いい音は空気を洗う。
加藤晴之さんの紙筒スピーカー物語。

ほぼにちわ。
通天閣あかりです。

今日から、先日、カタログハウスで行われた
『音の不思議を語ろう対談』の一部を
ご紹介していきます。
加藤晴之さんとdarlingの
音に対する純粋な気持ちや興味が
よく分かる2時間でした。

このような対談の場合、darlingは
ほとんど打ち合わせなしで、ゴー、です。
もちろん、手抜き、という意味ではなく。

今回も、事前に加藤さんと決めていたのは、
「今日は、スピーカーの実際の音を皆さんに
 たくさん聴いてもらいたいですね」
「そうですね、そうしましょう」
ということくらい。

答えを持った人同士が生で話すと、
どんどん話が転がっていって
やっぱし対談は面白いですよ、奥さん!

というわけで、まず今日は
dalringが音楽離れしちゃったことについて、
です。

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♯13 加藤さんとdarlingが話す その1

・間に合っちゃった

糸井 ここ暫く、
   音楽を聴くときに空気を振動させて
   その波全体を耳から受けとるってことが
   ずーっとなかったんですね。

   ぼくは野球ファンでもあるから
   ラジオも聴くし
   レコードやCDを家では聴くし
   どっちにしても
   「どんな言葉が語られてるか」が
   どうしても中心になってしまうんです。
   
   音楽が持っている
   トータルな豊かさではなくて、
   何がいいたいのかっていう
   意味の部分に
   どんどん意識がいってしまう時代が
   長く続きました。

   思い起こせば
   中学生とか高校生の頃に
   プレーヤーにスピーカーがついてる
   折畳み式のものに針を落として聴いたり
   小銭ができるとハイファイ、ステレオ、
   なんてもので音楽を聴いて
   まずは部屋全体に音楽を流すってことを
   楽しむようになりました。
   
   それはきっと、
   「そこで演奏してるみたいだ」って
   言いたかったからなんですね。
   さらにもっと良い状態で聴けるのが
   ジャズ喫茶だった。

   ジャズ喫茶やロック喫茶は
   大音量で生に近い演奏を聴けるってことで
   皮膚からも聞こえてくるような音楽を
   楽しんでた時代がありました。
   その後どうなったかっていうと
   色々新製品を追いかけていっても
   対して変わらないやってことに
   なっちゃったんですよね。
   
   スピーカーを部屋の色んなところに
   離して置いて、
   その中で立体を感じるために聴く
   っていうイメージだったものが、
   ひとつの小さなところから
   ある程度立体的な音が
   聞こえてくるっていう、
   ポータブルなステレオプレーヤーなんかが
   出てからは
   もうこれでいいんじゃないか、
   っていう気持ちになって
   すっごく追及していくことを
   しなくなっちゃったんです。
   
加藤 そうですよね。
   僕も糸井さんとまったく一緒でした。
   もうこれで間に合うじゃんって
   思いましたよね。
   
糸井 そう。間に合っちゃうんですよね。
   そのうちにヘッドフォンになって
   それで間に合う時代になると
   ほとんどカーステレオと
   ヘッドフォんだけの暮らしになって、
   それを繰り返していると
   今更気づくんですけど、
   音楽から遠ざかっていってたんです。
   
   昔は一つの好きなバンドのレコードが出ると
   歌詞カード眺めて、
   対訳の訳詞をながめて
   暗記するように一緒に歌ってたのが、
   それもしない。
   
   CDを買っても何回か聴いたら
   終わりになっちゃうし、
   旅に行くときは
   CDウォークマン的なものを持ってく。
   
   そういう流れで音楽は、
   空間を楽しむものじゃなくて、
   線と線でつなぐものみたいに
   なってきちゃったんです。
   いわばデジタルなものになってきたんです。
   それにもう慣れちゃってたんで、
   俺はいいやって気分でいたんですね。
   
   それが、
   たまたま宮崎駿さんのところで
   加藤さんに会って
   見本のスピーカーがいくつかあったので
   聴かせてもらったら
   反省するっていったらオーバーですけど、
   「あれ、オレ、音楽が好きだったな」
   と思い出したんですよ。
   
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はっはーん!
そう言えば、わたしも昔は
歌詞カードを必死で覚えて
シャワーをマイク代わりに
お風呂なんかで
ソラで歌ってたもんですわ。

音楽を豊かに聴く、ということより
聴きたいところで手軽に聴ける、
っていう便利さが優先していた流れから
抜け出したくなる何かが
加藤さんのスピーカーには
隠されているのかもしれません。

次回はこの続きを。
ほな。



カタログハウスのB1のお店にも置いてありましたよー
残念ながらお手元に届くのは11月以降になりますが。



「加藤晴之さんの紙筒スピーカー」に関する
お問い合わせは、
0120-701-567(カタログハウス商品ご説明課)
お申し込みは、
0120-164-164(カタログハウス受注センター)
までお願いいたします。

2001-10-22-MON


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