5人の
Beautiful Songs

鈴木慶一さんからの手紙


いくつになっても、
お初の体験ってのはあるもんなんですね。
ステージ上で涙腺がゆるみそうになったのも、
手が震えてピアノが弾けなくなりそうになったのも
初めてです。

涙腺は、たーぼーのBeautiful Beautiful Songsの時でした。
最終日です。
これは、歌の事を歌った歌なので、
歌ってるとループになっていろんな事考えちゃうんです。

あっこちゃんとたーぼーと私は、
25年以上も前からの知り合いなんですね、
恋にはおちた事ないけど。
で、今ここで一緒に歌ってるという事が現実なんだなと
思った瞬間に
まだオレ達音楽やってて、よかったんだよねって、
彼女達にはオレ達が似合う、
目で語り合ってるような気がして、
お二人の顔を見てたんです。
実際は唇を見て、コーラスのタイミングを合わせると
いう事もあったんですけど。

で、ありきたりですが、
走馬燈の登場ですよ。
具体的に、あの時どうだったとか、
こうだったとかではなく、
歴史の渦のようなモノがこみ上げてきたんです。
それで、涙腺がね。
手の震えは観客の方々だけが見ているのだったら、
そんな事は起きません。
ステージ上の皆さんが見ているという事に対して、
しっかりしなきゃなあ、が裏目にでたんでしょう。
民生くんの隣でギターを弾くというのも、
私にとっては歴史的瞬間であり、
宮沢くんと肩をくんで歌うというのも念願叶ったりです。

まさにこのツアーは始まったら終わるまで戻れない、
宇宙船か、潜水艦に乗り込んだかのようでした。
プロフェッショナルしか乗れないね。
そして音楽によってフレンドシップが高まっていくという
貴重な体験をしたんです。
それには、音楽で返さないとね、これから。
きっと、新しい作品が出来たら、
すぐ乗組員に聞いてもらいたいと思うでしょう。
最後は柔らかい着陸、もしくは浮上が出来たと思っています。
とっても気持ちのよい終わりでした。

さて、ほぼ日の方々も含めてスタッフの皆さん、
コンサートに来てくれた皆さん、
心の底からありがとね、
チャオ。

鈴木 月光庵 慶一

2000-07-27-THU
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