いい音は空気を洗う。
加藤晴之さんの紙筒スピーカー物語。

ほぼにちわ。
通天閣あかりです。

今回は前回に引き続き、
加藤さんとdarlingの対談でございます。

加藤さんの音を料理に例えると、
というお話ですよ!

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♯14 加藤さんとdarlingが話す その2

・「ハレ」と「ケ」の音

糸井 加藤さんは音響青年ではなかったんですか?

加藤 電気的な知識とかは全然ないんです。
   最終的にどんなものが聴きたいっていう
   イメージのほうが先にあるんです。
   秋葉原の電気屋でいい音に出会ったとしても
   そのシステムを全部買ってきて
   家で全部再生しても再現できないんですよね。
   音っていうのはスピーカーだけじゃないし
   アンプだけでもないし、
   最終的には「部屋」にいきついちゃう。
   奥が深いです。

   ぼくは、この世界、どこかより入ると
   泥沼だぞっていつも思ってたんです。
   追及するって感覚は持たず、
   そこそこ気持ちのいい音レベルを
   保っていました。
   
   うちの子供が中学になったときに
   いいシステム組んでくれって言われて
   知らないわけじゃないから
   そろえてみようかなと思いまして。
   
   ウォークマンでも耳につっこめば
   ヘッドフォンから聴く音っていうのは
   かなり純粋な気持ちいい音がする。
   これでいいんじゃないかって
   思いがちなんですよ。
   
   でも自分の心のどっかには
   それでもないよなあってところがあって。
   自分の心の中で本当に聴きたい音に
   近いものをプレゼントしたいと思ったんです。
   
   あちこち行って、いい音はするんだけど、
   僕の心がふれないっていうことがあった。
   最終的には1千数百万のシステムで
   聴かせてもらったけど、
   僕が求めてるのは
   この音じゃないっていうのがあったんです。
   
糸井 その加藤さんの心の中にある音っていうのは
   言葉にしにくいんでしょうか。

加藤 『吉兆』の料理を毎日食べられない、
   二日続けられないっていう感覚に
   あえて言えば近いでしょうか。
   
糸井 日常のおいしいものを
   健康においしいなって思って食べるのが
   理想なのに、ごちそうが続いてしまう、と。
   
   確かに疲れますよね。
   情報の量が多すぎる感じですよね。

加藤 そうですそうです。
   どこまでも聞こえてしまうんです。
   うまいうまいで食べていくと
   終わっちゃうんだけど
   かんでいけばいくほど味が複雑に絡んでるのが
   分かっていく高級料理みたいに、
   「あ、ここで昆布がきいてるな」とか
   見方を変えていくと
   どこまででも深く入っていくんですね。
   
   ずーっとそういうものを食べてても
   満足できないのが分かってるんです。
   妻が作ってる料理が毎日続いてる、
   毎食毎食あーおいしかったって
   食べ終わってる。
   それでいいんです。というか、
   それがいいんですね。
   
   「ハレ」と「ケ」といいますか。
   日常の中で
   おいしい音はないかと思って。
   
糸井 その例えはとてもよくわかりますね。
   加藤さんは、
   蕎麦に夢中になってらっしゃった
   時期があって、
   それは蕎麦っていうケに近いものを
   最高のもてなす気持ちで作ったら
   どうなるかっていう挑戦でしたよね。
   一貫してますよね。
   一千何百万のセットっていうのは
   過剰になってしまうんですね。
   毎日聴くのに。

加藤 それに耐えられる方も
   いらっしゃると思います。
   どんとこいっていうような
   受ける側の態度っていうのもあります。
   それがいい悪いじゃなくて
   ぼくのスピーカーもそうで、
   ぼくにとって受け入れられる、
   味わえる音っていうのが
   たまたまこういう音だったってことなんです。
   
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毎日食べても飽きない、家のごはんのような音が
加藤さんの好きな音だってことでした。
加藤さんは
「あくまでも、『ぼくにとっての』いい音です」
ということを常におっしゃってますが、
その味を、試食(すでに聴いた)した人が、
みんなおいしいって、言ってるんですものね。

たしかに、あれだけ音に敏感な加藤さんの家の
音(ごはん)は、おいしそうですよねー。

ほな。



カタログハウスのB1のお店にも置いてありましたよー
残念ながらお手元に届くのは11月以降になりますが。



「加藤晴之さんの紙筒スピーカー」に関する
お問い合わせは、
0120-701-567(カタログハウス商品ご説明課)
お申し込みは、
0120-164-164(カタログハウス受注センター)
までお願いいたします。

2001-10-29-MON


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