- 志の輔
- 昨日、観に来てくれたんですよ、
サンドウィッチマンの、伊達さんと富澤さん。
- 糸井
- そうでしたか。
いいでしょう、あのおふたり。
- 志の輔
- いやぁ、いいですねぇ、ほんとうにね。
- 糸井
- 東北の活動もずっと続けてますからね。
- 志の輔
- そうやって忙しいなかで、
よくあのセリフを覚えるなと思ったんですけど、
彼ら、舞台もやってるんですよ。
伊達政宗とスペイン人宣教師の物語で、
ふたりで2時間くらいの舞台を。
仙台の復興も兼ねた公演ですよね。
いやぁ、あのセリフを覚えて、
さらに笑いも取るっていうのは、すごい。
NHKのBSで放送したんですよ。
※連作コント&ピアノ『サムライ宣教師クルーズ』
2014年10月~11月に、
宮城県仙台市「若林区文化センター」、
東京「草月ホール」で上演。
- 糸井
- そうですか、それは観たいな。
- 志の輔
- ええと‥‥サンドウィッチマンのおふたりは、
そもそもなぜ糸井さんたちといっしょに?
- 糸井
- 気仙沼つながりで知り合ったんです。
- 志の輔
- あ、そうかそうか、なるほど。
ふたりはたまたま気仙沼にいて、
被災したんですよね。
それはまあ、有名な話で。
- 糸井
- ええ。それで一度、お話する機会もあって。
- 志の輔
- そうしたご縁で、さんま寄席にも。
なるほど。
……とりあえず糸井さん、
この三度目には、どういう構想が?
- 糸井
- 構想はですね、
1年目はわかりやすかったんです。
- 志の輔
- あれはすばらしかったです。
「慰問じゃない。
地元の人がはたらく公演にしよう」という。
▲2012年3月25日「第1回気仙沼さんま寄席」での記念撮影
- 糸井
- 震災からまだ1年であれができたのは、
みんなの自信になったと思います。
で、2年目には「市場で朝めし。」ができました。
- 志の輔
- あれも感動しました。
地元の人たちがあんなにたくさん集まって。
あれだけのさんまを食べて、
で、港がみごとに復活しているっていう景色。
すごかったですね。
▲2013年9月29日「市場で朝めし。」会場にて
- 糸井
- 餅をまきました(笑)。
- 志の輔
- まきましたね、餅(笑)。
- 糸井
- それが2013年の秋でした。
さんまがおいしい時期にやったのがよかったので
2014年も秋にやろうと思ったら、
なんと「気仙沼市民会館」が改築工事に。
- 志の輔
- そうそう、そうでした。
で? いまは工事は終わった。
- 糸井
- はい、もう借りることができます。
だったらもう、秋にこだわらないで、
三度目はつつじが見頃な5月にやろうと。
ツリーハウスもたのしんでもらえますから。
- 志の輔
- いいですねぇ、ツリーハウス。
- 糸井
- いい催しになると思うんですが、
テーマといいますか、
「なぜ集まるの?」っていうのが
4年経つとやっぱり見えにくくなるんです。
- 志の輔
- ええ、そうかもしれませんね。
- 糸井
- ですから、ここはもう素直に、
「互いに会えてありがとう」を言おうと。
ぼくらからすれば「また行けてありがとう」、
地元の人は「来てくれてありがとう」、
志の輔さんに会えて「ありがとう」、
サンドウィッチマンに会えて「ありがとう」。
お互いですよね。
だからテーマは、
「ようこそ、ありがとう」。
もう、どっちが主催者だかわからない、
一緒になっての舞台をやりたい。
- 志の輔
- いいですね、「ようこそ、ありがとう」。
地元の人も一緒にっていうのは、
1回目と同じテーマに思えます。
- 糸井
- その感じは続いてますよね。
震災から始まったものとして、
永遠にとはいわないけれど
この催しはもうすこし続けたいなぁ、と。
- 志の輔
- 震災から4年で、3回目。
- 糸井
- そう。4年で、3回目です。
- 志の輔
- (ほぼ日乗組員に)
今回も、いろんなコースがあるんですか?
ヒラメとかサメとか、魚の名前がついた
宿泊コースみたいなのがありましたよね?
- ほぼ日
- はい。ツアーはご用意します。
- 志の輔
- たのしいですからね。
お客様が都合に合わせてコースを選べるし。
で? 公演自体はいつやるんでしょう。
週末ですよね?
- ほぼ日
- 土曜日に公演をと考えています。
15時半くらいに開演で。
- 志の輔
- 午後3時半から公演があって、
そのあと、まあ7時ころからご飯を食べて、
ホテルでゆっくりしていただいて、
翌日の日曜日は朝から気仙沼観光に。
‥‥ああ、いいですね。
それと、
前回もあった、いろんな教室みたいな、
ああいうのは今回もあるんですか。
- ほぼ日
- はい。
ワークショップなどで
気仙沼の人と話せる場所が作れたらいいなと。
▲2013年9月29日「ばっぱの台所」でのワークショップ
- 志の輔
- おいしい食べものは、
さんまは季節じゃないから‥‥
- 糸井
- 初鰹が食べられるのかな?
- ほぼ日
- 初鰹、たぶんいけると思うんです、時期的には。
- 志の輔
- 鰹がなくても、何かしら海の幸はありますから、
うれしいですよね。
- 糸井
- ええ。それはもう。
- 志の輔
- ツリーハウスは?
私まだ見てないからわかりませんけど、
今度行ったら見られるんですか。
- 糸井
- 見られます。
やっぱり現場に行くといいんですよ。
写真で見るのとぜんぜん違って、
ムードがあるんです。
ちょうどつつじがきれいな時期なので、
それも見てもらったりして。
▲つつじの季節の徳仙丈ツリーハウス
- 志の輔
- あの、セーターの会社も?
実物が見られたり。
- 糸井
- 「気仙沼ニッティング」ですね。
もちろん見られます。
- 志の輔
- もう会社として、立ち上がったんですか。
- 糸井
- 立ち上がってて、黒字になったんですよ。
- 志の輔
- うわぁ、すごい。
- 糸井
- 「メモリーズ」という場所が、
海の見える丘の上にできたんです。
気仙沼ニッティングのお店として。
- 志の輔
- いやぁ、ほんとうによく、
いろいろなことが
終わらずに続いていると思います。
すばらしい。
「気仙沼さんま寄席」も、
まあね、会館のリニューアルということもあって、
すこし間があいちゃいましたけど、
でも続いている。
- 糸井
- きついですよね、続けるのは。
- 志の輔
- もう、
やめないということだけですごいことです。
- 糸井
- ああ‥‥そうかもしれません。
- 志の輔
- いや、ほんとうに。
- 糸井
- 終わるものは、どんどん終わってますから。
- 志の輔
- いや、そりゃそうですよ。
- 糸井
- 終わりますね。
- 志の輔
- 終わらせないで、消さないで、
もう1回やるっていうのはすごいことだなと。
- 糸井
- それはやっぱり、地元の人もぼくらも
「やりたい」んですよね。
- 志の輔
- 続けるっていうことでいうと、
「目黒のさんま祭」。
あれは、すごい。
- 糸井
- ああー。
あれは、ものすごい(笑)。
- 志の輔
- 見てるとね、
「ああ、この人たちはやめないんだ」って。
- 糸井
- やめない感じが、
びりびり伝わってきますよね。
- ほぼ日
- ことしで20回目だそうです。
- 志の輔
- すごいですねぇ‥‥。
被災してしまった方々のほうが
逆になんか気合いが入ってる。
「俺たちは負けないぞ」っていう。
やめるどころか
毎回ますます気合いが入ってくるのを見ると、
いやいや、すごい人たちだなぁと。
あらためて思いますよねぇ。
- 糸井
- さんまを焼くことのたいへんさを
ぼくらは知ってますからね。
- 志の輔
- よーく知ってます!(笑)
- 糸井
- 煙と熱で、もう!(笑)
涙がぼろぼろとまらないんですから。
ウミガメの産卵みたいに。
- 志の輔
- ついた匂いがとれやしない!
はじめて焼かせてもらったときは
そんなつもりじゃなかったんで
白いポロシャツかなんか着ていっちゃって。
もう、アウトですよ。
洗濯したってどうにもならない。
- 糸井
- あの煙には油が入ってますから、油がね。
- 志の輔
- あれは、つらいわぁ。
これだけ世の中進んでるのに、
ラクに焼く方法はないんですかね? あれは。
- 糸井
- ほんとに(笑)。
でもラクじゃないからおいしいんでしょうね。
- 志の輔
- そうかぁ、たしかにそうですねぇ。
動画撮影協力/中村裕(映像ディレクター)
- 糸井
- 気仙沼のさんま焼き隊の人たちは、
徹夜のバスで来て、
焼きまくって、風呂入って帰るんです。
しかも各自、参加費をはらって!
- 志の輔
- どうなってるんですかね、あの人たちね。
- 糸井
- すばらしすぎる(笑)。
- 志の輔
- 焼いてる自分たちがラクになることを考えずに、
並んでる人たちが
疲れない方法を考えたりするんだものね。
あれは‥‥すごいな。
ほんとすごいわ。
何かしてあげられないでしょうかねぇ。
帰りにディズニーランドに寄ってもらうとか。
- 糸井
- それよりも、早く家に帰りたいと思う(笑)。
- 志の輔
- いやー、あれを見たらやっぱりね、
わたしが気仙沼に行くくらい
何でもないと思いますよ。
- 糸井
- 気仙沼で聴く志の輔さんの噺が、
また格別なんです。
あれも、参加した人にしかわからない。
- 糸井
- あと、この催しをやっててうれしいのは、
みんなが落語を知ったんですよ。
落語って面白いねっていう人が増えたんです。
- 志の輔
- ありがたいことで、ほんとうに。
落語は、いちばんしんどい芸能なんですよ。
だって、ただ見てるだけじゃ
笑えないじゃないですか、落語は。
バナナの皮で滑ってるわけじゃないんですから、
お客さんが考えなきゃならない。
もう大変です。
でも、何でしょう、
やっぱり自分の力で笑うという。
帰るときに「自分の力で笑った」
というよろこびがあるんですよね、落語ってね。
- 糸井
- 自力なんだ。
- 志の輔
- 自力です。
こんなに長い間やってて、
最近それに気が付いちゃダメなんですけど。
なんか最近、
自分の力で笑うというのと、
笑わされたっていうのは違うなぁと。
- 糸井
- 観る人も働くんですね。
- 志の輔
- そうそう、お金をはらってるのにね(笑)。
でもそこが、
他の芸能と違うところだと思うんです。
今回はそんな落語に、
サンドウィッチマンという
また違う種類の笑いが一緒になるので、
それが楽しみでね。
笑いの幅が広がった会になったら、
すごくいいなと思いますし。
- 糸井
- サンドウィッチマンは品質がいいですからね。
- 志の輔
- それはもう。
好みもありますけど、
やっぱり彼らの品質はかなりだと思います。
- 糸井
- 面白いでしょ? って言いたいですからね。
- 志の輔
- ほんとですよ。
こうしてご一緒できる縁、
やっぱり続けてきたからですよね。
だからまた、ひょっとすると、
次に何かが加わったり。
- 糸井
- また何かが。
- 志の輔
- わからないですけどね、
お笑いじゃないジャンルの人が
ステージに加わったりして。
- 糸井
- いいですね、あるかもしれない。
- 志の輔
- ねえ。
- 糸井
- 「何ではじめたのか」がわかりやすいことって、
はっきりとしたやりがいがありますよね。
▲公演後、ツアーのお客様を全力で見送るスタッフたち
- 志の輔
- いや、ほんとそう。
そう思います。
- 糸井
- どうやら、三度目も面白くなりそうですね。
- 志の輔
- あとは、舞台の構成とか、順番とか。
まあ、そういうのはまたいくらでも、
電話でもメールでも何でも。
- 糸井
- 引き続き相談しましょう。
きょうはお疲れのところありがとうございました。
- 志の輔
- こちらこそ、ありがとうございました。