパッツで、
羽根つけて行くって。
「いや、そんなことしたらまず、
売り場に着くまでに捕まりますよ」
と言って、とめたんだけど。 |
清水 |
アハハハハ! |
糸井 |
ぼくはくわしく知らないんだけど、
リリー・フランキーって、
絶えずふられているような、
そんな人なんだ。 |
リリー |
ハハハハハハ。 |
糸井 |
一年中、ふられてるんですよ。
なんか、熱帯雨林みたいにふられてるんです。
そして、それを語るんです。
なかにはとってもいい話があって、
これはもう、ほだされるんだよ。 |
清水 |
ほだされたいですね、ぜひ。
その女性、
いまも**にいらっしゃるんですか? |
リリー |
いまはあのぅ、
××に変わりましたけれど。 |
清水 |
ああ、知ってるんだね、行く末を。 |
リリー |
はい(笑)。
それで、糸井さんは、
その子が俺のことを
どういうふうに思ってるかを調べるために
**に勤めるすべての人に
アンケート用紙を配るって言ったんだよ。
しかも、自分でガリ版で刷るって(笑)。 |
清水 |
(笑)やめてくれよぉ、だよね。
・・・リリーさん、
いまも好きなの? その人のこと。 |
リリー |
もう、しばらく顔も見てないんですけど、
こういう話をするたんびに
せつなくなってしまうんですよね(笑)。 |
糸井 |
どうもよくわかんないけど、
絶えずそんなようなことを
考えてるらしいんですよ、この人は。
明るい仕事ばっかりしてるくせに。 |
リリー |
うん・・・じつは(笑)。
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