いい音は空気を洗う。
加藤晴之さんの紙筒スピーカー物語。

♯20 テイさんのアイデアをいただく?


撮影カメラ:Canon『Power Shot G2』

糸井 この紙筒スピーカー、
子供が大人っぽく動いたから
できたみたいなもんなんですよ。
思えば面白かったよね。
宮坂 そうですね。
勉強になりました。色々と。
テイ 糸井さんが商品開発したんですか。
糸井 加藤さんが
こういう形じゃないものを
もともと作ってたんだよね。
最初は段ボールの板だった。
スピーカーが。
で、
「ヘッドッフォンで聴く音楽って
 取り柄もいっぱいあるけれども
 本当は空気鳴らして
 聴きたいわけですよね。
 僕はスピーカーで
 聴いてほしいんです」
って加藤さんが言って
テストで聞かせてもらったら
すっごくよかった。
これはもったいないと思って。

どんな段ボールでも
作れるんだったら、
学研の付録みたいに
スピーカーのユニットだけ
設計図とセットにして売ったら
面白いですよねって言って
スタートした。

宮坂さんも素人だったけど、
「通販生活」ならやってくれるかも
っていうことで
みんな素人だったけど
始めたんです。

途中で大きい会社が
うちがやってもいいって
言ってたけど
結局全部いなくなっちゃったよね。
宮坂 あっという間に
いなくなりましたね。(笑)
糸井 たくさん作ってたくさん儲けたい
人が寄ってくるんだけど、
そうでもないなって
思ったんだろうね。

すべてに素人だった人たちが、
この工場でこれを頼んで
ってやっていって
形になったんです。
テイ なるほどねえ。
お客さんたちは、
この音がいいって
ちゃんとわかってくれますか。
糸井 最初はスピーカーだけ買うなんて
通販生活の読者はしないって
思われてたんだけど
すごくみなさん、喜んでますよ。
素人だけど、わかる、って。
宮坂 30歳以上の主婦が読者ですから
お金を出せなくはないけど
家計簿から
まっ先に抜かれる枠ですよね、
そういう嗜好品というのは。
それなのに予想外に
主婦のかたにも反響があります。
テイ 音のいい悪いっていうのは
どちらかというと
男の世界っていうか、ね。
糸井 「音楽好き」な人たちが
買ってくれたんですよね。
僕らもそれがコンセプトだったから
詳しいしくみのことは
わかんなくていいんですよ、
自分が好きなレコードが
もっと好きになりますよ。
っていうことを伝えたかった。
自分がそうだったから。
テイ いいコピーだなあ。
宮坂 「オーディオ素人」の私なんかには
録音がいい、悪いって
わかったことが大きな収穫でした。
テイ これから、このスピーカー、
どういう風にしていったら
いいんでしょうね。
糸井 コンポ化じゃないかなあ?
旅行と同じだと思うんだけど
最初、飛行機っていうものができて、
アメリカに行けますよ、ってなって
行ける帰れるってとこまで
できますよね。
じゃあ行ってから
どこを見ればいいのってなって、
パック旅行ができたじゃないですか。

それと同じように次は
パック旅行にあたる、
コンポ化じゃないかと思いますよ。
テイ 思い付いたのは、
パック旅行っていうことでいうと
サンプルのCD一枚
つけたらいいんじゃないかな。
10曲入りとか。
糸井 あああ! いいっ!
テイさんが選んでくれたら
すごい嬉しい!

こういうことを知りたくなったら
これどうぞ、
こういうことが知らせたいから聴いてね、
こういうのもいっそやってみよう、
みたいな。 それは楽しい!
宮坂 レクチャーCDみたいな。
いいですね!
テイ けっこう昔のプレイヤーとか買うと
ついてくるんですよ。
糸井 加藤さんの推薦曲もあるだろうし
これで開発したんですよ、って。
テイ 「ソフト」ですね。

今、コンピレーション・アルバムって
すごく売れてるじゃないですか。
そういうことに近い気がする。
糸井 「こっち向いて」
って音楽じゃないのが
聴きたいんだよね。
アメリカでエンヤが
やたら売れはじめたでしょ。
ジムに行く人も
少なくなっちゃったらしい。
未来がなくなったんで
がんばる必要がないっていう
理由でね。
テイ それ、ニューヨークっすか。
ノーフューチャー、ですか。
糸井 それまでのトレーニングやめて
脂もん食ってるらしい。
悲しい話だけどね。
俺たちが平気でジム行ってる
ってことは幸せなことだ。
テイ 「俺たち」って
通われてるんですか?
糸井 俺はもう。それはもう。(笑)
もうひとり自分がほしい
って思ったことない?
テイ しょっちゅうですね。
糸井 ていうことは自分も
倍働けるんですよ。
テイ ロボットの発想って
そこからですよね。
糸井 そうだね。
外化するのはみんなやってるから
俺は内化しちゃおうと思って。

この音、元気だったら聴けるのに
っていう音を、調子悪かったら
聴けないじゃないですか。
馬鹿な発言をしてる
会議に出てるときに
実は可能性がある時って
意外とあるじゃないですか。
それを自分が疲れてると
「もういい!」ってなるのに
体力があると、
「ほほー」って聞けるのよ。
そうするともっと豊かになる。
テイ なるほどねえ。
ボディ&ソウルですね。

音楽のビジネスとして心配なのが
東京を出たじゃないですか、
すると、やっぱり空気いいわけです。
で、それはなんとなく
想像してたんですけど
行く前は家で飲んでるときは
ジャズボーカルとかで
音楽に癒しを求めてたんです。
それがなくなりましたよ。
作るのと聴くのと両方好きなものに
なってる。
癒しを求めて音楽を聴いてないんです。
ジャンルでいうとテクノっていうか
自分がつくるものに近いものを
聴くようになりました。
前は作るものはそういうものしか
作れないから
聴くものはサラ・ボーンとか
ビリー・ホリデイとかに
なっちゃってた。
糸井 そうすると作り手として
引き裂かれるよね。
テイ そう。
地方よりも
都会に住んでる人が多くて
そういうヒーリングのCDが
売れてるマーケットが
あったりするから
その辺がちょっとわかんなくなって
きたりしますね。
ある意味ずれてきちゃう。きっと。
糸井 組織票は失うんだと思うんですよ。
ちゃんと本当のことやると。
一気に全員つかめるかもしれない
っていうのは難しくて。
そういうお客さんじゃない人に
伝わるものを作ったほうが
自分として健康ですよね。
テイ そうですよね。
そんな気がします。
宮坂 だんだん皆が自分に合ったものを
選んでいく時代ですよね。
概念とか姿勢というより、
モノそのものが
どうなのかというところが
問われている気がします。
特にうちなんかは。
糸井 モノを選ぶときに
どっちでもよくない人に
何を与えるか、ですよね。

今日はありがとうございました。
聴いてもらえるだけでも嬉しいのに
「買います」とまで
言ってもらっちゃって。
テイ いえいえ。
こちらこそ楽しかったです。
糸井 じゃあ、2階のジム見て帰る?

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モノを選ぶ側、作る側の目や環境が
どんどん変わってきているのが
3人のことばの中にも感じとれました。

お客さんが何を考え、
本当に何がほしくて何がほしくないのか
を知ることが、ものづくりの答えに
繋がるんだなあと思います。
それが難しいから面白い、という雰囲気が
この場に漂っていました。

テイさんが紙筒スピーカー用に
選曲したCDをつけて、
今後販売するかどうかについては、
いろいろと相談も必要で
まだはっきりとお伝えできませんが
これからどんなマイナーチェンジをするのか
しないのか、紙筒スピーカーには期待が高まります!



1月中旬発売の通販生活春号
(定期購読のかたには1月1日から発送)で
紙筒スピーカーが表紙に掲載されます。
自分のライフスタイルにあうかどうか、
好みにあうかどうか
一度目を通してみてくださいね。

それではみなさま、よいお年をっ。



アンプつき
一括価格37000円(分割価格39200円)送料600円別
スピーカーのみ
一括価格27000円(分割価格28800円)送料600円別


「加藤晴之さんの紙筒スピーカー」に関する
お問い合わせは、
0120-701-567(カタログハウス商品ご説明課)
お申し込みは、
0120-164-164(カタログハウス受注センター)
までお願いいたします。

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2001-12-30-SUN


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