ほぼにちわ。
通天閣あかりです。
なんにでも徹底的に追求する加藤さんが
「一番好きな音は?」と訊かれたら、
「平面バッフルの音」と答えてくれます。
どうして平面バッフルが好きなのか?
それが何故「紙筒スピーカー」になったのか?
そのことを今日は語ってくださいます。
「いい音」って言葉で言うのは簡単ですが、
どういいのかを説明するのはとても難しいんです。
でも、加藤さんの、このお話を聞くと
素人の通天閣も「なーるほどなー」と思いました。
ずっと考えていたことだからこそ、
こうして言葉になおせるんでしょうねぇ。
お聞きしていて、ますます、
はやく自分のスピーカーがほしくなりました。
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♯9 楽器みたいに鳴るんです
・平面バッフルの魅力
スピーカーと、
普段ぼくたちがいうものは
たいていは箱みたいなものがあって、
その前にスピーカーユニットが
取り付けられていますよね。
箱に取り付けられた
スピーカーユニットが
ぼんぼんぼんぼん
振動するようになってます。
その箱の中では、
じつはスピーカーの振動板を
自由に動かすことを阻害する現象が
起きているんです。
注射器の先を指で押さえて
押したり引っ張ったりしてみると、
空気がバネのようになっているのがわかりますが、
それに似たようなことが、
じつは箱の中で起きるんです。
皆さんがスピーカーユニットを見ると、
スリバチ状になって、
前後に動いているところ、
ありますよね。
その部分が音を出すところで、
「振動板」というんですが、
その振動板が前に行こうとすると、
箱の中の空気が引っぱって戻そうとする。
後ろに下がろうとすると押し戻そうとする。
そういうことが、
しばしば箱の中で起きているんです。
オーディオのソースが
アンプを通じてスピーカーに
行ったとしても、
実際には、
ほんとはもっと行きたいのにって
スピーカーは言ってるんです。
だけど箱の中だと行く範囲に限界がある。
戻りたいのに、戻れない。
でも平面バッフルっていうのは、
そうそう、「バッフル」っていうのは
「隔壁」とか
「遮断壁」という意味なんですが、
板一枚なんですね、
後ろに囲いがまったくない。
だから、振動板の後ろに
空気バネが存在しないんです。
入ってきたソースに対して、
ユニットが自由に振動してくれる。
だから入ってくるソースに対しての
音の出方が違うんです。
すごくすっきりした素直な音が出てくる。
そして、スピーカーユニットというものは、
じつは前からだけでなく、後ろからも、
まったく同質の音が出ているんです。
ただ、位相というんですが、
正と負、陰と陽、というような、
音質的にはうり二つなんだけど、
180度違う音がユニットの後ろにも出ているんです。
ですから、箱の中にも音は充満している。
ところで、箱型のスピーカーは
たいてい厚い木質の板で作られています。
閉じこめられてはいるものの、
その板を透過して音が外に出てくる。
後ろからは、前から出てくる音に比べて
明らかに小さい音が、漏れてるわけです。
どんなスピーカーも。
すると、前から出てくる音に
後ろから出てくる音が
加算されて聞こえるんですね。
だから、箱の中から透過して出てくるくぐもった音と、
前からのフレッシュな音がまざって出てくる。
ところが平面バッフルは
後ろからも前と同じように
すっきりした音も出ている。
これは楽器と似ているんですね。
バイオリンとかピアノもそうですけれども、
弦を通じて振動板が鳴って
それが伝わって音が出てくるんですけれども、
実際には裏板にも、
バイオリンの中には、響き棒があるんです。
表板も振動させてるんだけれども
裏板も振動させてる。
楽器全体がひとつの振動体になってるんですね。
プラスの音、マイナスの音、
表板から出てくる音、裏板から出てくる音って。
正相、逆相、正の音、負の音、陰と陽。
楽器というのは陰陽のバランスが
その楽器の重要なファクターなんだと思います。
たとえば、ストラティバリは
そのバランスが抜群で、
それでいい音なんじゃないかなぁと、
私は思っています。
楽器は何にしても、
矛盾をはらんでるというか、
渾然一体となって
ひとつの音が出てると思うんですよ。
平面バッフルっていうのは
楽器的な鳴り方をしてるんだと思うんです。
平面バッフルが一番いいって
僕の中では決まってるんです。
あくまでも僕の好みですが。
ダイアモンドの鑑定士のかたが
一番いいダイアモンドを身に付けて
自分の目をいつも養っているように、
僕のスタンダードは平面バッフルです。
平面バッフルは大きな板を必要とするので
家庭ではなかなか使いにくい。
だから、その音に出来るだけ近づけた、
家庭用の小さいものを、
と思って作ったのがこの紙筒スピーカーなんですね。
紙筒を使ったというのは、
先ほども言いましたけど、
箱の中に閉じこめられた
負の音というか、陰の音というか、
それをできるだけクリアに
出してやれないかと思ったからなんです。
箱を部屋だと思って下さい。
そこにあなたがいると思って下さい。
隣の部屋の話し声を、
ドア越しに聴くのと、
フスマ越しに聴くのでは、
音質に違いがあるでしょう。
それが障子だったら、なおさらですね。
そういう意味で、紙を使ったんです。
できるだけ自然に音を透過させたかったんですね。
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音に対する思いやりというか
愛情のようなものが
感じられるお話でした。
当たり前なんですが、
自分の作るものに
思い入れが深ければ深いほど、
人の心を打つんだなあということを
改めて感じましたです。
じゃ、自分がそうできているかというと、
まだまだ、というか、ぜんぜん、ダメです。
ふ〜〜。
次回はカタログハウス、
宮坂姉さんの思い入れを中心に
お届けいたします!
ほなな。
ええ連休をな。
カタログハウスのB1のお店にも置いてありましたよー
残念ながらお手元に届くのは11月以降になりますが。
「加藤晴之さんの紙筒スピーカー」に関する
お問い合わせは、
0120-701-567(カタログハウス商品ご説明課)
お申し込みは、
0120-164-164(カタログハウス受注センター)
までお願いいたします。 |