いい音は空気を洗う。
加藤晴之さんの紙筒スピーカー物語。

スピーカーファンのみなさんも、
そうではないけど「いい音」好きなみなさんも、
とにかく音楽なんて全然興味ないみなさんも、
ほぼにちわ。
通天閣あかりです。

ここでは、現在書店で売られている
『通販生活』の28ページに掲載されて、
意外にもすごい勢いで売れている
「加藤晴之さんの紙筒スピーカー」が、
どのようにして世の中に出ていったのかの物語を
お伝えしています。
詳しくは、お時間のあるときにでも
第1回目から読んでみてくださいませ。

前回は、加藤さんがなぜスピーカーを創るに至ったか
までをお伝えしてきたんですが、
これからは、
何故、紙筒にしたのか?
オールハンドメイドってほんとですか?などと、
商品そのものについての話に進んでいきます。

んが、んがですよ、
今回ご紹介したいのは、
『通販生活』の誌面にも登場していない影の立役者、
darling、加藤さんに次ぐ第3の男、
「フリーハンド」社の八田さんという方なんです。

取材を進めていくと、
モノが世に出るということは、
なんてたくさんの人の繋がりから生まれるんだろうと
しみじみと思います。
もし、あの時あの人と出会えていなかったら。
もし、あの時「うん」と言ってなかったら。
『東京ラブストーリー』の歌詞やないですが(古っ)。

八田さんは会社の売り上げの50%くらいが
カタログハウスのお仕事だという
メーカーの方です。
なので、カタログハウスの編集者、宮坂さん
(加藤晴之さんの紙筒スピーカー、
 「イトイの通販生活」のページ担当)
とは、宮坂さんが入社して以来の仕事仲間だそうです。
この写真のおかたが八田さんですよ。


いい色に焼けた八田さん。

このスーツ姿のしぶいおっちゃんが、
どんな経緯で加藤さんのスピーカーに関わったのか?
このあたりの話がとても重要なんですねん。

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♯4 第3の男、八田さんがいい音に出会った


・世の中に出さないとバチがあたる


-----フリーハンドさんてどんな会社なんですか。

原則的にはうちは問屋じゃないんで、
あるものをそのままマージンいただいて売っちゃう
というのはほとんどないです。
自分のところでデザインを起こしたり開発に入って、
一緒に売る、ゼロからの商品が多いものですから。
今までやってたのは
アパレル関係30%、バッグ関係が30%弱、
あとは日用雑貨が主なところですね。

-----それじゃ、スピーカーは今回初めてですか?


ぼくはね、リモコンもろくに触れない、
機械音痴でね。
スピーカーなんて
まっっっっったく興味がなかったんです。

-----ええっ?そうなんですか。

宮坂さんとは公私ともに親しくしてもらっていて
色んな話をしたり、飲みに行ったりしていて。
2年以上前だったかなあ。
実はすごいスピーカーを見ちゃったと。
糸井さんから連絡を受けて加藤さんに会って
聴かせていただいたら、これはすごいんだ、と。
なんとか商品化できないか今動いてるんだよ、
という風に話をされたんですよ。
その時は他のメーカーさんの当てがあったんだったかなあ?

ところが半年ほどしたどしゃぶりの日に、
電話がかかってきまして。

-----どしゃぶり。ドラマの始まりですね。

今から新宿まで出て来いと。
僕もそのスピーカーの話はすっかり忘れてましたので、
「なんだ?」
と思って聞いていたんですが、たいした話もしない。
じゃあ帰ろうかと言うときに
「スピーカーやる気ある?」と言われたんです。
ぼくは
「よくわかんないし、一番苦手な商品だと思うから
 うちじゃない方がいいんじゃないの」
 という話をしたんですが、
「実はどこのメーカーもオッケーしてくれない。
 でもこれは世の中に出さないとバチがあたるくらいの
 商品なんです!」
と言うんですよね。

バチがあたるといわれたら、
ぼくも後にはひけないじゃないですか。
じゃあ、考えてみるよ、と言った
その次の次の日くらいかな。
まず加藤さんのところに行こうという話になって
加藤さんにお会いしたんです。
その前に加藤さんを蕎麦打ちとして
お名前は知ってました。
ぼく、こういう芸術家タイプの人には不慣れで、
とっつきにくい印象があったんですよ。最初はね。

ところが音楽を聴く前に
加藤さんは持論をお話しされるんです。
今までぼくらがおつきあいしていた芸術家や職人さんは
「自分の作品を見れば分かるよ」
っていう人ばっかりだったんです。
「どうだ」みたいな。

ところが加藤さんは音を聴かせてくれる前に
持論を淡々と話されたんです。
押しつけがましくもなく、特別ここがいいんだよ、
こういう構造でこういう音を出したいんだよと。
この人ちょっと違うなという印象が
最初からインプットされちゃったんですね。

で、じゃあ音を聴いてみましょうかっていうんで、
聴かせてもらってホントにびっくりしたんですね。
ぼくは音楽を聴かないんですが、
うちの息子は聴いてるわけですよ。
その、息子の聴いてるのをちらっと聴いてたから、
音ってこんなもんかなという気でいたのが
おお?これは何だろうと。びっくりしたわけです。

-----何を聴かれたんですか。


ジャズミレニアムっていうやつとか、バッハもあったな。
色んなものを聴きましたよ。
はっと気がついたら夜中の3時くらいになってたんです。
構造的なことはまだ当時は全然わからないし、
形は今と違って四角だったけど、
なんでこういう音が出るんだろうという疑問と同時に
狙いはなんだろうって興味が湧いちゃったんですよ。

他のスピーカーで聴きやすい音って
いっぱいあるじゃないですか。
そうじゃないんですよ。
他の音とは全然違うんですよ。

-----それは音楽をあまり聞かれない八田さんでも
   分かるくらい違うんですか?


聴かないから分かったんだと思います。
変な解釈とか自分なりの論説を立てるんじゃなく、
素直に入ってくる音だったんですよね。
高いのは高く、低いのは低く、
音声帯域がそのまままっすぐ出てくるっていうのが
ビジュアル化されちゃったんですね。
そんなことは、
ぼくにとっては初めての体験だったんです。

ものを見ても紙でできてるし、
他のメーカーさんができないっていう理由はなんだろうな
という風に感じたんですね。
やる前から、できないってどういうことだ、
と思ってね。
それからですよ。
もうちょっと様子を見たいんだけれども、
ぼくなりに動いてみましょうかという話になったのが
2年ほど前ですね。

-----その時のスピーカーっていうのは
   今売られているのとは違うものですか?

   
形は正方形のアルバムみたいなものでしたけど
素材はまったく同じですね。
そこからは、
他のメーカーができない理由があるんだろうなと、
それは「加工」じゃないなと僕は思ったんですよ。
加工は比較的簡単にできるんじゃないかなと思ったから。
洋服をデザインから始めて試作から創るのと、
まったく同じプロセスでやっていけるなと思ったので、
じゃあやりましょうかということになったんです。
「やろう」というところまでは非常に順調にきました。
ところが、ここからが色々問題が出てくるんですよね。

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な、なんや!
「やろう」ってなってから
そんなに問題が出始めたんですか!
あんなに素直な顔したスピーカーが。
で、次に続くんですか。
ああそうですか。
連載とはそういうものですか。

今まで出会ったことのない趣の加藤さんに惹かれ、
聴いたことのない「いい音」を体験し、
今まで挑戦したことのないスピーカーづくりを
「やりましょう」とかなりのスピードで
決定した八田さんですが、
その奥には、宮坂さんの熱意があって
宮坂さんとの強い信頼関係があって。
さらにさらに
darlingの多くの人に伝えたいという気持ちがあって。
紙筒スピーカーの外枠はこうして固まっていきました。

これから、
ぎゅっぎゅっと中身をつめていく段階に入るのですが、
ここからも、また思いと思いがぶつかって
この話は変奏曲のようになっていきます。
次回もお楽しみにー。
ほな。



カタログハウスのB1のお店にも置いてありましたよー
残念ながらお手元に届くのは11月以降になりますが。


◆「音の不思議を語ろう対談」
加藤晴之×糸井重里
日時:10月1日(月)18:30〜20:30
場所:カタログハウス地下2階「セミナーホール」
入場料:1000円(先着100名様)

さらになんと、同時開催で、
この紙筒スピーカーの試聴会も行います!

◆「加藤晴之さんの紙筒スピーカー試聴会」

日時:9月29日(土)・10月1日(月)11:00〜17:00
場所:カタログハウス本社1階
入場料:無料(予約不要)
お好きなCDを持ってきていただければ
実際にお聴きいただけます。
本当にいい音を聴くチャーンスっ!

対談、試聴会に関してのさらに詳しい情報は
こちらのページをご覧ください。
(参加の申し込みもこちらからできます)
http://www.cataloghouse.co.jp/study/study.html




「加藤晴之さんの紙筒スピーカー」に関する
お問い合わせは、
0120-701-567(カタログハウス商品ご説明課)
お申し込みは、
0120-164-164(カタログハウス受注センター)
までお願いいたします。

2001-09-19-WED


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