第3回となる「気仙沼さんま寄席」。
今回も参加をご快諾くださった立川志の輔さんと、
公演についての打ち合わせを行いました。
「志の輔らくごin PARCO 2015」の楽屋にお邪魔して。
志の輔
昨日、観に来てくれたんですよ、
サンドウィッチマンの、伊達さんと富澤さん。
糸井
そうでしたか。
いいでしょう、あのおふたり。
志の輔
いやぁ、いいですねぇ、ほんとうにね。
糸井
東北の活動もずっと続けてますからね。
志の輔
そうやって忙しいなかで、
よくあのセリフを覚えるなと思ったんですけど、
彼ら、舞台もやってるんですよ。
伊達政宗とスペイン人宣教師の物語で、
ふたりで2時間くらいの舞台を。
仙台の復興も兼ねた公演ですよね。
いやぁ、あのセリフを覚えて、
さらに笑いも取るっていうのは、すごい。
NHKのBSで放送したんですよ。

※連作コント&ピアノ『サムライ宣教師クルーズ』
 2014年10月~11月に、
 宮城県仙台市「若林区文化センター」、
 東京「草月ホール」で上演。
糸井
そうですか、それは観たいな。
志の輔
ええと‥‥サンドウィッチマンのおふたりは、
そもそもなぜ糸井さんたちといっしょに?
糸井
気仙沼つながりで知り合ったんです。
志の輔
あ、そうかそうか、なるほど。
ふたりはたまたま気仙沼にいて、
被災したんですよね。
それはまあ、有名な話で。
糸井
ええ。それで一度、お話する機会もあって。
志の輔
そうしたご縁で、さんま寄席にも。
なるほど。

……とりあえず糸井さん、
この三度目には、どういう構想が?
糸井
構想はですね、
1年目はわかりやすかったんです。
志の輔
あれはすばらしかったです。
「慰問じゃない。
 地元の人がはたらく公演にしよう」という。
▲2012年3月25日「第1回気仙沼さんま寄席」での記念撮影
糸井
震災からまだ1年であれができたのは、
みんなの自信になったと思います。
で、2年目には「市場で朝めし。」ができました。
志の輔
あれも感動しました。
地元の人たちがあんなにたくさん集まって。
あれだけのさんまを食べて、
で、港がみごとに復活しているっていう景色。
すごかったですね。
▲2013年9月29日「市場で朝めし。」会場にて
糸井
餅をまきました(笑)。
志の輔
まきましたね、餅(笑)。
糸井
それが2013年の秋でした。
さんまがおいしい時期にやったのがよかったので
2014年も秋にやろうと思ったら、
なんと「気仙沼市民会館」が改築工事に。
志の輔
そうそう、そうでした。
で? いまは工事は終わった。
糸井
はい、もう借りることができます。
だったらもう、秋にこだわらないで、
三度目はつつじが見頃な5月にやろうと。
ツリーハウスもたのしんでもらえますから。
志の輔
いいですねぇ、ツリーハウス。
糸井
いい催しになると思うんですが、
テーマといいますか、
「なぜ集まるの?」っていうのが
4年経つとやっぱり見えにくくなるんです。
志の輔
ええ、そうかもしれませんね。
糸井
ですから、ここはもう素直に、
「互いに会えてありがとう」を言おうと。
ぼくらからすれば「また行けてありがとう」、
地元の人は「来てくれてありがとう」、
志の輔さんに会えて「ありがとう」、
サンドウィッチマンに会えて「ありがとう」。
お互いですよね。
だからテーマは、
「ようこそ、ありがとう」。
もう、どっちが主催者だかわからない、
一緒になっての舞台をやりたい。
志の輔
いいですね、「ようこそ、ありがとう」。
地元の人も一緒にっていうのは、
1回目と同じテーマに思えます。
糸井
その感じは続いてますよね。
震災から始まったものとして、
永遠にとはいわないけれど
この催しはもうすこし続けたいなぁ、と。
志の輔
震災から4年で、3回目。
糸井
そう。4年で、3回目です。
志の輔
(ほぼ日乗組員に)
今回も、いろんなコースがあるんですか?
ヒラメとかサメとか、魚の名前がついた
宿泊コースみたいなのがありましたよね?
ほぼ日
はい。ツアーはご用意します。
志の輔
たのしいですからね。
お客様が都合に合わせてコースを選べるし。

で? 公演自体はいつやるんでしょう。
週末ですよね?
ほぼ日
土曜日に公演をと考えています。
15時半くらいに開演で。
志の輔
午後3時半から公演があって、
そのあと、まあ7時ころからご飯を食べて、
ホテルでゆっくりしていただいて、
翌日の日曜日は朝から気仙沼観光に。
‥‥ああ、いいですね。
それと、
前回もあった、いろんな教室みたいな、
ああいうのは今回もあるんですか。
ほぼ日
はい。
ワークショップなどで
気仙沼の人と話せる場所が作れたらいいなと。
▲2013年9月29日「ばっぱの台所」でのワークショップ
志の輔
おいしい食べものは、
さんまは季節じゃないから‥‥
糸井
初鰹が食べられるのかな?
ほぼ日
初鰹、たぶんいけると思うんです、時期的には。
志の輔
鰹がなくても、何かしら海の幸はありますから、
うれしいですよね。
糸井
ええ。それはもう。
志の輔
ツリーハウスは?
私まだ見てないからわかりませんけど、
今度行ったら見られるんですか。
糸井
見られます。
やっぱり現場に行くといいんですよ。
写真で見るのとぜんぜん違って、
ムードがあるんです。
ちょうどつつじがきれいな時期なので、
それも見てもらったりして。
▲つつじの季節の徳仙丈ツリーハウス
志の輔
あの、セーターの会社も?
実物が見られたり。
糸井
「気仙沼ニッティング」ですね。
もちろん見られます。
志の輔
もう会社として、立ち上がったんですか。
糸井
立ち上がってて、黒字になったんですよ。
志の輔
うわぁ、すごい。
糸井
「メモリーズ」という場所が、
海の見える丘の上にできたんです。
気仙沼ニッティングのお店として。
志の輔
いやぁ、ほんとうによく、
いろいろなことが
終わらずに続いていると思います。
すばらしい。
「気仙沼さんま寄席」も、
まあね、会館のリニューアルということもあって、
すこし間があいちゃいましたけど、
でも続いている。
糸井
きついですよね、続けるのは。
志の輔
もう、
やめないということだけですごいことです。
糸井
ああ‥‥そうかもしれません。
志の輔
いや、ほんとうに。
糸井
終わるものは、どんどん終わってますから。
志の輔
いや、そりゃそうですよ。
糸井
終わりますね。
志の輔
終わらせないで、消さないで、
もう1回やるっていうのはすごいことだなと。
糸井
それはやっぱり、地元の人もぼくらも
「やりたい」んですよね。
志の輔
続けるっていうことでいうと、
「目黒のさんま祭」
あれは、すごい。
糸井
ああー。
あれは、ものすごい(笑)。
志の輔
見てるとね、
「ああ、この人たちはやめないんだ」って。
糸井
やめない感じが、
びりびり伝わってきますよね。
ほぼ日
ことしで20回目だそうです。
志の輔
すごいですねぇ‥‥。
被災してしまった方々のほうが
逆になんか気合いが入ってる。
「俺たちは負けないぞ」っていう。
やめるどころか
毎回ますます気合いが入ってくるのを見ると、
いやいや、すごい人たちだなぁと。
あらためて思いますよねぇ。
糸井
さんまを焼くことのたいへんさを
ぼくらは知ってますからね。
志の輔
よーく知ってます!(笑)
糸井
煙と熱で、もう!(笑)
涙がぼろぼろとまらないんですから。
ウミガメの産卵みたいに。
志の輔
ついた匂いがとれやしない!
はじめて焼かせてもらったときは
そんなつもりじゃなかったんで
白いポロシャツかなんか着ていっちゃって。
もう、アウトですよ。
洗濯したってどうにもならない。
糸井
あの煙には油が入ってますから、油がね。
志の輔
あれは、つらいわぁ。
これだけ世の中進んでるのに、
ラクに焼く方法はないんですかね? あれは。
糸井
ほんとに(笑)。
でもラクじゃないからおいしいんでしょうね。
志の輔
そうかぁ、たしかにそうですねぇ。
動画撮影協力/中村裕(映像ディレクター)
糸井
気仙沼のさんま焼き隊の人たちは、
徹夜のバスで来て、
焼きまくって、風呂入って帰るんです。
しかも各自、参加費をはらって!
志の輔
どうなってるんですかね、あの人たちね。
糸井
すばらしすぎる(笑)。
志の輔
焼いてる自分たちがラクになることを考えずに、
並んでる人たちが
疲れない方法を考えたりするんだものね。
あれは‥‥すごいな。
ほんとすごいわ。
何かしてあげられないでしょうかねぇ。
帰りにディズニーランドに寄ってもらうとか。
糸井
それよりも、早く家に帰りたいと思う(笑)。
志の輔
いやー、あれを見たらやっぱりね、
わたしが気仙沼に行くくらい
何でもないと思いますよ。
糸井
気仙沼で聴く志の輔さんの噺が、
また格別なんです。
あれも、参加した人にしかわからない。
糸井
あと、この催しをやっててうれしいのは、
みんなが落語を知ったんですよ。
落語って面白いねっていう人が増えたんです。
志の輔
ありがたいことで、ほんとうに。
落語は、いちばんしんどい芸能なんですよ。
だって、ただ見てるだけじゃ
笑えないじゃないですか、落語は。
バナナの皮で滑ってるわけじゃないんですから、
お客さんが考えなきゃならない。
もう大変です。
でも、何でしょう、
やっぱり自分の力で笑うという。
帰るときに「自分の力で笑った」
というよろこびがあるんですよね、落語ってね。
糸井
自力なんだ。
志の輔
自力です。
こんなに長い間やってて、
最近それに気が付いちゃダメなんですけど。
なんか最近、
自分の力で笑うというのと、
笑わされたっていうのは違うなぁと。
糸井
観る人も働くんですね。
志の輔
そうそう、お金をはらってるのにね(笑)。
でもそこが、
他の芸能と違うところだと思うんです。

今回はそんな落語に、
サンドウィッチマンという
また違う種類の笑いが一緒になるので、
それが楽しみでね。
笑いの幅が広がった会になったら、
すごくいいなと思いますし。
糸井
サンドウィッチマンは品質がいいですからね。
志の輔
それはもう。
好みもありますけど、
やっぱり彼らの品質はかなりだと思います。
糸井
面白いでしょ? って言いたいですからね。
志の輔
ほんとですよ。
こうしてご一緒できる縁、
やっぱり続けてきたからですよね。
だからまた、ひょっとすると、
次に何かが加わったり。
糸井
また何かが。
志の輔
わからないですけどね、
お笑いじゃないジャンルの人が
ステージに加わったりして。
糸井
いいですね、あるかもしれない。
志の輔
ねえ。
糸井
「何ではじめたのか」がわかりやすいことって、
はっきりとしたやりがいがありますよね。
▲公演後、ツアーのお客様を全力で見送るスタッフたち
志の輔
いや、ほんとそう。
そう思います。
糸井
どうやら、三度目も面白くなりそうですね。
志の輔
あとは、舞台の構成とか、順番とか。
まあ、そういうのはまたいくらでも、
電話でもメールでも何でも。
糸井
引き続き相談しましょう。
きょうはお疲れのところありがとうございました。
志の輔
こちらこそ、ありがとうございました。
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