禁煙のセラピーで一服しよう。 darlingはタバコをやめるのだろうか? |
そして、自分なりに考えましたよ。 最終回です。 仕事のスケジュールを、家に帰ってからじっと見た。 どう考えても取材とミーティングが4本。 「ほぼ日」の原稿を書くだけなら、 他人に会う必要もないから、なんとかなるけれど、 取材でちゃんとしゃべれないとか、 ミーティングでアイディアが出ないとかいうことでは、 その一日がめちゃくちゃになってしまう。 ぼーっとした頭で、ぼくは悩んだ。 いいわけではない。と、思う。 禁断症状が、痛いとか痒いとか、鼻水が出るとかいうのなら なんとか方策もあるのかもしれないが、 言葉が出てこなくなったら、 ぼくは、ぼくでないのだ。 いや、そんな自分とは何かみたいなことじゃない。 相手は、しゃべるイトイに会いに来るのだ。 「えーとえーと・・・」じゃ、困るのだ。 そう考えている時に、 「じゃ、いま、タバコを吸ったら・・・・ ちゃんとしゃべれるようになるのだろうか?」と思った。 これは、ほんとうにニコチンの禁断症状なのか。 たぶんそうなんだと思うけれど、ほんとうだろうか。 そして、ぼくは、家に山ほど買い置きしてある 「ピースライト」の箱を開け、 家にいくらでもあるライターをひとつ見つけ、 一本のタバコをくわえ、火を点けた。 「とてもまずい」とも「うまい」とも思えなかったけれど、 「ああ、なるほどねぇ」というような気分だった。 映画のなかの麻薬中毒患者が 「ヤクをくれーーっ!」と叫んでいて、 注射かなんかうったとたんに すうーっと表情が穏やかになる、そんな感じなのだろう。 しかし、すぐには元には戻れなかった。 一本を吸い終わる頃に、ちょっと落ち着いたかなぁ。 そのへんの感覚は、よく憶えていない。 結局、深夜の自宅で、2本のタバコを吸った。 意志が強いとか弱いとか、考えもしなかった。 翌朝、起きてから仕事に向かって、 その時点でダメそうだったら、もう、今回はあきらめよう。 そんなことを言っている時に、 すでに禁煙は終わっていたのである。 翌日、起きたときには、なんとかなりそうだったので、 一本もタバコを吸わないままに鼠穴に出勤した。 最初の仕事は、すでに知った人との打ち合わせだ。 しばらく禁煙の話をして、 仕事の内容に話題が移ったときに、 「吸うわ」と、ぼくは言い、その時から、 ぼくはしばらく喫煙者として暮らそうと決めた。 敗北感もないし、失敗したという反省もない。 ただ、タバコをやめることは、しよう。そう思った。 問題は、仕事のたてこんでない状況を、どうつくるかだ。 普段からなにかとスルドイ助言をくれる友人が、 自分の禁煙体験を教えてくれた。 彼も、社員の前で「やめる」ときっぱり宣言したものの、 禁断症状が出てきたときに、 「これでは判断を誤る」と思ったという。 それに気づいた時点で飛行機の切符をとって、 南の島に飛んでいったという。 そこで一日に2ラウンドのゴルフを、 へとへとになるまで続けタバコのない環境のなかで、 体内のニコチンを抜いていったのだそうだ。 「帰りの飛行機のなかでは、 ああ、これでもう吸わなくても平気だなと、 自分でわかりましたよ」 やっぱりそういうものかもしれない。 ぼくは南の島にゴルフに行かない方法を、 実はもう考えている。 何年も前からカミさんに言われている「人間ドック」に、 3日間くらい入って、 純粋に病人としてニコチンを抜こうという企画だ。 この計画を、せせら笑う人もいるかもしれない。 しかし、またそれで、 「人間ドックで、一服しよう」という企画が 「ほぼ日」でできるではないか。 たぶん、そこでぼくはやめると思うんですよ。 でかいことは言えないけどね。 その後、O嬢先生から、メールが来た。 そのなかに、こんな文章があった。 『もしも、今、吸っていらっしゃるとすれば、 あるいは吸ってはいないが 少し辛い思い、イラツク思い、を 抱いていらっしゃるとすれば、 どうか、セカンドセラピーにいらっしゃって下さい。 今度は時間も短くなりますし、 モチロン費用は一切かかりません』 ううむ。返事が出せない。 O嬢先生、この連載を読んでおられるようなので、 いま、これで返事とさせてください。 おそらく、ぼくが、3日間の休みがとれていたら、 うまくいったと思うのですがね。 読者の方々のなかで、禁煙のセラピーに興味のある方は、 以下に連絡先を記しておきます。 おそらく、ぼくといっしょにセラピーをうけた24歳女性は 禁煙に成功したと思うし、彼女なんか、だいたい、 うまく禁煙できた人からの紹介で来ていたんですから、 90%の成功率というのは、かなりのものだと ぼくは思っています。 タバコのみは、ニコチン中毒だ! それでは、みなさま、ご愛読ありがとうございました。 また、人間ドック後の報告を、お待ちください。 |
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