『はじめての落語。』瓦版。
春風亭昇太さんのCDブック発売
落語ブーム到来宣言!
落語ドラマ『タイガー&ドラゴン』のみどころは?


落語ブーム、確実に来てます。
来ている、ような、気がします。
ほぼにちわ。アロハ・トミタでっす。
なんだか、ほんとうに最近
「落語」という言葉をよく目にします。
よく目にしませんか?
わたしの目が落語に向いているから?

少なくとも最近の「ほぼ日」は
ちょっとした「落語」ブームです。
昨日からはじまった、
「お昼の落語パラダイス」
はご覧いただけましたでしょうか?
高田文夫さん、春風亭昇太さん、糸井darling重里の
おしゃべりが文字と音声でお楽しみいただけますよー。

そして、ご紹介し続けているCDブック、
「はじめての落語。」も大好評!
先日は、朝日新聞で
「『必ず笑える』CDブック」
として紹介されました!
いやっほう!



というわけで、ますます
落語づいているわたしですが、
「これは、いよいよ、落語ブーム到来?」
と確信できる情報をつかみましたよ。
もう、とっくにみなさん、ご存じかもしれませんね。
そう! 本日より、
宮藤官九郎さん脚本の落語をモチーフとしたドラマ
『タイガー&ドラゴン』がはじまるのです!
そして、我らが師匠、
春風亭昇太さんも堂々のレギュラー出演、でっす!

落語の演目が実際のストーリーと連動して
くり広げられるというこのドラマ、
出演者も超豪華。
長瀬智也さん、岡田准一さん、西田敏行さん、
伊東美咲さん、笑福亭鶴瓶さん、阿部サダヲさん、
などなど、蒼々たる顔ぶれ。
第一話の放送は
本日、4月15日22時からです。(TBS系列)
ってことで、ぼやぼやしてられません。
一番弟子、林家亭どん吉役
かつ落語監修という大役を担っている
昇太さんに収録現場で
ドラマの様子を語っていただきました。

 あのね、すごい現場が楽しいんですよ。
 もうすぐ収録としては終わってしまうんですけど、
 なんか終わったら困るなぁって。
 その感じが画面上でも出ているので、
 そんなところを難しいことを考えず
 見てほしいな。
 今まで「落語家」が出てくるドラマって
 人情論みたいなものとか夫婦の情愛を描いたモノが
 ほとんどだったの。
 なんか旦那が博打してたり、
 酒ばっかりのんでたり、奥さんが堪えるとかね。
 要するに『浪花恋しぐれ』みたいな。
 あの世界ばっかりだったんですよ。
 『タイガー&ドラゴン』はカラっとしていて、
 ポップな感じ。




お正月に放送をされたスペシャルの続きということですが、
オープニングテーマがクレイジー・ケン・バンドですからねー。
「オレのはなしをきけーー!」って。
演歌とはほど遠そうです。
昇太さんはどのように関わっているかというと‥‥。

 このドラマでは
 いままでにチャレンジをしたことがない
 「落語家」という役を与えられてます(笑)。

  【編集部註】ほんとうは以前も
  『はぐれ刑事純情派』で落語家役を
  演じたことがあるそうです。
  師匠が殺人犯であたふたするお弟子さんだったとか‥‥。


 西田敏行さん演じる林家亭どん兵衛師匠のもと、
 一門のみなさんとご飯を食べたり
 道をぶらぶら歩いたり‥‥、
 ところどころで見せる自然な演技を見てください(笑)。
 ぼくが演じる林家亭どん吉は
 わりとまじめで正当派なので、
 ぼくとは正反対な落語家かな。
 出てくる落語家の中では一番まともだし、
 奥手だし、古典落語を一生懸命やっているんです。
 あっ、第六話は絶対見て!

  【編集部註】5月20日放送予定です。
 
 ぼくがある大物女優と‥‥
 生まれてはじめて‥‥
 もっと言いたいけど詳しくは、見てのお楽しみ!
 とにかく他の回は見逃しても、
 六話だけは見逃すな!

 六話を見逃すとねー、
 ほとんどぼく見つけられないかも(笑)。


TBSのご担当にうかがったところ、
そんなことないようですよ。
でも放送中は集中して
昇太さんの登場シーンを見逃さないようにしないと!

 ぼくは、自分の出番以外のところでも
 落語監修で、スタジオに来たりしているんです。
 ドラマは一回ずつが古典落語の演目にひっかけて
 一話完結でストーリーが展開しているんですね。
 自分でやったことがない噺もあって、
 実際どうやっているのかなって
 事前にビデオをみたりなんかして、
 否応なしに勉強させられました(笑)。
 西田さんや長瀬くんが演じる落語の最中に
 まちがいがあるといけないので
 その確認をしたり、相談に乗ったりしています。
 具体的に、
 「落語はこういうふうにしてください」
 っていうのはあんまり言ってないの。
 たとえば長瀬くんは、
 「虎児(長瀬さんの役名)だったら
  こういうふうに落語をやるだろう」
 っていうことを演じているので、
 自由にやってもらって
 極端なまちがいがないようにぼくがいると。
 ドラマの役の中の落語なので、
 なんか「落語はこういうもんだ」って言っても
 しょうがないし、
 『タイガー&ドラゴン』の中の
 「落語」であればいいなと思って。




お正月に放送された『タイガー&ドラゴン』のスペシャルを
見ていると、
西田さんは本物の噺家さんみたいでしたし、
長瀬さんの落語を演じるシーンも
勢いがありました。
自由に演じている後ろで
昇太師匠が見守っているんですね。

 長瀬くんが演じる虎児が 
 落語の知識がまったくない役なんです。
 ぼくは落語を仕事にしているので
 「これは基本だろう」ってことが
 はじめて落語を見た人からすると
 なんか違っていたり、
 こんな風に見られているんだなってことが
 出てきて新鮮ですね。
 たとえば『粗忽長屋』という話がテーマの回では
 「意味がわかんない」って言われるんです。
 確かにそうなんだよ。
 内容が飛びすぎているからさ。
 それが落語のおもしろいところなんだけどね。
 脚本を書いている宮藤くんが
 落語をほんとうに好きなんだろうね。
 「落語の矛盾する点」と
 「落語はこういうものですよ」というのを
 うまい具合に説明しているんですよ。


どうやら「古典落語」のもとの噺を知らないでも
すんなりとドラマを楽しめそうです。

 まわり落語家の評判はすごくよくって。
 みんなが一番驚いていたのは劇場のセット。



 もうすごくよくできていて、
 「昇太、あれ終わったらどうなるのかな」
 「いやちょっとわかんないですけど」
 「あれもらって帰ってこれないかな」って(笑)。
 大きさもちょうどいいし、
 雰囲気もいいし。
 舞台は新宿末広亭をモチーフにしているみたいなんだけど、
 感じいいですよ。


  【編集部註】新宿末広亭:創業明治30年、
  その名のとおり、東京、新宿にある歴史ある寄席です。


 楽屋のシーンも出てくるんですけど、
 楽屋にね、「楽屋貼り」っていって、
 ぼくら落語家のための情報が張り出されるのよ。
 今度この人が昇進しますとか。
 今こんなことをやってますから、
 注意してくださいとか。
 それがね、全部本物使ってるんですよ。
 コアな落語ファンには、
 そんなところはたまらないかもしれないですね。




スタジオのセットを見せていただくと
たしかにこまかーいところが
こっているんです。
寄席のセットには桟敷席もちゃんとあって



桟敷席にあがる下駄箱があったり



客席の後ろに消防署からの表彰状が飾られていたり



うまく解説はできないのですが、
なんだかリアルでした。



昇太さんが登場するときは
林家亭どん兵衛師匠
(西田敏行さんの役名)をはじめ、
林家亭一門の方々と一緒のことが多そうなのですが、
どん兵衛師匠との相性はどうなのでしょう。

 どん兵衛師匠はウチが近所で、
 帰りに車にのっけてもらったり、
 ごはんをごちそうになったり。
 ほんとの師匠でもつれてって
 もらえなかったおいしい店に
 つれてってくれるんで、
 こういう師匠がほしかった(笑)。
 ほんものの師匠はろくな店行ってなかったからね。




  【編集部註】ほんものの師匠は春風亭柳昇さん。
  昇太さんの落語の枕では柳昇師匠のはなしが
  ときおりでてくるのですが、
  かなりユニークな逸話がある師匠のようです。


 うちの師匠は、せっかちな人だったから、
 料理がすぐ出てこないとイヤで。
 正直そんないい店とか行かなかったですよ。
 兵隊に行ってたからさ、
 おなかがいっぱいになればうれしい。
 だからもうひどかったもん。
 「昇太、いい店みつけたから一緒に行こう」って
 ひさびさに師匠がそんなこと言うから
 よっぽどいい店なのかなって思って。
 「どんな店なんですか」って訊いたら、
 「もう店員がみんなはきはきしてて、
  注文したらすぐ出てくる
し、
  ほんといい店なんだよ」
 そうですかー、ってついてったら
 「魚民(うおたみ)」だったんだよ。


  【編集部註】
  魚民は全国にチェーンをもつ
  味もおいしく、値段もお手頃な和風居酒屋さんです。


 もう「いい店ですね」って言いましたよ(笑)。
 おれ、真打ちになって
 がんばってきたのに、
 なんで師匠と一緒に魚民で
 ご飯食べなきゃいけないんだろうって。
 でも師匠は誰かにつれてってもらって
 ほんとにうれしかったんだろうなー。
 若いもんがはきはきしてて
 注文したらすぐに出てくるって。

どん兵衛師匠に師事する一番弟子どん吉ですが、
ドラマの中では実際に落語を披露するシーンはないかも?
との噂を聞きました。
「はじめての落語。」をきいて、
昇太さんの高座を楽しみたい人は
次はどうすればいいのでしょうか。

 落語は6月にやる本多劇場の独演会を
 よろしくおねがいします。
 11月にもやろうかなと考えてたりします。


  【編集部註】
  次回の独演会は6月27日、28日に
  東京の下北沢・本多劇場で好きな噺を
  好きなよーにやるそうです。
  チケットは5月21日にチケットぴあにて発売されます。


  仕事って不思議なモノでね。
 たとえば大阪にいくことが少ない時期が続いていたのに
 一度大阪に行きはじめるとしょっちゅう大阪に行ったり。
 富山に縁がないなと思っていると
 富山の仕事が重なったりね。
 そういうことはよくあることなんです。
 『タイガー&ドラゴン』が終わると
 舞台の仕事が3本入っているんです。
 松尾貴史さんのと伊東四朗さんのと、
 来年の2月には片桐はいりさんとやるんです。
 だからもう「仕事って重なるんだなぁ」って。
 まあ落語も芝居っちゃ、芝居なんだけどね。
 落語も芝居もどうぞよろしく!


なにかと忙しそうな昇太師匠、
『タイガー&ドラゴン』以外にも
NHKの新番組『発見ふるさとの宝』で司会をつとめていたり、
テレビでみかける機会も増えそうです。
でもやっぱり高座にあがって
落語をしているときは
なにとも比べることができないパワーがあります。
『はじめての落語。』から入るもよし、
『タイガー&ドラゴン』から入るもよし、
落語の入り口はすぐ目の前にありますよー。
ちなみに、「ほぼ日」の乗組員が
ドラマを観ながらだらだらおしゃべりする名物企画、
「ほぼ日テレビガイド」でも
『タイガー&ドラゴン』をテーマにすることが決定!
どうぞご期待ください !
2005-04-15-FRI