「第2回 気仙沼さんま寄席」への参加を
快く引き受けてくださった立川志の輔さんと、
「ことしはどうしましょう?」
という打ち合わせを「ほぼ日」で行いました。
その記録を、ここに残します。
   
糸井 ことしもよろしくお願いします。
志の輔 こちらこそ、よろしくお願いします。
糸井 きょうは志の輔さんに、
「さぁ、ことしはどうしましょう?」
というお話をご相談できればと思います。
志の輔 ええ、ええ。
糸井 まずは、
いまの時点で決まっていることを
うちの者からお伝えさせてください。
(ほぼ日の担当者に)お願いします。
ほぼ日 はい。
ことしの「気仙沼さんま寄席」も、
前回と同じ気仙沼市民会館の大ホールで開催します。
日程は9月29日の日曜日。
前回は寒い季節でしたが、今度は秋です。
さんまのおいしい季節を選びました。
せっかく港町に来ていただくのですから
おいしいさんまを食べてもらいたいと思いまして。
志の輔 去年と違って、それもいいですね。
ほぼ日 ちょうどタイミングよく気仙沼市のみなさんが
「市場で朝めし。」という企画を進めていたので、
それに便乗させてもらうことにしました。
日曜日の朝に、魚市場で、
炭火で焼いたおいしいさんまの朝ごはんを食べて、
おみやげなども買ったりしてから、
「さんま寄席」に向かう。
そういう流れを実現するために、
いま地元のみなさんと調整を進めています。
志の輔 そうですか、満腹で聴く落語会ですか(笑)。
ほぼ日 ツアーにつきましても、
様々なスタイルで参加していただけるプランを
用意したいと考えています。
あとは、さらに気仙沼を味わっていただくための
ちいさなワークショップを
いくつか開催できればと思っています。
志の輔 落語は、聴き笑いの時間ですが、
気仙沼を体験するという場所と時間も
用意してあるわけですね。
ほぼ日 はい。
志の輔 そうですか。
となると、当日の落語の演目、
今年もかなり吟味しないと‥‥
いや普段の落語会も吟味してますけど(笑)。
去年もそうでしたが、やはり特別な会ですからね。
糸井 そうですね。
でもじつは、「2ステージやる」ということは
もう先に決まっています。
志の輔 そうなんですよね。
ほぼ日 しかもそれは、志の輔さんからのリクエストでした。
どうして2ステージと思ったのか、
その理由をあらためてうかがえますでしょうか。
志の輔 理由はですね、去年のイベントは糸井さんが、
「これは慰問じゃないんですよ、
 気仙沼のみなさんがさんま代を稼ぐ落語会なんだよ」
という趣旨の提案をしましたよね。
で、それに沿った、とてもいいかたちの
落語イベントになったと思いました。
ただ、ひとつだけ心残りがあったんですよ。
会場やロビーで、準備から接客、後片付けにいたるまで
一生懸命働いていた気仙沼の方々や、
イベント終了後、地元の方々が返礼にと、
太鼓や踊りの披露してくれた、
その人たちや準備をしていた人たち、
この人たちは落語を聴けなかったんだなあ、と。
糸井 はい。
志の輔 あの日、自分の噺が終わったぼくは、
「ちょっといいことができたかもな」
くらいのつもりでいたんですよ。
ところが、そのあとの打ち上げで、
太鼓を叩く地元の子どもたちを見て、
こっちが泣いちゃった。
▲前回の「気仙沼さんま寄席」、打ち上げ会場の様子。
糸井 あの時間は不思議でした。
志の輔さんが、観客でしたものね(笑)。
志の輔 ほんと、感動しました。
で、太鼓を叩いてるその子たちは
落語を観てないわけです。
うーーん‥‥これはどうしたもんだろう‥‥
という心残りがあったので、
ことしは地元のスタッフの人たちにも
たのしんでいただきたい、と。
糸井 それで、気仙沼のみなさんのために
1日はやく会場に入って、
もう1ステージやってくださることになった。
志の輔 地元の方々に向けて、ですね。
糸井 志の輔さん、
ぼくはその1ステージを、
気仙沼の人たちだけじゃなくて、
「東北6県のみなさん限定」にしたいと思うんです。
志の輔 ‥‥ほぉ、限定、というか、
東北ぜんたいということですか‥‥。
糸井 そうです。
なんて言いますか‥‥
東北の人たち同士は、
そんなに会わない印象が、ぼくにはあるんですよ。
東北6県それぞれに距離もありますしね。
たとえば別々の被災地の人たち同士が会うことって
あんまりないと思うんです。
そのことが、ぼくはすこし残念なんです。
だから「会いましょう」っていうテーマで、
今回のイベントを進めてみたい、と。
志の輔 「会いましょう」‥‥いい言葉ですね。
糸井 東北のお客さんがどれだけ集まるかはわかりません。
もしかしたら空席がでるかもしれない。
でもそれを覚悟してでも、
「会いましょう」というテーマでやってみたい。
客席がみんな東北人になるっていうのは、
なんだかたのしそうですよね。
女川とか石巻とか福島とか、
日本海側の、秋田と山形の人までやってきて、
「ああ、久慈市からいらっしゃったんですか」
というようなことが事実として起きれば、
「気仙沼でやってたああいうの、うちでもやろうよ」
と誰かが言いだしたりして、
またなにかが芽吹くかもしれないじゃないですか。
志の輔 ‥‥なるほど。
テーマが「会いましょう」と決まれば、
落語会の内容も考えやすくなりますね。
前日は、東北の方々だけということで、
全国からの方々とは、混ざらない‥‥。
糸井 そうです。混ざりません。
志の輔 あとひとつ質問は、料金がちがいますね?
ほぼ日 はい。
日曜日の「気仙沼さんま寄席」が6300円で、
土曜日の東北のお客さん限定公演は3150円です。
志の輔 わーーー、倍ほどのちがいがありますね。
そうなんですか。
‥‥となると、
それぞれの特徴をどう出せるかということですね。
ふたつの落語会に‥‥
糸井 それは、志の輔さんがたいへんになりますよね。
つまり2種類のセットを用意するわけですから。
志の輔 たいへんではありますが‥‥
料金もお客さんもちがうんですから、
どう考えても、中身も違うのが当然ですよね。
‥‥安い方をてきとうにやるとか、
そういうことじゃないですよ(笑)。
糸井 ええ(笑)。
志の輔 東北の人たちが集まる前夜の落語会では、
もうほんとうに思いっきり笑ってもらえる
たのしい出し物を中心に構成しましょうかね。
それこそあの、
太鼓の子たちもたのしめそうなものを。
糸井 いいですねぇ。
志の輔 で、全国から、より遠方からのお客さんが集まる
「気仙沼さんま寄席」の方では、思い切って
『●●●●●』をやってみましょうか。
(※当日のおたのしみのため伏字にしました)
糸井 ‥‥‥‥‥ああ‥‥。
志の輔 「わざわざここまで落語を聴きに来てよかった」と、
「これに参加してよかった」と、
そう思ってもらえるものを
選んでみたいと、心底おもってるので。
糸井 そうですか、それをやられますか‥‥。
なるほど‥‥。
もう、その演目を聞けただけでうれしいです。
志の輔 ですから、両日の2ステージは、
かなり趣がちがうものになりそうですね。
糸井 もちろん、どちらもおもしろい。
志の輔 もちろん、だと思いますよ(笑)。
当日、どんな観客層がにもよりますが、
とにかく、できるかぎり、
にぎにぎしくなればいいなぁと思います。
糸井 そうですね、にぎにぎしく。
志の輔 とにかく、自分にできる最高のおもてなしを
させていただこうと思いますよ。
多くの方のご参加をお待ちしてます。
糸井 ありがとうございます。
もう、「たのしみです」としか言えません(笑)。
志の輔 わたしも、まるで本人のことのように、
たのしみです(笑)。
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