5人の
Beautiful Songs

奥田民生さん、電話で語る。
「なんていうか、まあ、肝試しというか」


darlingによるBeautiful Songsメンバーへの
電話インタビュー、今回は奥田民生さんに
お話をお聞きしました。

糸井 もしもーし、糸井でーす。
そちらはぼくの声、良好に聞こえてますか。
奥田 ええ、大丈夫でーす。
糸井 ええ、通る声ですね。
奥田 そうですか。うははははは。
糸井 Beautiful Songs、
いよいよ近づいてきたわけですが。
奥田 はい。
糸井 今、ポスターを目の前にして、
お話をしております。宮沢さんはですねえ、
なんかボーカルグループの
新旧交代の時期みたいな写真だと。
ハイファイセットとか、
そういう写真だって言ってたけど。
奥田くんとしては、どんな気分?
奥田 そうですねえ。まあ、最初、
こんなたくさんの人でどーのこーのということを
知らないうちは、気楽だったんですよね。
だんだん大きなことになって、
ビビッてるんですけどね。
糸井 最初は「お、やろう!」ってすぐ乗れました?
奥田

そうですね。
あの、まあ、そういう、
なんて言うんですかね、
ふだんのぼくのやってることと違って、
ふだんあんまりやらないことなんで、
そういう新しいことというかですねえ、
そういうことはどんどんやって行こう、
という思いを秘めていた昨今だったわけです。

糸井 はいはい。
奥田 (笑)。
糸井 みんな、同じようなこと、言ってんね。
みんな、秘めてたらしいね。
奥田 は、そうですか!
糸井 気持ちは秘めてたんだけど、
具体的に思いついてやるのって、
大変じゃないですか。
他の人の音楽っていうのは、
ふだんから馴染みあったんですか。
奥田 そんなに詳しくもないんですけど、
ムードというか、そういうのは、
なんとなくはあったんですけど。
糸井 うん。
奥田 でも、変わってくるかもしれないですね。
これから、もっと聞いたりすると。
糸井 みんな、楽曲を選ぶのに、悩んでるようですけど。
なんでそんなに悩むんですか。
奥田 もっといいのがあるかもしれないと、単純に。
イメージ的には、ぼくがふだんやっているのよりは、
ちょっと大人の、というイメージを持ってるんですけど、
それは、でも、わからないじゃないですか。
始まると、実はそうじゃなかったとか。
糸井 うんうん。
奥田 そういうふうなことがわからないので、
曲選ぶっていっても、
どういう基準で選ぶんじゃこりゃ? っていう、ね。
糸井 そう言われて、ぼくも今、思ったんだけど、
例えば、全員がパッと出た時に、
客席は椅子に座ってるのか立ってるのかも
見当つかないね。
奥田 お客さんの方も、その、ちょっと、
ビビるんじゃないですかね。
糸井 宮沢くんは、もともとファンだったんで、
客席にいたいって。
でも、そんな気持ちでステージにいるっていうのも、
きっとこれからも、あんまりあることじゃないから、
なんかうれしいって言ってたなあ。
奥田 うんうん。なるほどね。
糸井 ぼくら、客席ですからねえ。
楽しみですよ。
奥田 客席、緊張しますよ、多分。
あはははは。
糸井 それはね、今、言われたら思った。確かに。
だって、つまりさあ、合衆国じゃないですか。
同じアメリカといっても、
テキサスとカリフォルニア、違うみたいな。
奥田 ほうほう。
糸井 でも、同じアメリカだね、みたいなさあ。
そんなコンサートって、行ったことないよね、
あんまり。
奥田 そうですねえ。
糸井 うーん。バンドが順番に出て来るコンサートは
いくらでもあるから、他のはダメだとかさあ、
われらのなんとかが一番だとかっていう気分で
聞いたりすることはあっても、
全部、溶け込むのって、ないよね。
奥田 そうですね。謎が多いですよ。
糸井 そっかあ。
今は、自分のツアーをしている時期ですか。
奥田 そうです。始まったばっかなんですよ。
糸井 あらららら。
奥田 それ、6月に終わって、そのままそっちに。
糸井 相変わらずの旅がらすですなあ。
奥田 出っ放しですよ。
糸井 じゃ、それの準備してる暇、ないんだね。
奥田 えーと、まあ、今はちょっと、
始まったばっかなんで、
ちょっとこっちに、っていう感じなんですけど。
糸井 そうだね。あの、なんて言うんだろ。
新しいことで、ここでなければ出来ないことなんて
考える暇はまだない?
奥田 なかなか、ぱっと、こう、
軽く決めるっていうわけにもいかないんでね。
糸井 確かにその通りだ。
奥田 気づいたら周りに取り残されていそうで、
怖いんですよ。
糸井 みんな、思ってるみたいですよ〔笑)。
全員、同じこと、思ってるみたい。
慶一くんが、エレキにするか、
アコにするかっていうのを考えてるって言ってた。
奥田 そうなんですよね。そういうのもあるし。
糸井 おれ、あの、人の話、スパイで教えてあげるけど、
宮沢くんに、なに楽器持って行くの? って聞いたら、
なにも持っていかないって。
奥田 あははは、そうですか。
糸井 彼はね、歌に徹するそうです。
これはこれで、すごいブリリアントな。
奥田 それはそれで緊張するんじゃないかって。
糸井 するよね。
覚悟したんだろうね。
奥田 なるほど。
糸井 奥田くんはまだ、エレキかアコかっていうのも、
全然、考えてないっすね。
奥田 そうですね、考えてないです。
両方持って行きます。
糸井 そういう時には両方持って行くのが、
きみの釣りですね。
どうせラバージグになるんだけど。
奥田 あははは。ま、そんな感じですかね。
一応、スピニングも持ってかないとっていう。
糸井 そうだね。
あの、釣りをね、どうもね、するよ。
ぼく、別にメンバーじゃないんですけど、
釣りには相乗りしますから。
奥田くんが楽しみにしてることとかって、
ありますか。釣り以外で。
奥田 楽しみにしてることですか。そうですねえ。
いや、やっぱねえ、基本的にその、
度胸試しっていうかね、そんな感じなんですよ。
ぼくにしては。
なんて言うんだろうなあ。うーん。
糸井 だって、もうあなた、
立派にいい年じゃないですか。
奥田 そうですけど、やっぱりその、
そういう人たちとやるからにはね、
そこでやっぱり自分もね、
頑張らんといかんな、と。ということで、
なんていうか、まあ、肝試しというか。
糸井 納涼肝試しね。
奥田 それを乗り越えれば、一皮剥けるかな、とか、
経験値、上がるかなとか、アイテムが取れるかなとか。
糸井 (笑)じゃ、自分のスケジュールが終わって、
家に帰って遊んだりしない状態で、
そのまま飛び乗るみたいな。
奥田 そうなんですよ。
糸井 じゃあ、まあ、釣りのことはともかく、
今はツアーやってて、肝試しの前の状態で。
奥田 そうですね。
糸井 ぼくも、なるべく、
いろんな形で手伝えるように頑張りますので。
奥田 はい、わかりました。
糸井 ありがとうございました。

2000-05-25-THU

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