ほぼ日 |
レースがお好きという監督ですが、
「闘争心」みたいなものがあるんですか?
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石井 |
「人に勝ちたい」とかいうのはないんですよね。
本能的なものはあるかもしれないけど。
レースカーにしても、
人間の「走りたい」っていう
「本能」が作り出したわけじゃないですか。
ぼくは、そいういうのに惹かれます。
美しいんですよね。
恐竜に憧れるとかもそうですよね。
車というのは道具だから、
目的地に着くために程よく人を乗せて、
快適に走れればいいものですよね。
あんなにむきだしのエンジンとか、
ものすごい馬力、
ただただ速く走ることとかって、
必要ないものじゃないですか。
いらないものなんです。
でも人間はそれを作り続けるんです。
そういうのって「いけないこと」だけど、
必要悪だと思います。
それによって救われる人間の心もあったり、
進歩したり。
俺、映画もそういうものだと思ってるんです。
自分がやってる創作というものは、
決して必要なものだとは思わない。
だけど、必要悪として、ある種の刺激というか、
本来人間が持ってる本能とかに、
かかわってくるのかな。
なかなか他人のことはわからないけど、
俺はやらずにはおれない。
これをどうしても作りたい。
表現したいってことがあって、
それを忠実に再現してる。
本能を刺激することっていうのは、
自分にとってすごく興味があることです。
幼稚なんだと思うんですよね。
子どもっぽい。
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ほぼ日 |
そうですよねー、子どもっていうか‥‥。
は!失礼ですみません!!
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石井 |
(笑)
不思議なものを見るとすごい惹かれます。
きれいだったら、
すごく
うっとりしちゃうし。
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ほぼ日 |
「本能」で感じたままですね。
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石井 |
そう。
あと、ロケットとかも大好きですよ!
種子島まで見に行きました。
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ほぼ日 |
ロケットの打ち上げを?
いいなあ!!どうでした!?
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石井 |
すごいんですよ!!
日本のロケットはアメリカに比べて
そんなに大きくないんですけど、
すごいきれいな所にあって。
それが飛ぶっていうのは、
雷を何百倍も何千倍も
集めたような音出して、
空にむかって突き刺さっていくから。
ロケットの発射の光も
見たことないような光だし、
神々しいんですよね。
ものすごい力に満ちてる。
これくらいやらないと
ロケットは地球を脱出できないのか!
って戦慄させられる。
宇宙の力に対する反逆だし、冒涜ですよ。
いいことかわるいことかはわからないけど、
何故、こんなパワーをここまで使う必要がある?
それが官能もの!!
わけわからんけど、
「ありがたいーーー!!」
って。一瞬ですけどね。
遠くから見に来る人も
もちろんたくさんいるけど、
結構地元の人も来てて、
自分の隣にゴザひいたおばあちゃんとかも、
日傘さして、弁当持って見てるんですよ。
すごいいいですよ!
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ほぼ日 |
うわ〜〜〜〜いいですねーーー。
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石井 |
花火に惹かれる「本能」とか。
あれも、すごく意味ないじゃないですか。
でも、何かが僕らの心をくすぐるんでしょ。
火花が上空で散ってるだけですけどね。
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ほぼ日 |
やっぱり、大きさとかですよね。
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石井 |
そうでしょうねー。
花火って不思議ですよね。
まず誰がやったか??っていうね。
そういうことが好きです。
その中でも、自分の役割を天からの授かり物として、
やってるっていう感じがします。
「やっていいんですね、
ぼくは。
ありがとうございます!」
って(笑)
しかしレーサーになれなかったのは、
本当に残念ですね。
でも、レーサーになってたら、
たぶん死んでたな・・・。
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ほぼ日 |
そうですよ!
あっという間に殉職!みたいな。
そしたら映画は産まれなかったんですね!
あぶねえあぶねえ!(笑)
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つづく
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