谷川俊太郎さんの答え  寂しさは人間が生きていく上で 避けることのできない、基本的感情のひとつだと ぼくは思います。 どうして寂しいのか、 何がこの寂しさの原因かと 人は考えますが、 自分が生きているということそのものが 寂しさの原因なのです。 楽しいときは忘れているし、 寂しさを紛らわす方法を 人間は沢山発明していますが、 独りで世界と、 宇宙と向き合うとき、 寂しさを感じるのは自然な成り行きです。 それをみつめることで、 哲学者や文学者や宗教者たちは 人間とはなにかを考えてきました。 人は不死ではないという現実が、 寂しさの原因だとも思えますが、 もしあなたもそう感じているのなら、 死後の世界に どんな形であれ、親しむ方法を 考えるほうがいいと思います。 質問 十一  九歳の時に父親が亡くなって、 それからずーっと寂しくて、 もう、自分が三十六歳になり、 二児の母親になっても どこか寂しいままです。 この寂しさは、いったいなんなんでしょう?  (ままま 三十六歳) 読者のみなさんからいただいた質問に、 詩人の谷川俊太郎さんから 答えが届きました。 「春休み」の期間中、全11回、連載します。 平日毎日ひとつずつ おたのしみください。